{引用=
シロナガスクジラの背中にのっかって幸せだった波に夢みる
(さみしくて、さみしくて、ずっとさみしくて、しあわせすぎて、死にたかった)
....
触れる
あなたと手が触れる
コレクションを手渡した
ほんの 一瞬
....
都会の暮らしを
母は嫌った
あの時の母の歳に近づくほど
その気持ちが
わかり始めている
わたしは間違っていたのかもしれない
けれどすべては過程なのだ
あるべきところに
....
自由を弄ぶように
放たれた色
その花びらは
背景を飲み込んでしまうほど
鮮やかにひろがっている
重たい首をしならせながら
それでも
うつむかないように
あなたは
その滑らかな ....
茫漠
すぎてゆくなかでの空気との距離が春をかえ
目をほそめるかれさえも浮遊されていた
宵に浸かってゆく丘に、しずかにおちる(あなたと)星が、
ぼくはまぶたをあけても見えなく ....
いつ果てるかわからない
通学路の行きつく先について考えていた
履きなれない道で靴擦れを起こして泣いた
あの時頬を叩いたのは母だった
空を水色で塗りたくれば正しいと
押しつけられたような気 ....
あのひとの
ギターをはじく手の速さ
見ているだけで
悲しくなる
鳴き声が
F1かarの
鳴きごえに
モラトリアムの
透明な壁伝いに歩いていたら
いつの間にか
歪な円運動を繰り返していた
足を上げると
そこに階段が出来上がり
振り返れば
過去が螺旋状に積み重なっていた
同じ ....
傲慢を隠し持って
80センチメートルの高さから引力に引き寄せられ転落して
右の額と頬骨は優しさを誇示し脳をまもって
真っ暗な無痛の感覚から小さな円が拡大して
モノト ....
ぼくはまだいちご泥棒と眠りたい置き忘れたものばかりの園で
衝動を積み上げていく指先に梶井のレモンわたしのオレンジ
気だるさはインクに滲み水底の青い散文髪に絡まる
....
無駄にやたらに生まれてきたのだから
無駄にやたらに死んでいくのはしかたがないこと
この際自殺は承認しましょう
死にたい方はまず家族にきちんと説明をして納得してもらってください
....
ここから見えるのは緩やかな勾配と
奥行きのある青い空
越えられぬ丘と誰かが呼んだ
そういうものがあるのだと
そういうこともあるのだと
例えばパレードを追い掛けていく子供が
その浅いふも ....
あたしにとっては
衝撃的な出会いだった
あたしのキモチは
反転し
燃えあがり
熱くなりすぎた
じれるような日々
会えないつらさ
つのる愛しさ
無機質でも
あたたかい ....
砕け散るはやぶさの下ひとすじの軌跡をえがきカプセル還る
肩書きは「青い新宿回遊魚」まだあのひとはいますかここに
膝を抱き「東京事変」聴いていた人恋しくてベゴニアを買う
束縛を嫌いみずから糸切れば動けなくな ....
億劫な時間に堕ちた鼻声
飲み忘れた風邪薬はじっと息を潜めていて
嫌なことばかりを思い出してしまう
咳払いをする度に捨てられてゆく羞恥心と
塵も積もれば山となりゆく倦怠
冷房の真下で居眠り ....
久かたぶりに訪れた渋谷センター街
取り壊し中の建物とかあったりして何となく余所よそしさを覚える
平日の昼間ってこともあるのだろうけど
チーマー、ガングロな人びと
そして神話の国の神話な ....
特大の飴玉を飲み込んでも死ねませんでした
熱いチョコレートをバケツで被っても溶けませんでした
「この甘い気分のまま死んでしまいたい」
とは
どうすればいいのかな
....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
とんでもないウイルスが流行っちゃった
とにかくドバーッと急激に地球に降り注いだ
その速度たるや、なんかもうやばかった
人間だけが感染する、死亡率120%のウイルスだ
人々はバタバタ死んでいった ....
自分という分
それは世界の一部分
60億種類の自分があって世界がある
自分がない人なんていない
俺には自分がなかった
だからさんざんつけこまれてきた
誘惑されまくったし いじめられまく ....
受けた悪意を憎しみで返してはフモウだ、と
そう言われても、この手は随分前から汚れていたんだよ。
笑われたら怒って
陰湿なことにはそれを返すし、
周りのみんなと
同じように汚れていたんだよ ....
秋の終わり、こんな夢を見た。
わたしは船の上にいる。船は霧に包まれる。朝なのか、夕なのか、それが分からないので朝霧とも夕霧ともいえない。海の霧だ。天候が悪くなれば、このように霧が立つこともあるの ....
{画像=100613231219.jpg}
{引用=
黄昏たちの回廊
夕闇に漂う影が伸び
遊び疲れた風がぬける
....
雨が似合う日に
とっておきの
憂鬱を着て
雨が似合う道を
お気に入りの
傘をさして
雨が似合う花に
こっそり
逢いにいく
雨が似合う人には
なかなか
なれそうにないけれど
もう雨は
嫌いじゃ ....
眩むように
ひそやかで
賑わうように
うら寂しく
微かに浮き立つ
輪郭を描写するような
凝縮された時間の果ての
雪洞にも似た夜の入口に導かれ
僕は
記憶の中、
遠くか ....
海の向こうから来た手紙
躊躇わない見慣れた文字が、
心に触れるのです
確かに
生きる意味があるように
昔を思い出す、力が湧いてくるような
元気でいらっしゃるのですね
少し怒りっぽい
....
遠い風/海の凪
光の海/遠い風
潮騒を割り溢れ出る光の帯
遠く海を渡るカモメが一羽
君のもとへ早く
焦らずに帰ろう
遠い風/海の凪
もう陽がしずむ
曖昧になる境界
遠い海 ....
忘れられた小さな空がある。
初夏の風を受けて
駅に続くなだらかな坂道を
歩く途中にある
金網のフェンス越しに
名も知らない花の群生
赤紫の小さな花を
背の高い茎にたくさんつけなが ....
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