一滴
プル式

気圧の上がらない交差点で
空を見上げた
そこには少しの眩しさを残して
手の距離よりは遥かに遠く
銀鼠の雲が広がっている

知らない街の知らない人々が
交差点とは名ばかりで
これからも互いに交わらぬ
ただ行き過ぎるだけの人々が
それでも同じ事を感じ
同じ方向を見ている

信号が変わる
人々は前を向き歩き出す
交差点はまだ白く乾いている

電子音のなかで駆け出したのは
点滅し始めた信号の所為だろうか
交差点の端で黒い染みが出来ては
人知れず消えて行った。


自由詩 一滴 Copyright プル式 2010-05-22 23:44:55
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