すべてのおすすめ
安心できる人に出会ったので、
すこし、うれしい。

あなたが今おもったような意味ではなくて。
私はその人を放っておける。
ほっといても心配しなくていい。
私がバカげたことをしても、きっと
 ....
『やっぱりおおかみ(佐々木マキ、73年、福音館書店)』


0(プロローグ)

(おおかみは もう いないと
 みんな おもっていますが
 ほんとうは いっぴきだけ
 いきのこって い ....
崩れ落ちた家のなかに
階段だけが残っていて
空にささやく
みちびきよ
みちびきよ



夜の路の先の先に
地を照らせない街灯があり
空にささやく
みちびきよ
みちび ....
さみしいなと思った途端に寂しくなくなった
それというのは自分でもわけがわからなくて
たとえていうなら水族館に行ったことが無いとか
煙草の火をつける方じゃない方に火をつけたとか
手帳に挟むペンが ....
二時間待たされたあげく
僕はタクシーの助手席に通された
運転席の医者がちらりと僕のお腹を見ながら
おめでたですね、と言う
何か心あたりは?
そういえば確かに最近酸っぱいものの数ばかり ....
夏至祭の夜はちょっと冗談じゃすまされない
めくるめくまばゆい星空で
あちらこちらで星タバコの煙がたなびいて
あたしは楕円形の星座早見表を片手に
例年どおり田んぼのあぜ道で
偶然を装って土 ....
火曜日には
お気に入りのアクアバイクに跨がって
積めるだけ積んだジャスミンの花束を届けに
海上に浮かぶ列車整備駅まで出かけていく

海に囲まれたプラットホームで陽に灼かれて
彼は私を待 ....
あわくふくよかな海洋特急列車
が ぼくらを南へはこぶ
間断なく規則正しいマリンバのエンジン音
海に敷かれたレールをゆっくりと
エルスール エルスール エルスール

仲間は海に喰われた
 ....
台風一過、朝寝坊をひっぱって、眠りの水面から浮上、ざばっと目蓋を開いたら、
窓には洗いたての青空一枚(梢のふしゃふしゃした陰影と、ひとひらの雲も泡立てたばっかり、といったところを添えて)光って遠くに ....
                  「メリーゴーラウンド」 6

  アイスクリーム

ようくんの手はあたたかい
わたしの手はどちらかというと冷たくて
冬なんかは
部屋に入るとじんじんす ....
9月は

臨月の母の腹に 私がいたのでした

空気が風が 金木犀色に満ちて

稲穂は波うち

大群のトンボの羽光らす 黄金の夕焼け

そのとき

ほんの暫く 時間が止まる

 ....
さんぽのとちゅう
とてもきれいなびんをひろったので
もってかえって
まどべにかざった
なんだかものたりないので
もやもやしていたきもちをつめこんでみると
ゆうがたには
びんのなかでと ....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
夜どこからともなく迷いこんできた蛾

あまりの大きさにパニックになる家

例の太い触覚も持ち合わせているようで

必死になって網をふる

捕まえた蛾

バタバタと羽をふる

水 ....
ゆっくりと明るい雲がせり上がり
それ以外の雲は皆うつぶせになる
降り止んだ雨は灰色
降り止まぬ雨は金色
とどまらぬ色とどまらず
とどまらぬ音ふりそそぐ



小さいものが
 ....
母の背中に顔をうずめ
家路に向かう
赤い怪獣が
大きな口をあけ待っている
赤い怪物が姿を消すと
青黒い怪獣が
大きな口をあけ待っている
母の背中に顔をうずめ
静かに息を潜める
見つか ....
夏盛りの真昼の山奥で
輪唱するのをよく聴いた
山奥で暮らしたことのないあのひとに
そう言っても信じてもらえないかもしれないけど

夕暮れどきに街中で鳴く
ヒグラシはあまりにものがなしいけど ....
根道とは露出した男根を用いて行う男の格闘技である。純粋に硬直した男根のみで戦うため、男根に手を添えることは禁止され、腕は頭部の後ろで組ませる。互いに男根を突き出し切り結び、相手の陰嚢に効果的な打撃 .... ひょいひょいひょいひょい
ひょいひょいひょい

