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  頭の中に
  一匹の犬が眠っている
  擦れてしまって読みとれない
  古い名札のついた小屋で



  静脈のほそい暗がりを
  血液がそっと滑ってゆく
  夜、
  ....
  痩せた熊が
  水底に沈んでゆく
  両の眼を開けたまま



  だだっぴろい冬は
  晴れた日の砂漠のようにきらめき
  しろい女は
  しろい男の唇に
  海より ....
  
  小さな鍵のうえに
  丈夫な檻をかぶせる
  はかり知ることのできない
  うしろ暗いかなしみの末
  その幼さだけが頼みの
  あなたの白い歯が
  深い夕闇にとっぷりと ....
  秋の途中
  枯れたような空の下に
  一本の柿の木が侘しげに立っていて
  きみがそれを見上げている
  もう、少し皺のついてしまった
  グレーのコートに身を包んで
  甘 ....
  生臭い夜に
  九本の足が生えている



  洗いたてのシーツに置かれた
  ただひとつの丸い石
  きみの汗がそのうえを伝い
  鼠がねぐらに帰るように
  闇の奥へ ....
  皺くちゃの子ども
  緑色の鋏を手にして
  揺らめく雲の端を断った



  いま、
  目覚めの時
  山の連なりは遠く
  朝焼けに縁どられ煌めく
  森のどこか ....
  肌のきらめきだけで
  月が出ているとわかる夜
  きみの胎が優しく
  蒼い氷をはらんでふくらむ



  白いシーツのうえで
  ふたつの影がみっつになり



 ....
  白い馬が
  眼をとじて横たわっている
  柔らかな草の緑
  露薫る朝につつまれ



  あなたの夢の頁は
  遠くからの風にはらり捲れる
  はじまりから終わりまで ....
  銀色の泥棒が気配を殺し
  しとしと駆けてゆく
  暢気なマーチのような
  秋枯れた並木道



  なにか、この先必要なものを
  玄関口に忘れてきた
  そんなふう ....
  金色の水がつたうと
  かたく四角いその壁は
  栗鼠のようにまるくなる
  ひとびとの話す声が
  物陰にひしと隠れる秋  
  きみの舌は木枯らしをつかみ
  それからねむ ....
  きのうの激しい雨が
  まだ宿る、濡れた土に
  枯れた牙を埋める



  擦りきれたビデオテープの
  不安定な映像のように
  きのうのきみは
  鏡よりきつく
 ....
  バスタブに水を張って
  女の手のひらを投げこむ
  まだ、
  切り落とされたばかりの



  まるい骨ののぞく
  その切りくちにも似た
  鮮やかな真夜中
   ....
  幼い男児が
  朝、
  一匹の蜥蜴を手に捕らえる
  厚い辞書に差し込んだ
  すみれ色の栞のような朝
  国
  という言葉がいま浮かんだけれど
  どうしたものか思案している



  一ヶ月近く洗っていない
  ランチョンマットには三箇所の染みがついているが
  それでも洗 ....
  精一杯
  わらい疲れたあとはさ、
  窓際にいってごらん?



  夜を徹して
  つみあげられた花が
  ひとときに燃やされてゆくからさ
  空のはじっこに
   ....
  座るきみの膝に
  とうめいな猫がねころんでいて
  真っ赤なりんごを撫でている



  僕のじっぽんの指は
  オルガンの鍵盤に載せられ
  ゆるやかにだまりこむ
  ....
  椅子の上に
  左脳がひとつ置かれていた



  色褪せた譜面から
  いくつかの音符はこぼれ
  床のうえでひょこひょこ跳ね
  透き通った窓は、わたしたちと
  青 ....
  あいするひとよ、
  ほんとうの
  きみのその気持ちは
  とうめいな廊下になって



  蜘蛛の巣がからまったような
  きょうの丸い月にむかって
  ひたむきに伸 ....
  苔色の水のうえに
  釘が一本刺さっているのを
  みとめて、きみは
  小さく立ち止まった



  むし暑い夏の午後の風は
  邪悪な商人のように
  きみのポケットには ....
  陰気な病院が
  頭の方から
  青空をゆっくりと降りてくる



  逆さまになったまま
  患者のひとりは今、
  あざやかなレタスを食んでいる
  桃色の看護婦がそ ....
  夜が、
  たえまなく改行を続けているあいだ
  いくつかのケーキがゴミ箱に捨てられ
  何匹もの犬が鳴きながら焼き殺され
  きみの体に秘められた、すべての
  愛らしい軟骨は ....
  

