すべてのおすすめ
{引用=  /とけた猫
 
  コバルト色の階段をとけた猫がつたっていく、春、うつむくこと
  は似合わない、踊る石と、まだ眠りから覚めない風を抱いている、
  きみには。

   ※
 ....
  火のついた白い煙草を
  きみが 一の指と二の指から
  二の指と三の指に移すのを見ていた



  なんでまた 髪なんて伸ばしてるんだ



  くちびるから 夢まぼ ....
  机に載っていた、何枚かの
  便箋は すみれ色をしていた
  グラスに注がれた玉蜀黍茶を空にするまで
  夕焼けをわたしは眺めていた……飽きもせずに
  複雑そうなものごとが、ほん ....
  夕がたの田舎道を
  きみの車で走っていたとき
  ステアリングをつかんだまま
  きみは溶けてなくなってしまった



  遠くには海がみえた
  少なくとも、海のような ....
  栗色のひとみが
  風にさらされている
  窓のきわ、沈みゆく陽はとおく



  きょう、
  なにもいえなかった
  だからたぶん、あしたも
  きみになにもいえない ....
  首すじの まるい砂に
  あまい夢が 今日のしずくを落とす
  夕いろの、せまい、部屋のような瞳を
  ころがしてあなたは とかげの顔で笑う
  いつも 恋は速すぎるし、
  と ....
  晴れた日も、雨の日も、花束は
  年式の古い、ベージュのビートルの
  黴臭いトランクに入れられていた
  (どこがどうとは言わないが)蝸牛に似た平べったい影が
  後部座席にいつ ....
  なにか、やわらかい言葉を
  あなたには いったほうがよかったのだが



  木枯らしが身を刺す日
  かたむいたなんらかの光
  洞のなかの熊に似たあやうさが
  あな ....
  かなしい歌をつれて、
  春風がきみの頬をさわるとき
  ひとびとのささやきは町を彩り
  光が、もの静かな雨のように靴に落ちる
  白い花の影がひとつ、心のなかに揺れている
  ....
  きみの手を握ったとき
  カモメたちが空の低いところを横切った
  それから 二人で歩き出したとき
  潮風が鼻をつんとついた



  沈んでいく夕日のせいなのか
  き ....
  見知らぬ男が一人
  バッターボックスに立って
  枯れ葉のような色をした 外套のボタンをはずした
  上から三番目、ひどくほつれて、取れかかったボタンだ



  透き通っ ....
  春、ひとすじの川が
  豊かな緑に彩どられるころ
  薄い衣をまとっていくといい
  きみは女なのだから



  岸のむこう側では
  きれいなかたちをした石が
  見 ....
  そして光が
  ひとつの小さな部屋であるとすれば
  わたしはその入り口も出口もしらない
  冷たげなスツールに、半分だけ腰をおろして
  長い窓についた雫をふいたとき、
  あ ....
  多くの角砂糖が 紫蘇色のスカートにこぼされても
  彼女は 眉ひとつ動かすこともないだろう
  ただ膝のうえで掌を握っては開き(開いては握り)
  あなたの影が砕かれていく その場所 ....
  {ルビ賽子=さいころ}が胡座をかいている
  {ルビ褥=しとね}は素っ気なく冷えている
  彼女の頬には、涙の痕がある
  それがいつどのように流されたのか、
  彼はしりたかった ....
  わたしはあなたを愛していたのだろうか
  どしゃ降りの雨のなか、傘のひとつも携えず
  空の彼方を見つめているような
  そんな気持ちだった
  あなたと居るときはいつも
  た ....
  さっきから、あなたが
  夢中になって眺めているのは……光の断面
  あられもなく剥き出しにされ、あなたの鼻先に
  それは 突きつけられている
  鉢に植えられた何らかの緑
  ....
  朝、
  利き手ではないほうの手でつくられたような
  拙い光たちが 睦まじく庭じゅうを飛び回っている
  だが 光だけがここにあるのではない
  ここには机がある 椅子もある
 ....
  仔馬の湿った毛並みを、
  女は なぞるように撫でていた
  よく晴れた三月の日曜日に、陽の光は
  光よりも寧ろ風に似ていた……風は吹いていなかったが、
  風は吹いていなかった ....
  焼き上げたばかりのロールパンを 手早く皿に移し
  純白のシルク地のカーテンに 挨拶するみたいに軽く触れ
  彼女は朝日を一番たっぷりと浴びることのできる席についた
  だがそれは彼 ....
  風は南へいった
  月の光は道にころがり、
  小石にぶつかって止まった
  肩まであった長い髪をきって
  聖なるひとのように きみはわらう
  二人して ベランダの手すりに体 ....
  ペンキは塗られたばかりだった
  ずっと、夏のあいだじゅう
  きみはアイスクリームを食べにいった
  ぼろい車に乗って闇雲に海沿いをひた走った
  読まなくてもいい本を読んで 読 ....
  ビールジョッキをあしらった看板から
  たっぷりとした影が道に{ルビ溢=こぼ}れていた
  旅の荷をおろした無口な男は
  これから何処まで往くのだろうか
  それは 知りようもな ....
  静脈血が 三日月の光を跳ね返しながら
  ながくほそい道を決められたとおりながれてゆく
  運命はそこかしこに石のように置かれ
  時々、砂をかぶって見えなくなる



