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自動販売機のコイン投入口に
すいこまれていく女の人をみた金曜日の夜
ポッケの底のおつりの枚数をかぞえていた
裏面をやさしくなぜながら
口当たりの良い絶望味のコーラをぐびぐびのんだ
昔乗用 ....
わんころ ほよん
あの日の初め
しろくうらくふくらんだ茎 ゆかんだ凪のひたい
私はきみのことが好きだ
でも どうやらきみは
私のことを好きになることができない体質だったらしい
仕方がないので
私はきみを好きでいつづけることを
やめることにした
無理にきみに合 ....
舌先から街が見えた
憧れのデートコース 本当は君と行きたかった
だけど死んでしまったから 君の魂と小旅行
僕の姿が見えるかい? 僕はまだまだ温かいだろう?
天狗山に明かりが灯る 僕の知った ....
カウンターの背の高いスツールに腰掛け
グラスに注がれたバーボン
氷のゴツゴツした表面を覆いながら滑り落ちる
琥珀色の液体にジッと
視線を這わせ
すでに結露したグラスを捧げ
グビリと ....
私は想う
あなたと出会う
その事実を
あなたの意味を
これから
私は失っていく
例えば友を
痛みを
そのとき
私が還れるために
北極点のすがしさで
あなたが
たとえ ....
かたちのない宝石を
手のひらで転がす九月の午後
孔雀たちはまどろんでいる
淡く実る葡萄の夢を見ながら
人は何の為に生きるのだ。
それは死ぬ為だ。死ぬ為に今を生きる。
今を生きるとは何だ。
それは創造する事だ。
死ぬ為に懸命に生きる。そして懸命に生きる為に創造する。
創造こそが生だ。生きる力の ....
あんなに大きかった人が
幽霊になってしまった
行方不明の幽霊
生きているはずなのに
わたしたちは
残念ながら霊感がまったくなくて
幽霊がみえない
幽霊は文字のようで
記憶のようで
素 ....
大きな声で言う
わたしはもう大丈夫じゃない
もう一度言う
わたしはもう大丈夫じゃない
だから
安心して
わかるでしょ
雨が沖縄を通り
九州を越え
関東をすべり
東北へ行って
....
沼田城址公園の猫
その猫はチャトラ
顔は大きいが痩せていて
バランスが無い。
愛想が頗る良いが、下品ではない。
飼い猫にしては痩せている。
野良であろうか がっついてる。
のっそ ....
妖気漂う刺青の白い肌
石熱に浮かぶ唐草模様
殺し殺されても/あなた
死人には
口があるとは
思いませんか
/
あの日
あの夏の夜
呼び出された倉庫で
確かに僕たちはあい ....
実のつらなりが
水に映る
逆さになり
雨が来る
遠くと近くの震えが混ざり
小さな 音だけの雨となり
曇へ降る虹
曇から降る虹を見つめる
指のかたちの熱が ....
「大人になっても空気が読めない人」と、教えたとき
研究室のドアを勢いよく開けて君を呼んだあの眼鏡の
特徴の無い地味な女を思いうかべていたのです。
その日は、研究発表の準備会があり
専科が集まっ ....
世の中に逆らい
世の中に流され
人に頼られ
人にお願いされる。
人に逆らい
人に従わず
良かったと思う
人が信じられない。
人にバカにされ
人に見下され
人に尊敬され
人 ....
俺は始発駅の長いホームに立って、列車を待
っていた。それがその日の最終で、もう後は
ないのだった。それを逃がすと、もう帰れな
くなるのだった。始まりの場で最終を待つ。
その不思議にうたれて、俺 ....
翌日に 外に出かけられないような傷を作るのは
どうかと思うんです。
場所を考えているあたりが
妙な臨場感に包まれていて。
これを誰に見せたって 私の傷は癒えやしないのならば
貴方 ....
「貴女はご自分に酔っていらっしゃるのです」
思いがけない言葉に顔を上げた
彼は静かに私を見つめて煙草に火をつけた
(どういうこと?)
いぶかしげな眼差しの私に彼 ....
矢印をひいていってよ
あなたの歩く道を
私に知らせて
追いかけはしないよ
ただ知っていたいだけ
いざってときわかることが
いざってときまで安心だから
空にでもいいから
海にでも ....
<スクリュー・ドライバー>
時間のネジを緩めたら
傷ついた過去が星空になる
空間のネジを緩めたら
縺れた風景が花園になる
無色透明のネジ回しで
日常の窓枠を ....
立ち止まるひと
立ち止まらないひと
その違いってなんなんだろうね
わたしなんか立ち止まらないひとだと思ってたのに
こんなとこに5年間も立ち止まってしまっていて
指先器用でギターと ....
{引用=なめらかな光り、消失
それはあの人
火花散る、消失
それはあの人}
世界が基準の統計
雄大な時間のパーセンテージ
そこに私は含まれているだろうか
例えば未完成に向けて進ん ....
空にすすけた泥が
まっくろになって
僕とあの娘にふる
この街は
薄汚れた街さ
煤をすすって生きてる
珈琲一杯分の
幸せを
喉に流し込み
反復する
時間と
運動をする
機械み ....
足・足・足。
見えるのは足ばかり。
私は雑踏の中にいるのではない。
足はその歩みを止めることを知らない。
足はとにかく動き回る。
細い足、太い足。
飛び跳ねる足、引きずる足。
足・足・足 ....
線香の匂いが僕に染み込んでゆく。
先人達の祈りを感じる。
それぞれの無事を祈りながら
皆ここで分かれていった。
今、この場所に立ち尽くし
初めてもののあわれを知る。
空は青く、真っ白な雲が ....
ハチ公口を抜けると
そこは大きな
スクランブル交差点
あたしは
道玄坂へ向かう
キミと待ち合わせた
バーに
でも
うまく渡れないんだ
何度も通っているのに
何人もの人に ....
俺思うんだ
死神って奴は男だろうか
女だろうか
一度パンツ脱がせてみてやりたいな
まあるいきれいなお尻でも
真ん中にかわいいちょうちんぶらぶらさせてても興奮するんじゃないかって ....
秋の空に
突き刺さる
ほそい針金が
風に揺れている
揺れているのは
黄金色の穂
だけではない
帰り道なのだった
その角を曲がれば
たどり着くだろう
その家が
....
かさめて 椅子の底
持ち上がった 黒い眼頭
のけたドライ ・アイスにはがされる
影段 ひらり
緑木 暮れ
濁る 青海
あるところを
超えると
火など熱くない
女も男も
そう心得るがよい
ある場所には
ふさわしく
こちらには
ふさわしくない
時と所を心得よ
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