風は南へ
草野春心



  風は南へいった
  月の光は道にころがり、
  小石にぶつかって止まった
  肩まであった長い髪をきって
  聖なるひとのように きみはわらう
  二人して ベランダの手すりに体をもたせて
  こころゆくまで煙草を吸ったあの冬の日が
  なつかしいけれど もう戻れない
  風は 南へ いった




自由詩 風は南へ Copyright 草野春心 2013-12-17 23:25:28
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春心恋歌