隣部屋から漏れる電話の呼び鈴に
ふと現実に立ち返る瞬間を感じる
さっきまでホテルの窓から見えた
電光掲示板の宣伝文句を
眺めてばかりいただけだった

月が見えるほど暗くなく
星が瞬くほど ....
思い出を右から左に
並べて行く

海の見える場所に
家を建てた
波の音が聞こえ
潮風が吹いて
ウミネコでも鳴けば
と思い続けてもう
ペンキもはがれてきたのに

ぼくの昨日は消 ....
{引用=
海浜で鯨類が集団で座礁するこの現象は世界各地で報告されており、ストランディングとも呼ばれる。日本の沿岸では2000年に219個体のクジラ・イルカ類の座礁が報告された。
座礁の原因は明確で ....
寒い

僕の家だけ
シベリア
いえ
僕の部屋だけ
ツンドラ

窓の外では
光を跳ね返す素材の
白いビキニさえ
ありふれているようです
布団に包まり
鼻からつらら
僕は餃子男 ....
わたしはこわい
あなたがこわい
あなたに見られるのが
感じられるのが
思われるのが

こわい

こわくていつも
嘘をついてしまう
嘘をついて生きてしまう
わたしは嘘をついて
わ ....
よく生きたい、生きたいで
ここまで貪ったものだ
当然、罰は受けてもらう
罪を報いろ
この餓鬼が

あはは、、
腹減ってさ
どうでもいいけど
おじさん髭ない方がイケてるよ
まだもてる ....
こっそりと
ゆびわをかじると きいん とする
ぽっかりと
ちいさなあなのあいた夜

空の一部を
せろはんてーぷのぎざぎざで
ひかりのかたちに
切り抜く


わたしのへやで
ちか ....
脳味噌が敏感だった
幼かりしあの日々、嗚呼
あの時間こそまさに類を見ない至宝であったのに!
テクノの砂浜、ザリザリと歩いて
顔を突っ伏したって今じゃ
ちっとも痺れたりしない
強 ....
古生代、シルル期の海に
かつて繁栄した太古の生物
生きた化石と呼ばれるカブトガニと同じ
三葉虫から進化したアグラスピスを先祖にもつ

広翼網の特徴である外殻は「天使の翼」と称され
四角い頭 ....
今私の頭の上には呆けたような空がある。
長い長い長い年月の間に己がなにものであったかをすっかり置いてきてしまったような様である。

誰もいない公園のベンチに横になる。少し躯をぎゅうと伸ばして ....
 思い違いで吐いたせりふに
 独りの夜が寝られない
 震える心は何故なのか
 
 人が恐い 人の悪意が恐ろしい

 人を信じることを諦めた時
 生きてることは痛々しい
 人の心は季節の ....
悪いことは言わないから
今日は村の外に出ない方がいいとおもうよ
とくに今夜みたいな月のない夜にはね
今日はここにいてみんなと
楽しく語り明かさない?
おいしいお酒もあるしさ
暖かな暖炉もね ....
              080414



 鬱蒼とした針葉樹林を抜けると、その先にはさわさわとした竹林がございました。先導するお頭の魚覧観音を偲ばせる柔和なお顔にも笑みがこぼれ、思わず ....
心の隙間に風が吹きこんで あなたをさらっていく
そうして僕はまた 靴紐の結び目を固めて
ドアを開けて 外に出て行くしかなくなった

重く気だるく降り注ぐ 慟哭の雨に 縫い付けられた
焼身自殺 ....
風が光っている
それを
瞼の裏で感じて


われに五月を


犯罪的なほどに
短いスカートをはいた
女子高生の耳元で
一編の詩を
ささやいてみたい

気が合えば
ふたりで ....
{引用=
くまちゃん
雪が降ったからね、うさぎを作ったんだ。ダイクマからの帰り道、雪が降って、ねぇ。積ったらいいのにーってはしゃいだら僕、冗談じゃない!ってみんなに怒られてさ。くまちゃんは雪の多い ....
夜は僕の肌をなめまわし
僕の知らない僕のこころと密会する


君は君の手垢をつけ
僕は僕の手垢を付けていく
君と僕の手垢が重なることはない
見つめあうことのないふたり


洗剤は合 ....
体の水分が78%ほど麦芽になったんじゃなかろうか
庭では鳩が騒音被害をもたらし
ブラウン管では官僚がこれまた騒いでいる
両親は既に他界
そして今祖母が死に向かっているそうだ
なんだかあべこべ ....
ぽたっぽたって、
さくらが自殺してるよー
去年の知恩寺の廊下にのぼって見ている
真っ暗な庭で
夜中はきちんとほうったらかしにされたいね。
そのほうが、ずっとやすらかできれい
さくらの蕊がピ ....
  駅前の信号待ちで 
  電柱に取り付けられた 
  盲人用信号

  杖を持つ白抜きの人の絵 
  その下の赤いボタンを 
  無性に押したくなる 


{引用=目を開いても盲目 ....
耳を塞ぐと聞こえるんだ
自分の鼓動 命の脈動 神経系統の音
音が音が聞こえるんだよ
君の君の君の声が

「君はどうして僕を愛してくれるの?」

「どうして、ってそりゃあ君が珍しいサンプル ....
髪を切った
古くさいと言われるかもしれないけど
欲求を吐き出すために
私は昔のドラマの女優のように
髪を切った

誰かと性交した
『性交』という表現は昨今では聞かないが
確かにセックス ....
地平線の向こうに
沈みゆく陽の輝きをうけて

盲目のピアノがある
そこから
三歩先に
思い出を失くしたチェロが腰掛けている
盲目のピアノと
思い出を失くしたチェロとの
ちょうど
五 ....
 
 
墜落するくだものたちをあなたは笑って見てる
 
 
白い砂をびんにつめるのはながれだしたときの音が美しいから
 
 
二年生の教科書に書き込んだ虚像はわたしによく似ただれかのわ ....
金魚の水 を
かえないまま
入浴しているのです
もう ひとつきも

散ってゆく水面が
茶色く さがるのです

あるでしょう あの
あぶくが
あれを金魚は のみこむ
わけですけれど ....
楊貴妃の流し目の、
紅差す頬に惚れちまった。
ああわが心の疱瘡よ、
今直ぐに掻き毟りぼろぼろになって、
あなたの裳裾に縋り付きたい。

小町の麻呂眉の、
細い目尻に惚れちまった。
ああ ....
神様を信じない俺が好きな女は仏教徒で
少し鳩胸の変な女だった

その女は金色のマルボロを吸っていて
根元まで吸わずに半分くらいで消してしまう女だった
その女は勢いでメイド服を買って
可愛い ....
ふいに年経た恋が訪れたんだ真夜中に
小川をはさんで納屋の二階の窓際に立つって
その白い歯に魅せられたんだろうね
きみが思い出せる恋ってやつは
蓮華みたいに咲いて実を結ぶ
きっと誰だってそ ....
御屋形様のために
一所懸命にいくさを戦ったのは
わたくしではありませんでした

旦那様のために
私を滅して御奉公したのは
わたくしではありませんでした

天子様のために
一撃必中で敵 ....
べつに足跡とか残してきたつもりもなく
振り返ったところでなんかみえるわけでもなく
きのうの夕御飯のたべかすが
少量、
2時の方向にこぼれているのみだ





そうだよ
よく見て ....
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