みずばしら
たちばなまこと

凪の海からひとつ
またひとつ
大小のみずばしらがそそりたち
消えて
また生まれ
抑揚
クレッシェンドが見えてくる
乳白色に似た
朝焼けの視界
ヌードカラーのドレスで歩む
なんらかの終演を
探している

海の呼吸は深く
熱く
湿った
息づかい
怖くて
やさしい
みずばしらは情愛
差し出される
情熱の琥珀
泡沫の恋
裏までつづく手紙
すべてを受け入れてはくれない
すべてではない
ひとつの種を請け負いたいだけ
シースルー
情愛が
肌に触れてくる

やり場のない愛が体から滲んで
ドレスを染める
グラデーション
重く
息つぎができなくて
くるしくても
泣けない
表面張力に
もがく
隙間を埋めようとする冷めた手
誘う手
指揮をするのは誰
ダル・セーニョが消えない
みずばしらの情愛
差し出されつづける
イミテーション
朝焼けをまた
はじめから

熱にふくらんだ空を
外側から切り裂いて
新しい風を引き連れ乗りこんでくる
強くてリアルな愛を探している
湿ったドレスを脱ぎ捨てて
金の花ふぶきの
世界へ
示し合って
越えてゆけたら
いいのに





自由詩 みずばしら Copyright たちばなまこと 2010-02-17 15:30:06
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