080516
偶然と書いて
ぐうぜんと読ませる
ぐうぜんが生まれ
ぐうぜんが目覚める
ぐうぜんが欠伸をする
起きろ!
朝だ! 起きろ!
....
なにげなく偶然に
となりどうしになった、名前
お互いブランコだなあって
思った、夜
こいでるスピードもたぶん違うし
わたしは何かとものを言いたがるから
足でとめて また土をける け ....
カメラに向かい
天気図を背にして
「午後から雨になります」
と伝え
小さく頭を下げ
辞表を提出し
その日の午後
先生は雨になった
それは小さな雨だったが
傘を ....
降り注ぐ陽光の
ウルトラバイオレット
億千万の雨粒は
一つ残らず光線に撃ち抜かれ
無数のプリズムが
宙に弾けては消えていく
木漏れ日の中で
メロディは加速する
水たまりがスプラッシュす ....
仰向けになった僕の胸に、女がうつぶせていた。二人は裸で、繋がったままでいるから、少し動くたびに、女は小さくため息をこぼした。キスをするとその湿った息で、重たくないかと聞かれた。大丈夫、胸の上で寝かせる ....
わたしはあなたの顔をつかんで
こじあける 歯型 の
わたしの腕を救いだす
床板をたたく あなたのかかとが荒い
並ぶまで屈めて 指先で
ちいさくバツのしるしをつくる
しい と
前歯で息 ....
・
わたしの家の郵便受けには
朝になるといつも
赤い花がいっぱいに届けられる
露を含んでぽったりと
流れ出しそうな赤い花だ
どこかにわたしを好きな人でもいるのだろうか
捨てるに捨てられな ....
篠田美優
「新しいスタート」
我らがミユタンの久しぶりのニュー・シングルは、
なんと彼女自身が作詞を手掛けている。
近頃では声優での活躍が目立っていた彼女だが、 ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない
誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる
*
夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
手首のそれらは
恰好の題材となったことだろう
吐き気をもよおしながらも
最悪という名の底からすくいとることを
忘れてはいない
口をつぐむしかなかった
振る舞いに不協和音が混じってい ....
その夜の悲しみは
液状をしていたので
私の輪郭が
どんなに複雑な形をしていようが
細部にまで浸透してしまうから
やりきれない
こんなことなら
笑える似顔絵でも
描いて行ってもら ....
毒林檎を食べて死ななかった 白雪姫がいるように
姫というヤツは、毒より強い
ケダモノとクダモノとで できている
動脈と静脈みたいに
ケダモノとクダモノが
体の ....
殺人事件のあった部屋で
終始悲鳴をあげている誰か
飲み込まなくてよかった何か
気にとめないでよかった在りか
眼のかすみだと思い込んで
そこに居た影を忘れた
たちくら ....
つい
これがまた
癖のように
パソコンの
スタートボタンを押して
それで何かが
始まるような
気分でいる
画面の陰に
立ち上がる
1匹
なにも ....
いつもじとじと湿っているこの街が
珍しくからっとしている
空に雲はなく
赤裸々に青を露出させている
そしてぼくは手帳の予定をなぞる
風は穏やかに通り過ぎ
なにごともない
なのに
....
できれば少女のまま
死にたかったのに
星を撃ち落として
泣いた
冷蔵庫のなかの花は
ひんやりしてた
リボンは全部
捨てた
だれかの孤独を ....
買って帰って
組み立ててよ
おれを
そのあと
一生飼っておくれよ
使えない奴だなんて言わないで
やさしくして
やさしくするからさ
たまには
散歩に連れてってよ
いっしょに真 ....
朝起きると気付いた、空は貼り付いているんだ
青色のセロファンが
電球を通して海を染めているんだ
それを知ったのは今日だった
間違いも無く今日だったんだ
昼に目を瞑って気付いた、ぼくの心臓 ....
「27時に旦那さんが帰ってくる」
25時と言う表現は当たり前になってきたけれど、
未だに週の第八番目の日は出てこない。
当たり前なのだけど、何となく苛っとする。
実際には東京の空が四角 ....
「あなたにしかできないことがあるので
どうかいっしょにきてください」と
いきなり見知らぬ紳士に呼び止められた
物騒な犯罪やらも頭をかすめたけれど
「ほら あそこです いそいでください ....
朽ち果てた石
その微かな記憶
落葉樹は閉ざされたが
薄く匂っている
末端という末端に
隙間という隙間に
うずら料理の美味しい店で
わたしは女に求婚した
手の甲の静脈は変わること ....
紙の資料と液晶の画面を見比べながら
音のない空間で独り言を繰り返す
大概が自身への愚痴でしかなく
誰かに聞かせる類とは言い難い
大型連休の中日とはいえ
どうせ家に居てもやる事もなく
約 ....
孤独はある種の病である
別にうつりはしない
うつりはしないが
放置すれば進む
悪くすると死に至る
どんな病でも同じであるが
早めの処置が
肝要 ....
昨日からの鎖が千切れていくのがわかりますか。
俺はいま、緊張感をもってびしびしと実感しているのですが。
聞こえない谷へのご案内。 ....
「猫を探しています」
と書かれた手製のチラシが
郵便受けに入っていた
「名前 小太郎 茶虎 体重4kg」
茶虎の猫といったら
このあたりでも野良でたくさんいる
正直見つか ....
「ふわりとうかびたい。」
わたしに真っ赤なルージュはにあわ
ないから。
何を期待、しているの?
(頭上の世界をささえる柱は有害な気がしてならな
....
かってなおねがいですが
あんまりとおいと
さみしいので
あんまりちかいと
せわしないので
どうぞそのへんで
うろうろしててください
かってなおねがいですが
ぼくはひ ....
殺んのかコラッと言ったものが殺られた
バーテンダーが殺られるべくして殺られた
抗争が殺られるまで始まった
沖縄の青い魚がモリで射抜かれた
太陽が昼を殺った
事務所が爆 ....
・
小さい頃
コーヒーとは
空色ののみものだと思っていた
すくなくとも
母親が眠れない夜にいつも作ってくれた
ミルクコーヒーは
曇りの日にふと覗く
青空の色をしていた
それなのに ....
澄んだ湖に ぽいっ と
石が投げ入れられた
綺麗な水面が崩れるのを
少し切ない気持ちで
見ている
乱れた湖水をしずめるのに
この手のひらは
水になれぬ野蛮
かき回すことなら
....
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