(雪降る時間 あのひとの指がきらりとひかる、
  わたしはくもりガラスの向こう側で)


あのひとを思うと 白い雪が降って、
わたしの肩にも髪にも舞い落ちる
そしてわたしは あのひとで ....
熱を帯びた扁桃を
通過する
酸味をふくんだえきたいは
ほどよく冷えて
生きていることが
すみずみまで広がっていく
――体温計の中の赤いめもりが行ったり来たり
ひとふさ
ひとふさに
大 ....
手毬とよく似た
日輪の影

不浄を仰ぐやわらかな羽

いつか、どこか、で
お会いしましたか

生まれたばかりの蓄音機
優しい人の手を拾った
深夜だった
路上の片隅に転がるそれは
少し青白く
何だか寂しげに
落とし主が戻るのを待っていた

ひんやりと冷たく
落とせば砕けそうな手だった
それでいて重たく ....
  静かだった……
  禁じられていることは それほど多くはないはずなのに
  ただ、いくつもの瞳だけが 土埃に塗れながら
  風と風の間で何度もはね返っている
  男たちの沈黙はカラ ....
時はいつも人を吹きすぎてゆく
ちいさな想いや願いを散り散りにして

もうあの時のうたは
二度とはうたえない
いちまいの絵のように
すでに過去のギャラリーに
展示されているのだから

 ....
川はそのまま塊を引きずるように流れ、

糸は母と子を零度の息に落とし。

(しばし沈黙のあと)

椅子の脚を引きずる音が鼓膜を満たす。

それは悲鳴に似、烏は屑の中で生まれ、

糸 ....
             140116
なんというのでしょうか
外は快晴
北国の方には嫉まれるような青空
それなのに
寒いだの風が冷たいだの
喉が痛むのだと言いたい放題
マスクが飛ぶよう ....
鏡のなかに
とおく落ちていった
ひとつ
ひとつの
香りのあわれさは
なりゆきを待っている

いくつもの
抜け道にあざむかれてしまう
わずかなすき間にひそむ
その
夜の筋書 ....
火が
ほしかったから、

そっと
恥じらいをまぜて

お月さまに
耳打ちしました
そっと


まるで
玩具のような運命の
わたしです

あわい
夜の吐息にさえ
消 ....
(心配、しないで)


手を絡める
舌が這う
異質が触覚を支配する
追いかける
余韻
雨の匂いがするんだ
朝から
曇っていて
ずっと


帰りのバスの道途中に
空き地に放 ....
水面に月が揺れている

岸の見えない
海の真ん中
それは誰にも見つからない

布製の光が
波の上を滑るように航海する
誰にも掬えない航路を行く

あの人の
おさげ髪が懐かしい
 ....
1度目
剃髪する、というので付添うよと
しんみり待ち合わせ場所に行く
やっほー、とすでにつるつるの頭で現れやがり腹がよじれる
じゃあスキー行こうよ、とそのまま強引に長距離バスへ押し込まれる
 ....
夜明けを失ったネオン街の
交差点
理髪店のテレビモニターにそっと映される
無人攻撃機の視線と
閃光
子供たちの 消えた道
かわいそうね
退屈な声が風に歌う
長く生きられなかっただけだよ ....
ね、といって目を閉じた
静かにその翼を閉じるように
ね、あなたの見る夢のなかに
白い鳥、翼をひろげて飛んでいった
その羽ばたきがかすか、耳もとにくちづける


ね、あなたは今も孤独なのだ ....
父ちゃん
あんお地蔵様な毎日こっちば見よるとよ
戦火でむごう焦げた左っかわ
今日もハンサムよ 
父ちゃんに似てよか男ばい
いたばり出てみれば秋ん風のすーっとすると
こん前どか雪降ったつ ....
紙ねんどでできた魂が
窓ぎわで色あせていました

緑化された街へとつづく
海風にやぶれた辺外の家の
そこだけ乾いた晴れの日のモーヴ

わたしはわたしの火で身を焼いた
「あの日」となづけ ....
ノロマな夏の風が肌に染み込み
この世の全ては鼓動に飲み込まれる

平等に夜はやってくるとして
不可解な事実は複雑にからまり続けるとして
星が、絶え間なく降るように
この世の全ては混沌と ....
丸太をぶったぎる

納得のいくこたえなんかどうでもいいという顔して
みんな部屋をでてく
白いカベ一面にアスベストがキラキラしている
恒星がよわよわしく双子のおたがいをてらす
てら ....
あの眠れなかった夜が嘘のように

