膝下五センチのスカート丈
三つ折りの白い靴下
おかっぱに切りそろえた髪
私は校則通りの平凡な中学生
ふくらはぎ下までのスカート丈
伸ばしたままの靴下
パーマがかかった茶髪
そう、あな ....
今さら遅いと思います。
最後の話は
富ヶ谷の空
まぁるく描かれた
ジェットの雲
五色の輪のことでした
その話をした刹那
一〇歳の僕は
テレビから飛び出して
庭に駆け下 ....
ある冬晴れの日のその空と
同じ色の表紙をした
日記を買った
他に種類はたくさんあったのだが
それはひときわ僕の目を惹いて
一度手に取り
一度戻して
もう一度手に取り買ったのだった
....
あともう少しと思うところで
火を止めるのよ
もう薪はくべなくていい
蓋をあけてはだめ
後は鍋ごとさめるのを
待つの
ゆっくりさめながら
ジャムはだんだんジャムになるから
リスの母さんは ....
医師はどこにも病気が
見あたらないというのだがー
汚れた世界をばかりを見続けていた
とも思えないが 硝子体に埃が溜まって
見つめる視野の中心が霞み
左目で見る妻に ....
冬の子どもたちが
落ち葉のマントを纏って
手をつなぎ
かごめかごめをしている
誰かが
あっちだ
と言って走り出すと
手をつないだままで
一斉に駆け出していく
遅れた子を 心配 ....
山道は
うつらうつらと 川のように曲がりくねり
日差しが 折り紙の 折り目のよう
知識の折りたたまれた場所に
潤うしい硯の前に 座ろう
花は、テーブルにひとつあれば いい ....
心の言葉と 言葉の心
写し身流れ 姿はともる
おりごとの戸の 金具は錆びて
つけかえる鍵 やがてはつきる
のぞきこむ目が 目隠しをする
指文字が消す しめった曇り
息吹きかけて ....
誕生日いがいは
お祝いの日じゃない
なんでもない日が
ずっと
毎日続いているけど
グッと耐えて生きていく
🌼
私は今
自分という人間を
ふるいにかけて ....
化粧を落としても
わたしは見えない
そこには
皺と染みの増えた顔があるだけ
わたしはまだ
様々なことに怯え
かたかたと震える
小さな小さな
わたしだというのに
化粧を落として ....
しなしななのに なんという瑞々しさよ 冬のほうれん草 おひたしの濃緑よ
※「松島の月まづ心にかかりて」芭蕉
ー崖の上から延びる松の枝
その先に見える月と海
回復できないクラゲが漂う水面に
揺らめいているのは風の溜息か
天空にはクラゲの昇天 ....
tegami
手紙は来ない
無名戦士の墓に春が訪れ
風が花びらをそのうえに散り敷こうとも
ときどきその墓標を濡らした雨があがり
空をよこぎるように虹が橋を架けたとしても
乙女た ....
それは現代詩
たぶん現代詩
祝!現代詩
頭痛に現代詩
ごっつ現代詩
馬の耳に現代詩
目.肩.腰に現代詩
とびだせ現代詩
ストップ現代詩
主演現代詩
脚本現代詩
監督現代詩
近日 ....
降ってきた切片から傾きが動く
交点AからBの間に突然のA'
無限遠を目指そうとするA'
余韻の曲線は第一象限に浮かび上がる
不安定な遠心力でA'
引き戻されては離れていくA'
正弦波を忠実 ....
あと一口
もう一口
全部食べてしまった
寝る前
プライドや
スキルや
イデオロギーといった
後付けアイテムで体裁を整え
何層にも膜を張って
“ ハッタリ ”という殻で
コーティングしたら
実物より
やや立派に見えた
だが
....
陽のあたる書棚 憩う一羽の本
タランチュラのような手が二つ
美しい表紙を捕まえると
隙間なく閉じられた頁に太い指が滑り
弛緩した貝 白いはらわたよ
青く刺青された文字は星 ....
何か栄養素が足りないような思考
無意識に生姜湯と書いたメモに従い はちみつ不要で机の上
もう少しで つわりの時期を終える
猫がしょぼーんと鳴いている ごめん かまってあげられない
ベ ....
僕の心には池があり
そこには
白い花が咲いている
人を憎しんだり
恨んだりするたびに
濁った水から赤い蕾を出し
パンと空気を震わせて
その花は清らかに咲く
どうしても
どうし ....
人間がやっていることはすべてただの苦しみなのか。
人間は、ほかの生き物に 食べられたり殺されたりすることが
あまり無いからなのか ときより悪魔について考える。
いやいや
我々だっ ....
赤は止まれ
青は進め
黄色は注意
生まれて初めて知った
極めて普遍的な社会ルール
それは母が私の手を握りながら
真剣な面持ちで教えてくれた
その日パシフィックノースウエスト地方を吹き ....
{引用=
糸を吐く
吐きつづける
安住する繭を紡ぐためでなく、
時は、裸形の
いつわることのない
思秋期
無月の夜に さまよい
眠りにたゆむ街に
星の つつし ....
スキップが出来た日
ひとりの道を楽しむ会の
仲間になった
逆上がりが出来た日
さかさまを楽しむ会の
仲間になった
しびびーが出来た日
くさむらを楽しむ会の
仲間になった
....
土に還れない落ち葉は
一枚一枚
くっきりと形をとどめたまま
美しい標本のように
雨の舗道に貼りついて
幾度も
踏みしだかれ
やがて晴れた日の
風に
粉末となって
舞い上がる
たたかれても 怖がられても
一日中笑顔で過ごす
他には表情が無いから
人間と同じ姿に作られて
どこで間違ったか
喜怒哀楽が有るように錯覚されて
人と遊びたいとも思わない ....
責めてはいけない
倦怠を背負い 今だけと 撫でる明るめの色の心を
いつだって 怠けている訳ではない
責めてはいけない
私は今もミジンマジメで 責めようと時間を行き来する
....
雨が窓を叩いてる
風が夜をかきまぜている
遠いところから
押し寄せてくる
怖い記憶に
目を覚ます
かたわらに幼子がいた頃は
守らねばという決意が
こんな時私の背筋を支え
薄闇 ....
愛とか
愛に似たものとか
愛と呼びたいものとか
愛したいものとか
愛しても届かないものとか
愛したらいつか届くんじゃないかと思うものとか
付箋をつけた愛とか
血糊みたいにべっとりした愛と ....
輝く雲の湧きあがる空の果て
若者の最期は誰にも見届けられない
彼は太陽をその目に捉えて
振り返った時には姿を消していたのだ
母は名を呼び続け
長の年月探し続けたが
父は真新しい墓へ参る度に ....
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