   ....
  テナガザルが白い顔をひきつらせて けらけらと笑っているような
  摩訶不思議な雨が きょうは降っていた
  いたるところで石を打ち 草を濡らし 心をかなしくして



  きの ....
  under the bridge of the pale night color
  YES, certainly you were there
  cutting a lime to ....
  あなたに梨の実を贈りたい
  寒く厳しい冬の夜に
  愛するあなたが
  梨の実の夢を見られるように



  くちづけは消えてしまうから
  抱きしめあった温もりも
  ....
  夜になっても
  愛はきみの胸にあった
  海のむこうでさびしくともる
  うすぐらい光のように
  いま、雨は
  何処にも降っていない
  ただそんな予感だけが、
  あ ....
  こんな寒い冬の日には
  錆びかけた薬缶に水をいれて
  ストーブのうえに置いておこう



  けさ、空気はするどく冷たく尖っていた
  鳥の声はぴんと張られた針金のようだ ....
  水色のピアノを
  あなたは弾いていた
  獰猛なまでに素早く指をすべらせ けれども
  唇の端にはささやかな笑みをあつめて
  手に負えない{ルビ巨=おお}きさと
  理不尽な ....
殿上 童さんの草野春心さんおすすめリスト(370)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春へのコラージュ- 草野春心自由詩914-4-3
アカシア- 草野春心自由詩314-3-29
すみれいろ- 草野春心自由詩814-3-23
- 草野春心自由詩314-3-16
かなしみのかたち- 草野春心自由詩514-3-12
あまいゆめ- 草野春心自由詩814-3-8
年式の古いベージュのビートル- 草野春心自由詩414-3-6
悔い- 草野春心自由詩314-3-1
春の歌- 草野春心自由詩614-2-27
別れ際に- 草野春心自由詩314-2-11
バッターボックス- 草野春心自由詩314-2-9
薄い衣- 草野春心自由詩8*14-2-5
エーテル_19- 草野春心自由詩114-2-2
エーテル_17- 草野春心自由詩214-1-22
エーテル_14- 草野春心自由詩214-1-19
エーテル_12- 草野春心自由詩314-1-13
エーテル_9- 草野春心自由詩214-1-12
エーテル_8- 草野春心自由詩314-1-5
エーテル_6- 草野春心自由詩313-12-29
エーテル_2- 草野春心自由詩313-12-24
風は南へ- 草野春心自由詩213-12-17
ペンキ- 草野春心自由詩413-12-14
歴史書- 草野春心自由詩413-12-1
水のながれ- 草野春心自由詩413-11-24
古くからの漁法を使って- 草野春心自由詩413-11-21
Cutting_a_lime_to_pieces- 草野春心自由詩1*13-11-16
梨の実の夢- 草野春心自由詩413-11-11
夜になっても愛は- 草野春心自由詩613-11-9
いとしさ- 草野春心自由詩913-11-2
水色のピアノ- 草野春心自由詩613-10-28

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する