8番線ホーム
霜天
乗り込んだ8番線ホームは
おかえりと張り紙がしてあった
朝顔の色を真似た夕暮れ
僕は余白に
ただいまと付け足す
忘れ物がいつまでも見つからない
開け忘れたカーテンのそば
自分色で横たわった
カーテンがゆれると
空が踊った
8番線ホームは空の底で
回送電車の帰りを待ってる
夕日は海の向こうです
夜はもうこちらです
目の前の電車を乗り継ぐと
僕の知ってる街の匂いだ
車窓にめくる小説のページは
8番線ホームの色の中
おかえりと告げるから
心が跳ねた
街の底でただいまと、聞こえるか聞こえないかの曖昧さで響かせながら
いつだって
暮れてしまう人達を
おかえりと
ただいまと
繋がっている
8番線ホームで