  八月、湿り気に膨らんだ夕暮れどき
  片田舎の駅に停まった盆の列車は
  沢山の人いきれと垢の臭いと
  目には見えない透明な虫とを一緒くたに載せて
  間もなく動き出そうとし ....
  

  かたすみで
  ひざまづいているような
  夜の闇に
  蚊取線香のけむりが
  しろく冷めてゆくのを



  いのるように
  きみは見ていた



   ....
  巨大な
  塊から切り落とした
  その赤い棒は
  どろりとしていて
  静かなのだが
  耳を押し当ててみると
  きいーん、
  きいーん、と
  響きが高速回転し
 ....
  闇に
  眼が灯ったので



  無人の食卓はむしろ
  円く、
  青白く
  幼子の夜泣きは
  ぬるい風に裂かれ



  アスファルトの上に散る
   ....
  左眼にいっぴきの蛇
  右眼には、たくさんの魚が泳ぐ
  蒼いみずうみを湛えて
  あなたは笑う
  とてもアンバランスに



  血と肉と骨によって
  それから、回 ....
  手を振って離れた
  あの夏の暮れどき
  街の声にまぎれた
  当たりまえの毎日



  息をのむほどに
  あなたの黒い髪は
  ただ静かだったから
  赤、
 ....
  その石には
  一房の夜が埋め込まれていて
  羽をひろげた名もない鳥が
  宙返りをして遊んでいる
  ならば
  僕は
  手のひら一杯の嘘をあげる
  その重みで
  ....
  夜半、
  食器棚の中に
  銀色の双眸を宿した
  生温い女がはいっていて
  その白い吐息は
  ガラスの扉を曇らせていた



  他にはいっていたのは
  腐っ ....
  あなたの狭い部屋の
  ヤニ臭いキスと
  ヤニ臭い枕
  抱きしめられるたび
  ごんごんと揺れる古いギター



  それは嫌い
  私のしかめ面に
  気づかない ....
殿上 童さんの草野春心さんおすすめリスト(370)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
静脈- 草野春心自由詩13*12-11-24
痩せた熊- 草野春心自由詩812-11-18
夕闇の檻- 草野春心自由詩512-11-11
柿の木- 草野春心自由詩212-11-10
ねぐら- 草野春心自由詩612-11-10
皺くちゃの子ども- 草野春心自由詩712-11-10
蒼い氷- 草野春心自由詩512-11-4
白い馬- 草野春心自由詩8*12-10-23
玄関口- 草野春心自由詩512-10-13
秋の夢- 草野春心自由詩912-10-10
枯れた牙- 草野春心自由詩8*12-10-7
バスタブ- 草野春心自由詩512-10-2
- 草野春心自由詩7*12-9-29
ことのなりゆき- 草野春心自由詩1212-9-20
つみあげられた炎- 草野春心自由詩612-9-15
とうめいな猫- 草野春心自由詩712-9-6
左脳の時間- 草野春心自由詩1112-9-2
あいするひとよ- 草野春心自由詩812-8-27
水のうえの釘- 草野春心自由詩312-8-26
病院が墜ちる- 草野春心自由詩712-8-22
たえまなく改行を続けているあいだ- 草野春心自由詩812-8-20
盆の列車- 草野春心自由詩412-8-12
なつのいのり- 草野春心自由詩512-8-11
赤い棒- 草野春心自由詩412-8-9
闇の眼- 草野春心自由詩312-8-6
アンバランス- 草野春心自由詩312-8-5
ざわめき- 草野春心自由詩612-8-4
石の夜- 草野春心自由詩712-8-2
生温い女- 草野春心自由詩812-7-25
Love_And_Hate- 草野春心自由詩412-7-25

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