浦島太郎は海を見ていた
浜辺で膝を抱え
亀が海から来るのを待っていた

まだ青年だった
衣服から露出している腕や脚は
しなやかな筋肉で覆われていた

亀をいじめそうな腕白な ....
 
 
世界地図を描くと
いつもはみ出してしまう
そんな遠くの大陸に広がる
乾燥した椅子地帯では
今年もイスコロガシの
産卵時期をむかえている

普段、イスコロガシは椅子を餌としてい ....
激しい雨が降っていた
土曜の昼下がり
娘を塾に送る車中で
便意をもよおした

「お父さんお前の塾のトイレ、借りてもいいかな。」

「絶対ダメ、却下。きもい。」

年のせいなのか
若 ....
 
 
忘れかけていた三行の約束を
同時通訳していく
身体が沈んでいくのがわかる
劣化して重たくなった雨傘みたいに
 
トイレットペーパーが
自動で巻き取られる音がする深夜
ブルペン ....
わたしたちは
違うところへゆく
わたしのゆきたかったところでも
あなたのゆきたかったところでもなく


わたしの胸に
あなたの涙があつい
あれが朝ひだったらよかったろうか
しかし夕ひ ....
遠いちいさな丘のうえで
初夏の梢が水草みたいに揺れていた
命あるもので揺れていないものは無かった
揺れながら皆まっすぐ天を指していた
ひとつとして同じ形の枝は無かった
ところどころ折れて歪ん ....
やっぱり戦争は
起こらなかった

歌いつくした歌手の
少し疲れた喉が
歌を歌っている

午前3時を過ぎた頃
すっかりと時代は
変わってしまった

アスファルトが
材質を取替えら ....
 
 
色鉛筆のケースの中で
弟が眠っている
一番落ち着ける場所らしい
父と母はテレビを見て
時々、笑ったり泣いたりを
繰り返している
ケースから出された色鉛筆で
僕は絵に色を塗る
 ....
サーカスでもない
植木鉢の底を抜けて
根は伸びていった
熱い土のなかで
接吻したい
ホースの震えは止まらず
地下鉄電車は走り続ける
都会の真中で バットとボールで勝負したい
ゆるい栓を ....
 
 
見たことのない言葉で
あなたと話す
関係のある足音と
関係のない足音の狭間で
 
時々、古い橋の匂いがする
目を凝らすと橋の形はあるのに
渡る人々のため息が聞こえてこない
 ....
僕はケータイで
ニルヴァーナの
「十七歳の娘の匂いにむんむんむらむら」
を聴いていた
そうしながら
いつの間にか
旦過市場の異次元に迷い込んでいた
魚屋で一匹の
真っ赤な
鯛が
「 ....
 
 
本の索引をめくる
たくさんの指紋がついている
たどって行くと
エスカレーターがある
エスカレーターに乗って
植物の茎を昇っていく
やがて一枚の葉が終点となる
葉の先端には小さ ....
屋根の上から
青い靴が
滑って
滑り落ちていく 青い海のなかに

なにも 見えなくなったって
いいジャないですか

シャツも
ざぶざぶ濡れて
泳いでいく

薬指は
気取って
 ....
明日はきっと晴れるよね

そう願わずにはいられなくて
ふと手を休め振り返る

自由気ままに暮らしてきた日々

愚痴っぽくなってみたり
ときには人恋しいくせして無口になってみたり

 ....
 
 
ほの暗い飲食店で
たった一人食パンを食べている
六枚切り位の厚さだろうか
食べ終わると給仕が来て
新しい食パンを置いていく
本当はご飯の方が好きなのに
運ばれてくるパンばかりを ....
あるのか

ないのか

わからない

ドーナツの穴を越えて

オートバイは走っていく

いつか

行き着くかも

しれない

あるのか

ないのか

わから ....
{引用=
ハナアブのはねを千切って
裏返すと コメツキ虫のように跳ねた
しばらくすると独楽(こま)のようにその場所を回転していたが
捨てた記憶もないのに 朝になると消えた
僕らは身体を突き合 ....
 
 
帰りのバスの中で
母と娘と思しき二人が
楽しそうに童謡を歌っている
曲名も忘れてしまったし
所々歌詞も覚えていないけれど
一緒に声を出さずに歌ってみる
 
他に何もない停留所 ....
 
 
マリアナ海溝の深さに目が覚めてしまったので
朝刊を配りに出かける僕の毎日が
あちらこちらから、それは誰の所為でもないけれど
くの字や、みの字になって寝ている家族の
まぶたが開いてそ ....
 
