あなたの狭い部屋の
　　ヤニ臭いキスと
　　ヤニ臭い枕
　　抱きしめられるたび
　　ごんごんと揺れる古いギター



　　それは嫌い
　　私のしかめ面に
　　気づかないふりをして
　　最後のシャツに袖を通した
　　時計の針よりさり気なく



　　背が伸びたせいで
　　窮屈になってゆくこと
　　恥を知ったせいで
　　臆病になってゆくこと
　　ぜんぶ嫌い
　　とても治せはしないけど



　　だけど夜
　　中身のない言葉と
　　静かに実った淡い思いが
　　あなたの狭い部屋を
　　きゅうきゅうと満たしてゆく
　　それは好き
　　時計の針がぐんぐん進んで
　　たとえ二人を追い越そうとも