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洗車場の男は
愛する女の血で満たした
白いバケツを
廃車寸前の車に
ぶちまける
身体の中にあるときは
女にとって
機能不全だった血は
吐き出されて
....
Boy
話のわかる先輩とグラスを重ね
生意気を言い放っては
頭を撫でられている
Boy
姉さん達より自分の肌を瑞々しいと言った後
懸命にフォローの言葉で繕って
やっぱり頭を撫 ....
二〇〇〇年隠居元年一月一日。墓参。
東京都立多磨霊園二四側四九。
おふくろとおやじとおとうとに「無職」報告。
おそい午前のひざしはおだやかで風もない。
よどんだ時のながれのなかに六九歳 ....
春泥が
明るいインクの
滲み、です
その滲みが
無意識に漏れる
芳香、です
その芳香が
呼吸のような
肌色、です
文字を読む幼子の口調の明朗さで
明 ....
3か月前にあたしをふった
彼氏が旅に出るってんで
40度の熱があって あたしはたたき起こされて
着のみ 着のまま
葛西シルチスのアマゾン鳥が鳴く金町方面
あたしひとり 駅まで彼氏を見送り ....
わたし
春の畑をあるく
やわらかな雨に匂いたつ
赤土
影の淡い腕が
いくほんも突きだして
足首をつかむ
でも
死んだ者のちからはよわい
幽明のあわいに建つあの門が
ぎらりん ....
神ガカル文面を
鈍行列車に乗せて
目的地には
停まらないのが
亡霊日和
日が暮れよると
鈍光が生まれ
メキメキと連結は乱れ
吊り革は百足のツメ
ああ先ほどから
笑っておりま ....
{引用=右手と左手のための協奏曲 より}
●雨の精
一度書いては捨てられた詩のように
誰にも知られることはないけれど それでも
人の心に光と影を投げる一瞬があります
ちょうど水たま ....
娘のおえかき画用紙に 黒いクレヨンでおおきく ぼくは
パウル・クレーの天使の絵をかいた。
単純なモノクロームの曲線。いくぶん丸みをおびた輪郭。
やさしく閉じたひとみ。かるくほころんだ口も ....
ハロー、ハロー
周波数はあっているか、こちらはDJ
十三年ぶりに新種のサンショウウオが発見されたそうだよ、皆さん
サンショウウオが好きなDJとしては久しぶりに嬉しいニュースだ
寒い日が続く ....
きゃらめる 5
よる
1
なにもみえない
から
こわいんじゃない
なにもみえる
はずがない
から
こわいんだ
....
街でついつい男の人を
宝石に
変換する
裾に 白衣ののぞくメガネは
傷のついたオパール石
チャイナ帽 歩きタバコの初老は
家のないラピスラズリ
梯子に登りたそうな ボーダー2 ....
ここはほんとにからっぽで
なんにもないのです
ポケットだらけの服より
空気のはいったスーツケースより
からっぽです
きれいな声音で
愛について
鳥がさえずります
もうすぐ春 ....
いまはまだ
冬の秘密を伏せておこう
ねっとり黄金の蜂蜜を練りこんで
ぴかぴかの春がやってくる
舌先で感じる原初の味覚は
甘味なのだから
わたしは拒まない
とろりながれる黄金の ....
世界の色に 少し気付けるようになった頃
夕立が止みはじめている
負けじと鳴いていた蝉時雨が 世界の全てだったとき
君は僕のバイトの帰りに合わせて 電話をしてきた
君は君に今日あった ....
パラダイスが弱っているよ
ああ、早くしないと
早くキスしないとみんなダメになってしまう
夕焼け雲の形をした船は沈み
トカゲたちの種の命脈は絶えちゃうんだ
僕はぐったりと射精し ....
びりびりという何かを引き裂く音がする びりびりという音がする びりびりという音に乗って やや細かくて蛇行する あるいはジグザグの つま先を合わせながら 綱渡りのように乗って しばらく歩いてみた どれだ ....
{引用=詩集『カエルトコ』より; 5}
●可愛いチンポコ
※
可愛いチンポコ 誰のもの
可愛いチンポコ 誰のもの
可愛いチンポコ 誰のもの
いえ チンポコ独り者
うつむくチンポ ....
もう真夜中の駅までの道を
二人歩くキミとワタシ
歩く速さは同じ
どちらに似てしまったのだろうか
何気なく何となく
流れ星が見えた気がして
そこで立ち止まってしまった
見えるのはただ
....
ラブレターが届いた
「好きです」とただ一行
紙切れに書いてあるだけだった
でもどこかほんのりと甘い匂いがした
僕はメモ帳から一枚紙を引き千切って
ペンを走らせる
「僕も好きだよ」
僕 ....
しがないの
皮膚のうちがわでピシーパシーと速球と直球が電気信号みたいにせわしくて
私はなんだか むずむずと空っぽになる
夜な夜な
世界のはてを切実に望んでいるのだけれど
胸を張って言えな ....
ひびく
ひびく
音叉の雲から
はじまりの空へ
天使のかたちがひびきわたる
輪と共に陽は沈む
がらんどうの音がなりひびく
町のように大きなひとつの楽器に
鳥が集ま ....
ずっとずっと まわりで
小さな音が鳴り止まない
バスから降りて バスに乗る
またバスから降りて またバスに乗る
いつのまにか隣に
歌がふたつ 座っている
小さな支えを失っ ....
詩は住所不定だ
言葉の国に地図はない
だから
この道は
いそぐことのない道なのだ
生きてゆくことは
道化師になることだ
永遠に夢みる
道化師に------
だから ....
分離、分離、分離、そして、分離
静かなる透析の果てに
冬が、あり
眼球を、振り切る
圧倒的に、眼球を、振り切る
赤のみ知っていれば許される踏切のサイレンの赤の ....
大気に混じる男の低い唸り
緩やかに存在を示し始める女の腕が
徐々に響き渡る声に合わせ
頭上に掲げられる
熱く冷え冷えと見開いたまなこ
大気のうねりを弄ぶように繰り蠢く指先
一瞬 ....
夕陽に向かって
加賀一の宮駅裏の公園から
手取川にかかる橋を歩き
まん中のちょっと手前で
深く一息
トン トン トン トン と
公園の方から三つ過ぎの僕がや ....
ピカソの絵のおとぎばなし
に耳をかたむける
今夜は月が半分かけている
狭い門をくぐると
ひとり占いする女
古い木のテーブルの上
その手のなかの
おどろくべき神話
ランプのほかげ ....
林のなかのどこからか降る
ぼやけた影の重なりが
手首にふたつ震えている
青と緑の輪はまわる
音は少女の手にむずがゆく
降りつづける影をゆらす
鱗の血が
花の血が
笑 ....
それでもゆく
やわらかさを固い外皮でくるみ
吹きすさぶ風に
涙などすぐに乾くだろう
ずぶずぶとはまりこむ
湿地帯のような母性など
もはや要らない
踏みしめられた乾いた父性が
一足ごとに ....
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