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都会の暮らしを
母は嫌った
あの時の母の歳に近づくほど
その気持ちが
わかり始めている

わたしは間違っていたのかもしれない
けれどすべては過程なのだ
あるべきところに
 ....
 
 
こどもの服が
床に落ちている

拾うとわたしは
着たくなっている

こんなに小さな服に
おさまっていた
わたしが
 
 
 
 
こびとの ふねが
ちいさな おおきな ふねが
たそがれの
うみへ きえてゆく

いま みたばかりの
まど まど まどが
そこからみえた
ゆうやけの
ひとつ ひとつでも
 ....
 
 
ふと鏡にうつる
その男を
街にやってきた頃
わたしは見ていた気がする

街に来た母と
ある居酒屋で飲みながら
いつか海外旅行に連れてってやると
豪語した
そのカウンターの ....
 
誰もいない掌に
ひとり
立っていた気がする

地平線を探して
生命線に沿いながら
ひとり
歩いていた気がする

それはわたし
ではなかったかと思う

陽が落ちて

重 ....
 
ふりむけば植物しか生えていなくてもそこで生まれて生きたわたし

さといもを剥くために研ぐ包丁にうつるわたしさといもがひとり

街と人逢うたびわたし旅をした別れの数とひとしい夜だけ

 ....
 
あの日
あなたはひとりだった

わたしも
あの日ひとりだった

今はあなたはふたりで
おなかには
もうひとりいるのだという

わたしも今は
さんにんだ
 ....
 
朝おきると
窓の外
雪がふっている

ふとわたしは
ゆきちゃんのことを思い出す
歯を磨いてるときも
窓の外を見て

ゆきちゃんが
ふっている
と呟く

ゆきちゃんってだ ....
 
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう

やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる

もっ ....
 
だって
家族はコンピュータだから
のひとことで
だれもが無口になった
そのことが不思議でしょうがない
子供が欲しがるものといえば
ファミリー・コンピュータ

わたしたちは家族です ....
 
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした

できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
 
おなじ水が
おなじ水のほうへ
ながれてゆくように
僕らは
さかなになりました

僕らはいつしか
濡れたからだで
水辺に立ち尽くしていました

はじめて会った
気がしませんで ....
 
釣りは飽きてしまったようだ
さかながいないからしかたがない
父さんだけが夢中になって
往生際がわるかった

ふりむけば
木のベンチで息子がねむってる
一億年前から
そうしていたよ ....
 
そういえば
結婚式しなかったね
ときどき妻が言う
僕は聴こえないふりをする

本当に
妻がそう言ったのか
確証のないまま過ぎてしまう
日々の幻聴のように

出会ってから
十 ....
 
獣たちがさわいでる
奪われたものを奪うため
あの山なみの
とても深いところで

秋の次には冬がきて
春はかならずやってきて
めぐりめぐって谷底を
ながれる夏の
水はもうなかった ....
 
なぜだろう
ただそれだけのことなのに
いらないものが
少しもない

テレビで見たものを買うよりも
増えていく
たくさんのあなたやあなた
そしてあなたも

それでいて
どこか ....
 
雑音が聞こえる
鞄の中から
聞こえる声を聞きながら
母は呆けた

雑音が聞こえなければ
昔のような
声で母は話した

鞄の中から
雑音が聞こえると
途端に母は
声を濁らせ ....
 
本家にはいつも
猫がいた
本家とよばれる所には
いつだって
猫がいるのだった

お盆とお正月に
本家に帰ると
やはり猫がいた
けれどもその猫は
おなじ猫ではなかった

お ....
 
父さんと
楽天の試合を見にいった
けれども本当は
野球よりも球場を一周する
小さな汽車に乗りたかったから
父さんは入場券をポケットにしまって
試合が終わるまで
何度も何度も汽車に乗 ....
 
秋に夜が訪れて
炭酸水が流れこむと
暗い海の底
音もなく稲穂が揺れる

えら呼吸をはじめる
溺れないように
母が子守唄を歌う

目を覚ますまで
魚になる
泡をこらえて ....
《81》柴田望さんの小川 葉さんおすすめリスト(20)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
過程- 小川 葉自由詩410-6-17
- 小川 葉自由詩5*10-6-10
浮舟- 小川 葉自由詩4*09-10-2
鏡の男- 小川 葉自由詩309-9-26
掌に、影法師- 小川 葉自由詩409-3-1
ぼくの青い空から- 小川 葉短歌109-2-21
- 小川 葉自由詩309-2-21
雪ちゃん- 小川 葉自由詩3*09-2-1
- 小川 葉自由詩21*08-12-8
_ファミリー・コンピュータ- 小川 葉自由詩3*08-12-3
椅子- 小川 葉自由詩21*08-11-30
おなじ水のほうへ- 小川 葉自由詩1208-11-23
一億年前の休日- 小川 葉自由詩2008-11-2
聴こえないふり- 小川 葉自由詩12+08-10-17
世界山脈- 小川 葉自由詩408-10-8
キャベツ畑- 小川 葉自由詩308-10-1
- 小川 葉自由詩17+*08-9-29
毛を舐める猫- 小川 葉自由詩7*08-9-23
僕らの休日- 小川 葉自由詩16*08-9-17
微炭酸- 小川 葉自由詩11*08-9-14

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