春へのコラージュ
草野春心

  /とけた猫
 
  コバルト色の階段をとけた猫がつたっていく、春、うつむくこと
  は似合わない、踊る石と、まだ眠りから覚めない風を抱いている、
  きみには。

   ※

  /芋

  芋を煮ている
  女の背中はほのかに
  紅色の蒸気をはっしている
  説明して欲しいのは、きっと
  わたしだけだ わたしだけでいい

   ※

  /おさなさのあまり

  幼さのあまり 潮騒をしらない
  どこかに開いた大きな穴が 塞がるどころか
  海をゆるすほど ひろがっていくのを
  しらない おさなさのあまり

   ※

  /ビー玉

  わたしは
  あいしているという言葉よりは
  ひとつぶのビー玉のほうが好きだ




自由詩 春へのコラージュ Copyright 草野春心 2014-04-03 20:55:06
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
コラージュ×4!