あいするひとよ
草野春心



  あいするひとよ、
  ほんとうの
  きみのその気持ちは
  とうめいな廊下になって



  蜘蛛の巣がからまったような
  きょうの丸い月にむかって
  ひたむきに伸びている
  あいするひとよ、
  きみのその決意を
  ばかにする人が千人いて
  輪をなしてけらけら笑っても



  ぼくは
  そいつらと関係ない
  ただ煙草に火をともして
  きみのゆくてを
  照らせたらと願うだけ



  あいするひとよ、
  きょうの丸い月に似て
  ほんとうに綺麗なものは
  ひとつしかない
  あいするきみよ、
  なによりも険しい道は
  ひとつしかない。



  


自由詩 あいするひとよ Copyright 草野春心 2012-08-27 22:03:33
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
春心恋歌