あなたはたぶん
わたしがシアワセと感じる指先や
透明になれるほんのすこしの暗号を
ちゃんと知っていて
いつだって手をひいて
この思慮深い森の出口につづく
複雑な線をといて
近道へ、
近 ....
被爆者二世の
おじさんは、アメリカ人に
「広島ってまだ荒野なの」
と問われる度
なぜ知らないのかと
聞き返す事にしたのだ
と言う

謝らなくたっていい
何千と言う米兵を救ったと
 ....
シナモンという単語には強引に美味しそうだと思わせられる

と言うのも母ちゃん作のシナモン・トーストが僕は好きだったから
庭の木にセミの抜け殻があった
手にとって握りつぶすと
ぬちゃ
それはセミの抜け殻ではなく
抜け殻のようなセミ
もて余した僕はこっそり
ぬか床に隠してしまった
夕食の時
今日のぬ ....
                    115時 @ハト通信

ほんにかいてあるとおり
クッキーをやいた
すごく
おいしかった
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ

いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
                    132時 @ハト通信

とてもねむかったので
ぐっすりねむった
おなかがすいたので
おなかいっぱいたべた
なにか
しなければいけないことがあっ ....
                    124時 @ハト通信

だあれも
とおらないみちを
ひとばんじゅう
てらして
なんにちも
なんかげつも
てらしつづけて
きれてしまった
 ....
床屋から戻ると少年はいつも
美しい母の鼻先に
散髪したばかりの頭を近づける

あら、大人のいい匂いね

それでも早めの夕食が終われば
母は仕事へと出かけていく
男の人のもっといい匂 ....
むずかしい文字をならべて
遠回りする夜の端

薄ら寒い雲の流れ
赤い月の輪郭をなめながら

呼吸するのを忘れてしまった

僕は

闇に吊るされた灯りに手を伸ばす

重なりながら ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
幸せになる
幸せになりたい
幸せがくる
幸せだった
幸せすぎた
いくつもの幸せ
チャンスがあれば
何度でもつかめる幸せ
一秒一分の幸せだって
大きな幸せ
おぼうさんは
朝早く起きる
おぼうさんは
長い丸太の枕で
横一列になって寝る
おぼうさんは
剃髪した後
剃刀を
水で洗わない
おぼうさんは
沐浴をしても
身体を拭いたりしない
 ....
彼女と喧嘩して
いい加減にしろ
と怒鳴るつもりが

いい加減にすれ
と言ってしまった

こらえたがやっぱだめで
吹き出してしまった僕の
少し後に吹き出した君

ふたりで涙を流して ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
君が積木など買ってくるものだから
僕らは積木遊びをするしかなかった

家をつくって
壊し
城をつくって
壊し
他につくるものなど知らない僕らは
やがて一つ一つを並べ
街をつくり始 ....
気がつくと
捨てようとした広告紙の裏一面に
ひとつの名前を繰り返し書いていたりして
それがまた
自分でもびっくりするくらい意外な名前で
戸惑うというより不思議な気分になってしまって
驚愕と ....
母さん、
ほら、春の風が吹いて

そろそろ僕も
行こうかと思います

春の風は早足で駆け抜け
いつも、僕は一人残されてしまうから
風のすべてが海の向こうに渡る前に

そろそろ行 ....
「虹が出てるよ」
と 人が言う

私は毎日

傷つけてしまったことの上に
虹を置く

後悔の念で
全て色は暗めだ

赤は ざくろ色
黄は 落葉色
青は 制服色
緑は たんぽ ....
ほの暗い駅
列車の中で一点を見つめている
あなたの眼差しを見送る

”お気をつけて”

その一言だけが伝えたかったのだけれど

ベルが鳴り止んで動き出したのは
列車ではなく
ホ ....
おまえが
にゃあ
しか言わなくなってから
三ヶ月過ぎた
冬の上野公園で
壊れている
おれ
ショウジョウバエが2匹
離れない
ベンチ
に横たわって
斜めに見る
空はどこまでも
 ....
しのぶの夢を見た。
20年前に分かれた女
スーツを着て今でも昔のそのまんま
公園の人ごみの中で目と目が合った。
ジーと視てしまった。
しのぶも見つめていた。
側に寄って両手を広げて見せた。 ....
ししゃもはいいねぇ
そういって親方は
お弁当を頬張り
しわくちゃの目尻が
太陽でいっぱいになる
嘘をつくと 小指が少し削れると
言ったのは 憧れの従兄弟でした

憧れの従兄弟のお姉さんは 私より8つ上で
仕事で知らないおじさんのインケイをくわえていると言いました
ダイジナトコロに指を入 ....
芸ができない犬はだめなんですか。
いえいえ。
そんなことは言ってませんがね。
でも、そんな感じのことは言いましたよね。
いえいえ。
あなたの犬は可愛いですねと言いました。
本音はどうなんで ....
ビンいっぱいに詰まったビー玉
フタに開けた小さな穴を
片目で覗き込むと
不思議な光の模様が見えた
きれいでしょ
となりん家のけーたくんが
得意げに笑った
世の中には
キラキラ光る透 ....
[目ざめている]

朝からずっと
手のひらを見つめる
遠くのほうで
蛙が鳴いている







[祖父]

耳が遠くなった祖父は
海に似てきた
くりか ....
あれっ
お客さんも うそ をお探しですか
うちはもともと まごころ屋 なんだけどねえ

ええ いいですよ
お代の方は 必要な時間だけ
お客さんの寿命で払っていただきます


軽い ....
真っ白な画用紙の
その真ん中に

僕は

しま

と書いた

画用紙の海で遭難した船乗りが
泳ぎ疲れないように

ある日、画用紙の海で遭難した僕は
後悔することになる
 ....
あの人は決してわたしには微笑みません。
何でなのかはわかりません。
わたしがいけないことをした覚えはないですが。
でも、どこかでいけないことをしたのかもしれません。
人は人を知らないところでき ....
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