ひがないちにちおどってる

ひょいひょいひょいひょい
ひょいひょいひょい

おおきなみぎてでおどってる

自分律をおどってる
このままどこかに行ってしまおうか

帰りの車中でそんなことを言っていた二人は
どこにも行けないことは知っていたけれど
その言葉だけで十分満足だった

今、僕らは三人になって車も一回 ....
夏休みの宿題は終わったのと
かあさんは訊ねる
私はもう学校卒業したんだよと
何度説明しても

かあさんは言う
おまえはやく宿題をやんなさい
ツクツクホウシが鳴く前に
とっとと宿題を終わ ....
早稲田にも
青山にもなれなかった
予備校の街で
私はその年の夏を過ごした。

現役生のフリしたまま
講義を受けて
教室を出ると
ミンミンゼミの大合唱。

ミンミンゼミは
ミンミン ....
乗り込んだ8番線ホームは
おかえりと張り紙がしてあった
朝顔の色を真似た夕暮れ
僕は余白に
ただいまと付け足す

忘れ物がいつまでも見つからない
開け忘れたカーテンのそば
自分色で横た ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている


父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
最初から
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わる ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
時計が遅れたり
進んだりするのを気にする人は
何よりも時間の大切さを
知っている人です
けれど
時計には時計のペースがあることを
忘れないでほしい
など
ホームの水飲み場で
あな ....
7月第3月曜日の海の日の海
砂浜から続いていく波打ち際の
海底はどこも見えない


なんだかんだともう夏なので
麦藁帽子が飛ばされたりします
何か動力でも付いていそうな勢いで
途中駅に ....
   
       

  ひとりで唄って
  秋桜
  つらなる 
  惑星のなかで
  孤立する意識よ
  ぼくがあまりにも意識的なので
  死は土星のように
  都会的な愛 ....
60ワットの月の宵です。
机の上を片付けて、
木目の表面をきれいに拭きましょう。
二万分の一くらいの地図模様が浮かび上がります。
そうですね。
机の先の断崖は、阿武川渓谷ということにしましょ ....
青色銀河団さんの自由詩おすすめリスト(396)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
安心できる人- 佐々宝砂自由詩704-9-20
やっぱりおおかみ- 角田寿星自由詩3*04-9-18
みちびき- 木立 悟自由詩704-9-13
蚊をやっつけながら- 吉原 麻自由詩8*04-9-13
今日の治療指針- たもつ自由詩1204-9-6
土星さんの帽子- 角田寿星自由詩404-9-5
愚者の楽園(マリーノ超特急)- 角田寿星自由詩504-9-5
マリーノ超特急- 角田寿星自由詩604-9-5
空の名前- エズミ自由詩604-9-4
アイスクリーム- アンテ自由詩5*04-8-31
9月- 蒼木りん自由詩6*04-8-31
とうめいなきもち- アンテ自由詩6*04-8-28
スチュワーデス・ケイコ- たもつ自由詩5104-8-25
- びわ自由詩204-8-22
残季(溢光)- 木立 悟自由詩604-8-16
自転車- km自由詩204-8-16
ヒグラシ(百蟲譜38)- 佐々宝砂自由詩204-8-7
根道についての覚書- がらんど ...自由詩6*04-8-5
干潟の風景〜ハクセンシオマネキの不可解- 草野大悟自由詩4*04-8-4
どこかに- たもつ自由詩3204-8-4
ツクツクホウシ(百蟲譜31)- 佐々宝砂自由詩1304-8-4
ミンミンゼミ(百蟲譜30)- 佐々宝砂自由詩704-8-4
8番線ホーム- 霜天自由詩404-7-31
肉じゃが- 窪ワタル自由詩60*04-7-31
童話(物語)- たもつ自由詩22*04-7-30
童話(詩)- たもつ自由詩45*04-7-28
童話(午後、水飲み場で)- たもつ自由詩2104-7-22
不透明な海の日- 霜天自由詩304-7-21
つづしり歌- 天野茂典自由詩404-7-19
あんぱんを齧る宵- 一番絞り自由詩1004-7-17

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