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これが泣いている、
という行為
大粒の雨が
ぼたり、ぼたり、と
音を立てる


わかってあげられない
ティッシュを差し出すこと
背中をさすること
それしかできない


それで ....
あなたがあなたであるために

あなたがあなたであることを

あなたの限り、
生きぬいてください


昔、ひとりの修行僧がいた。彼は、心が完全に澄み、あらゆる悩みや欲望が彼を通過していき、何物にも動かされない境地を目指した。物事に動かされないようにと、彼はどんどん重くなっていった。瞑想や思索 ....
駅の端の小さな改札口で君を待っている
電車がくるたびにパラパラと降りてくるひとりひとり
ここではそんなに多くの人間が行き交うわけでは決してなく
鳥かごみたいな短い階段を
家路につく人たちが通り ....
                 081025





くつしたが
くつしたがくつしたがと
悲鳴を上げるので
靴下がと
穴の開いた靴下が
靴の中で欠伸する

石ころを蹴っ飛 ....
遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている

逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡 ....
14歳のリストカットとか
俺にはギャグにしか思えない
その計り知れない悩み
や悲しみ
分からない
分かることできない
スマン、
俺も君と同じく
現実見てないんだ
テレビ見てるんだ
 ....
もしも
花弁が落ちたなら
終わりましょう、
きょうを

あしたを向いて


もしも吐息を
こおらせたなら
呼び直しましょう、
水の微熱を

いのちの名前を


 ....
踏み外した のでなく おちていた。

 晴れていた のに ぬかっていた。

 ハンドルに力が入ったのは、 思い出したから

 前を見ていた のに 何が映っていたの

 坂道は  ....
きみに降る雨の日を
ぼくは知らない

いちばん、
知らない

余地の
あり過ぎることが
迷子という方角を狂わせて

ときどきぼくは
ひどくさまよう



ついつい ....
 
新鮮な一日が、しっかりと刻まれて
そうやって日々は降り積もる記憶の集積とともに
思い出という曖昧な残像を胸に刻む

けれどそれは曖昧がゆえに
それ以上あせることのない色を保つこ ....
{引用=
いつも考える私は黒い上下の服で
見つめる白い棺の中身に顔がない



たわむれに
両手でそっと抱いた母の
細さに泣きたくて
三歩
あゆめ  ず

たわむれの
 ....
叱るつもりが
感情に身を任せ怒っている
自分の醜い姿に気づく

ひとは誰でも
誰かを叱ったり怒ったり出来ないはずなのに

自らの思いを通そうとでもするのか
声を荒げてみたり
ときは手 ....
今夜はブルーベリー酒で、一杯
甘ったるいお酒が好きです
そうして甘ったるいことばを吐く

大した意味などないけれども
わたしは甘ったるさを舌で転がしては
その中に辛さを味わおうとする

 ....
月を遠ざけるものを捜して
迷い込んだ森

薄紙で封印された
わたしを引き裂いて
生まれてくるものがある
皮膚がわたしを押さえつけていた
だから、だ

破りとられて流し続ける
温かい ....
僕は何の脈略もなく選び取ったはずだった

図書館でその彫刻の本を手に取ったのは
静かで凛とした佇まいの彫刻が気になったからで

図書館でその詩集を手に取ったのは
背筋を伸ばして凛と生きた作 ....
触れあうと 音もなく
はがれ落ちた 鱗は
ひとつひとつ 淡く発光して
僕たちは 喪失のただなかに
いびつな突起物を
あてがいつづける
いくつもの 鮮烈な傷跡を
つめたい指 ....
浅瀬に繁る葦たちを敏く一望に過ぎ、
彼の地エジプトでの安らかな暮らしを恋う
されど、ああ。すでにサファイアの瞳に囚われたこの身
ただ、鉛色の心に惹かれては哀しみを知り、
涙の雫で翼を濡らしてさ ....
眩しい今日
雀がせわしく
朝の挨拶

魚の焼ける匂いに
ピンと張るひげ

眠気には勝てず
我輩は身体を丸めて
もうひと眠り

ぽかぽかお日さま追い掛けて
何度も寝場所を変えな ....
              081018




マグネチツクスピーカーを分解する
可動鉄片のバランスが悪いようなので
隙間から覗いてみたら
支柱の0.2?ほどの綱鉄線が片側切れ ....
陽射しが勝ち誇っている
圧倒される肌や
追いやられた雲たちを見まわして
自惚れている
晴天に
傘、

傘を抱えている、
チラ、不審、チラ、白い目、が、チラ、チラ、と、
きみの傘、
 ....
この世で一番に苦く美味い酒は
心が独りぼっちになった時になって
初めて味わえるもんなんだぜ

独りぼっちになる為に
どうしたら良いのかって言えば
まぁ割と単純で簡単なことでさ

例えば ....
 
みわたすかぎりの草原でした
一頭二頭と牛が産まれると
そこは牧場とよばれました
牛は子供のように戯れて
やがて大人になると柵を越えていきました
柵をこえずに残る牛もいました
牧場とい ....
体の硬い猫はいないけど
耳の硬い猫ならいる

そんな猫の耳ほど
裏返されて戻るときに
ピン!
と音を立てるもので

猫よ
その音
自分で自分に聞こえているか

面白がって
誰 ....
日没


『境界』
春の砂浜にも眠気がありました
くるぶしあたりを行き来します
つめたいって声がよく笑いすぎる
何度だって挨拶を交わしながら
波打ちたくなる感覚に
初めて足の親指 ....
君との愛を冷凍しておけばよかった
そしたら欲しい時にチンして手元におけたのに
だけど想いは儚く
甘いアイスクリームのように溶けてしまった
さよならは平行線
ただ違う道を行くだけ
君の行く先 ....
雨にさえ取り残されたこの灰色の殻の中には
心地よさにも似た悲しみ、
急ぎ足の夕焼けを追いかける時の心が満ちていて
言葉にならない言葉たちの反響がふざけ合っている
外殻を打ちつけるつぶての丸い表 ....
「ああ私達もう終わりね」
そう移ろう木々が囁いていた
人生の挽歌を唄いながら
僕らの終焉を見送る様に

木枯らしのもたらす冷たさが
君の手を凍えさせているのに
もう僕は君の手を握る術を知 ....
赤い風船みたいな顔をした男がぼくの目の前に立っていた
喉に針を刺したら萎んで窓から飛んでいきそうな顔だった
男が邪魔で外の景色が見えない、どうせ霞んだ風景だろうけど風船を見るよりは幾分ましだ
ぼ ....
夜中のしずけさの中で
言葉が涙をこぼしている
いたらなかったこと
おこらせたこと
言葉であるために泣いていた

言葉が化粧をするときは
ひとを欺くため
言葉が銃を持つときは
ひと ....
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