1 


表面積に
くちづけ
 

2
 
空が
墜落する
ポケットへと
 

3
 
ひたひたと
歩く
電信柱を
 

4
 
痛み
翼を ....
              101014

払暁を
黒を払いのける
オーボエの音
木曜日の音が鳴る
木曜日は木管
金曜日は金管
冗談のような和音が
静かに
豊かに
散文を認めるよ ....
{引用=











ぼくがはじめてきみになかだしをしたよる
ぼくのなかのぼくはほとんどしんだ





額からこぼれ落ちてくる
角を拾い集めて
 ....
遠く時空を超えると
幼い君がいた
「おとーたん、どうじょ」
ぷつんと もいだ野紺菊を
ぷるぷるふるえる手で差し出す
薄紫の舌状花をつけた花
稲藁のにおいがする午後の柔らかい日差しの中
君 ....
 
 
シーソーの上に水羊羹
その意味の無い重さ
恋が終わる
 
+
 
ベランダから洗濯物が落ちていく
どうしようもないのに
シクラメンが咲いている
 
+
 
乾いた側 ....
 
 
理髪店に備え付けられた
平方根の中で眠る犬
その耳に形のようなものがある
店主はただ黙々と
軟水で精製されたハサミを用いて
僕の髪を切り分けていく
その間、僕は不慣れな手つき ....
水道水にかぶれた皮膚のあたりを掻く
描いていたのかもしれない
赤く、ぽつぽつと、
夕日の質感に似せて
 
滑車に吊るされている重量のないもの
贅沢は言わない
ほんの少しでも重みがあれば
 ....
 
 
鉱石の中で音符が溺れる
横のようにただ長いだけの真昼
旋律とは名ばかりの
みすぼらしい数々の記載

私たちの身体は何も語れない
具体的な生活を持たない
単なる肉の塊にすぎない ....
 
 
イヤホンの中に空が広がっている
入道雲にふと船が座礁した
そのような音が聞こえる
深夜、そして、私
 
途方にくれる船長のポケットの中から出てくる
いつの間にかなくしてしまった ....
この世のうわずみを
あらかた舐めてしまった

僕は

もう

面白がらなければ
何も面白くないし
欲しがらなければ
何も欲しくない

この世のうわずみは
どれも同じような ....
セブンイレブンに買い物に出る
夜の旧国道はひっそりとして
思い出したように車が行き交うだけ

秋の虫がてんでに声を競う
聞こえてくるのはそればかり
淡い闇を纏う街を見ていると
何だか現実 ....
小川 葉さんのおすすめリスト(1505)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
浦島太郎の話- たもつ自由詩110-11-14
イスコロガシの話- たもつ自由詩510-11-13
マザーズダイパー・・・糞迷宮- ハイドパ ...自由詩5*10-11-12
顕微鏡を覗くと- たもつ自由詩710-11-4
あかいかぜ- kawa自由詩410-10-31
創書日和【揺】樹の記憶- 大村 浩 ...自由詩14*10-10-31
戦争/戦争/戦争- 真島正人自由詩6*10-10-31
色鉛筆- たもつ自由詩1910-10-30
地下鉄- いてゆう自由詩210-10-30
別れの言葉- たもつ自由詩510-10-28
メシアはどこだ- 真山義一 ...自由詩2210-10-28
索引- たもつ自由詩510-10-26
薬指- いてゆう自由詩210-10-26
秋の夜長に歌ううた- 恋月 ぴ ...自由詩33*10-10-25
給仕- たもつ自由詩8+10-10-24
ドーナツ- いてゆう自由詩710-10-22
ハナアブの丘- 石田 圭 ...自由詩16*10-10-20
喫煙- たもつ自由詩810-10-18
朝刊配り- たもつ自由詩310-10-17
くちづけ- たもつ自由詩610-10-16
管楽器- あおば自由詩3*10-10-15
Nv0iceTと罪のないアヒル- 石田 圭 ...自由詩2910-10-14
野紺菊の咲く頃- 山人自由詩22*10-10-13
明日の天気図- たもつ自由詩610-10-12
海峡- たもつ自由詩810-10-9
滑車- たもつ自由詩1010-10-8
理由- たもつ自由詩710-10-5
イヤホン- たもつ自由詩710-10-3
ぽつり- nonya自由詩23*10-10-2
故郷を見失って久しくて- kauz ...自由詩8*10-10-2

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