エーテル 9
草野春心



  さっきから、あなたが
  夢中になって眺めているのは……光の断面
  あられもなく剥き出しにされ、あなたの鼻先に
  それは 突きつけられている
  鉢に植えられた何らかの緑
  噛み砕かれつつある一枚の煎餅
  詮索癖せんさくへきの抜けない土竜があなたの動脈を這い回る
  至る所で(本当に、至る所で)タンバリンの音が透けていく
  遠くの浜に寄せる波さえも あなたには聴こえている




自由詩 エーテル 9 Copyright 草野春心 2014-01-12 17:49:30
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