六畳の王国へ

怪獣も後悔も連れて行っておくれ
残念な日々はやがてぼくの骨になっていく

木漏れ日はおおきなあくびをさそって
点々と地図を成していく
 ....
しろく しかくい たてものの中から かわいた無数の命の声がするのを
しずめるかのような噴水

しろさ きわだつ 広島平和記念資料館を想いながら
床についてみた夢は
しろい塩で できた ....
ひとは
母音だけで会話するときに
かならずしも
自分に正直だとはかぎらない
相手に誠実だともかぎらない

水色のキャンディが
口の中で溶けていく速さで
きみはやがて
いろいろなことを ....
八月一日
骨を転がす夢を見た



八月二日
私ではない、誰かの



八月三日
ブレーキを踏む摩擦の音



八月四日
君は居ない、もう居ない



 ....
胸が裂けた
君のほのあかるい口笛が響く
それを掬う手つきで
詩を書こう

涙が音楽をとじこめている
どこかで聞いたことがあるような
ないような
1?だけ浮き上がる
空を描くように
 ....
雨のなかの馬
時間さえ檻のなかに閉じ込められる
そっと名前を呼んだ
季節が過ぎて青いさびしさが満ちてくる


後ろさえ振り向かず駆けていこうとする
雫のビーズをまき散らす夢よ
どうか名 ....
触れられない


ウミガメの産卵をはらはらと見つめるように
あなたの泣き顔を見つめる私です
あなたは苦しんでいるというのに
私はあなたに触れられない
透明なのです

朗々 ....
あなたの庭はなんの匂いもしない

野球中継
祝日
汚れたスニーカー

擦り切れてゆく生活のなかで

煮える卵
砂壁
青空

だれがわたしたちを救えるだろう?

液晶モニ ....
素足で夏を渡るよ

片足立ちの小石の上で足を擦る
渡り切れない小川の真ん中

一匹
木漏れ日をぬけて
羽根を濡らして 染めて
谷を越える

うなり始めた風
光に濡れながら

 ....
白く反射する月を
見つめていると
見えない血がにじんで来る
無言はしたしい
いつかのさようならが
ふたたびあいさつをしている
忘れていたことを
思い出す



 ....
どの道も
少し進んだところでたち消える
草原の三叉路
生い茂る草は風の方角に
倒れては起き上がる波

恋慕い
探し求めたものを見失い
(つまり触れ得た事のないものの喪失のあげく)

 ....
あまねさんのおすすめリスト(2013)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
手のひらの花、そしてあのひとの雪- 石瀬琳々自由詩9*14-1-22
かんきつ- そらの珊 ...自由詩20*14-1-22
金糸雀- 千波 一 ...自由詩314-1-22
優しい人の手- 自由詩8*14-1-21
エーテル_16- 草野春心自由詩414-1-20
風のギャラリー- 梅昆布茶自由詩1814-1-19
「肉体から出でて、呼吸の跡」- 宇野康平自由詩214-1-18
なにか- あおば自由詩15*14-1-16
水の儀- 千波 一 ...自由詩314-1-14
越権- 千波 一 ...自由詩614-1-12
雨糸- 凛々椿自由詩714-1-8
光造船- うみこ自由詩4*13-12-26
_3度目の付添いだが今回はスキーとは関係無かった。- mizu K自由詩9*13-12-17
さよならの日に- 凛々椿自由詩913-12-15
白い鳥、飛んでいった- 石瀬琳々自由詩12*13-11-20
風の子の弔う- 凛々椿自由詩513-10-1
神のアール- 平井容子自由詩1113-10-1
ほしあいのうた- as自由詩313-8-6
チェリー- モリマサ ...自由詩513-8-6
星降る布団にオーロラかけて- カマキリ自由詩413-8-5
- るるりら自由詩26*13-8-5
虹のすべて- 大覚アキ ...自由詩713-8-5
繰り返す八月- ニワコ自由詩8*13-8-3
Conductor- うめぜき自由詩513-7-22
雨のなかの馬- 石瀬琳々自由詩18*13-7-18
触れられない- 田園自由詩1013-7-18
- はるな自由詩813-7-15
キャンプサイト- ぎへいじ自由詩14*13-7-15
回帰- こしごえ自由詩5*13-7-14
旅の終わり____渡らない鳥に- Lucy自由詩23*13-7-13

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68