8番線ホーム
霜天

乗り込んだ8番線ホームは
おかえりと張り紙がしてあった
朝顔の色を真似た夕暮れ
僕は余白に
ただいまと付け足す

忘れ物がいつまでも見つからない
開け忘れたカーテンのそば
自分色で横たわった
カーテンがゆれると
空が踊った

8番線ホームは空の底で
回送電車の帰りを待ってる
夕日は海の向こうです
夜はもうこちらです

目の前の電車を乗り継ぐと
僕の知ってる街の匂いだ
車窓にめくる小説のページは
8番線ホームの色の中
おかえりと告げるから
心が跳ねた


街の底でただいまと、聞こえるか聞こえないかの曖昧さで響かせながら

いつだって
暮れてしまう人達を
おかえりと
ただいまと
繋がっている
8番線ホームで


自由詩 8番線ホーム Copyright 霜天 2004-07-31 02:28:56
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