白線の内側に下がってお待ちください。
白線は自分で引いてください。
内側と外側は自分で決めてください。
白線の外側を
一匹のシオカラトンボが横切っていく
軟らかくて
....
ゆれる
歩道橋で
ぼくのからだは
空を見あげた
光の
ふやけたところから
いまにも
だれかが降りてきそうだよ
ち ....
美しいものを美しいままに
取り残すようなことを
宇宙の足音は気づきもしないだろうか
女の美しい笑顔、優しい裸体、
キマッテル髪型、照れる恥じらい
....
雨が花の形を整えていく
わたしたちは共通の言葉で話し
共通の言葉で
触れるべき場所に触れる
民家の前にぽつりと置かれたバス停で
傘を差してバスを待つあの二人は
親と子なのだろ ....
八月の市営プールが君のノスタルジア。
脚立みたいな正体不明の監視装置に鎮座する五十格好、
主婦を悩ます排水溝のぬめりに近似したプールサイド、
二十五メートルを往復している小型 ....
忘れたいがための
白砂に
手は、
わたくしの手は
ひかりを持て余すことだけに
精いっぱいでした
乱反射、のもたらす
甘くも厳しい
まやかしを
上手なことばで
見送れなく ....
缶切りで鯖味噌缶を開封し背中まるめてわぶわぶ食べる
薄荷飴ひとりで舐めてさびしがる君のことなど想ってみつつ
朝刊の明朝体が目に刺さる夜明けどこかで鳥が鳴いてる
晴れた日の午睡が好 ....
薔薇は
許されたかったのだろう
棘をまとって
なお、
許されたかったのだろう
それゆえ薔薇は
愛された
かつ、
おなじ分だけ
避けられた
薔薇には罪が
....
伸びきった髪の毛を
掻き混ぜる掌の
温もりの中に
まどろんだ
あなたの瞳を
感じていた
シクラメン揺れる
窓辺に潜む
いびつな死神が
盲目を笑っては
光に溶けている
私は ....
*一時限目 数学*
美しき微分/麗しき積分/淫らな糖分=知性の所望するもの<睡蓮たちの睡魔
無限の輪っか((エタニティー=ハニーディップ×2))
を、黒板の隅に小さく描く
カリカリカ ....
とうめいな言葉は
とうめいな場所にたどり着く
ぼくの言葉はぼくに
あなたの言葉はあなたに向かう
自殺者の言葉は
ひえたアスファルトに砕け
預 ....
うらぶれた仕事がえり
なんだか日も長く夜7時
微笑んでくれたのは
群青の空と
人工の光だった
否、色に名前をつけ
空をその名で形容したしゅんかん
空は人工そのものだったのだ
家路とはなんであろう
物 ....
・
衣替えが近いので
冬服を夏服に入れ替えることにした
天袋の奥にしまいこんでおいた段ボール箱をおろし
夏服を一枚ずつ箪笥の引出しにおさめてゆく
最後に
去年の夏によく着ていた
さくらん ....
気圧の上がらない交差点で
空を見上げた
そこには少しの眩しさを残して
手の距離よりは遥かに遠く
銀鼠の雲が広がっている
知らない街の知らない人々が
交差点とは名ばかりで
これからも互 ....
きき手の手首が
にぶい痛みを届けてくる
午前二時に起きて
針を持つ
からだの芯部から
花びらが
溢れて
とめどなく溢れて
殺風景な部屋を赤やピンクに
踊らせる
女は陽炎を抱えき ....
隣のビルに向かって叫ぶ
レモン!
酸味を含んだ飛沫が
届くといいと思って
レモン!
屋上で
柵に手をかけて
レモン!
箱詰めにしたレモンを
宅急便で送ってお ....
強い風が吹いて手のひらを、どん、と叩く
指や手のひらを過ぎていく風はつるつるしていた
よしよし、と風を撫でる
強い風で乱れる髪を押さえる
指先にからまる髪の毛はつるつるしていた
....
鳴りやまない星が
寝床に降る
重さに抱かれるように目を閉じる
もしかして
もしかして
もしかしてと鳴りながら
おなかの中を撫でられつづける
そのまま長い針がひとまわり
するまで
....
{引用=
雨が降っているの
こころの奥深くで
あの夜のような朝からずっと
それでも空は晴れているから
傘もさせずにびしょ濡れのまま
けれどあなには見えない
魔法のような
私を支 ....
100507
年齢がばれる
こまったと
案ずるなかれ
その時は
ロケットで逃げればよいと
ロボナビを確認したら
北行きは明日だ
....
芽吹きは全ての緑
やがて水蒸気をまとい雲を作る
わずかな五月晴れも次に来る者たちのため
散る花を惜しむ心は
手をかざす真夏の太陽を待つことの言い訳
あるいは
また訪れる静寂の時への
....
春は抱かれ
燃える
緑が芽吹くにおいに居て
眩む
むせかえる
しびれ
新しい手足を産むときの
吐息
甘く
金色のひかりを浴びて
たくさんの顔が歩く
小さな子に
人種について ....
弥勒の雨の降り初め
緑青の音階が透きとおった
川はもう
市街地に集合して海に戻りたがっている。
手のひらに(砂の塩)
29℃の残り香が開け放たれた窓を過ぎ、
鉄の雨が降った
クリーム色を ....
{引用=からだの奥から
たらたらと
わたしが滴り落ちていく
産声とともに泣いた日の
わたしの初めの一滴を含んだ雨で
シーツを洗いたい
足跡にそって
てんてんと広がった池を
みじめな ....
山の麓、谷間の果てる所に家はあり
冬場はいつも風花が舞っていた
ストーブは子供の役目で
おっかなびっくり薪を割り
煙にむせびながら火を起こし湯を沸かした
町までは午前と午後に1本ずつ ....
左折レーンにいた
交差点にしゃがみ込む人たちを見た
赤い小さな水たまりを見た
音声を風が運んだ
がんばって…
がんばって…
助手席の彼女が見たもの
人の言葉を持たない小さな生命が
消え ....
涙、あふれて止まらない
まるで透明な血
鼓動にあわせ
まぶたのずっと奥
体の真ん中から
どくどくあふれて止まらない
もういいからと
誰かが許してくれた
誰? 何を? ....
思い出そうとして、思い出せないまま
思い出せないことを、思っている
みんなキレイで、神様みたいで、
キレイだってだけで、みんな神様みたいにきれいだ
季節が変わる/ハンドクラッピング ....
簡易包装で愛情を逆撫でして、テレビ放送で愛欲を売り物にする。
たいしたものは今更ないけど、発情する身体は求めあうことを忘れようとせずに、疼く芯を自らの手で慰めた。
ア、と声が漏れ ....
科学者風の初老の男に案内され僕は
たわいない冗談もいいながら気軽に
バイオハザードのそれかと思うくらい
深い地下まで降りて行く。
科学者風が見せてくれたのは
マグロ大の深 ....
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