filament
ねことら
触れあうと 音もなく
はがれ落ちた 鱗は
ひとつひとつ 淡く発光して
僕たちは 喪失のただなかに
いびつな突起物を
あてがいつづける
いくつもの 鮮烈な傷跡を
つめたい指先で 埋葬しあう
水に潜るように
すきとおってゆく
もういちど
みずのそこ
発光する フィラメント
もう両手で
覆ってもいいよ
ターコイズブルーのくらやみ
そのほとりで したたっている
あてがわれた格子 乾いた金属のおと
残響だけを だきしめる
こごえたからだを
スチームであたためてやると
仄白くもえているようで
微細な銀河を秘匿する
この数十キログラムの
ふたしかな 二個のもの
とぎれた送電線の 奥底
あたためられた遺跡から
かぎりなく ゆるやかに
再生された
無色の ひかり
(フィラメント
その きえいるまえの
またたきで
遊ぶように
泳ぎつかれながら
僕たちは いきよう