すべてのおすすめ
夜、一人じっと手を見る
節くれ立った指の隙間
すくい上げた水は
口元まで届く前に
いつも零れ落ちてゆく
ひりつく喉を潤さず
落ちてゆく水のきらめきを ....
知りたかったこと 知りたくなかったこと
知らなくてよかったこと 知ってはいけなかったこと
とけるとける 落日の坩堝 橙色の窓辺
消える影と影の少女 黄昏の廊下に 一枚の印象を残して
出会え ....
ここは 江戸の街
桜 満開な 川の辺りを
館船で 遊覧は にこやかな姫君
うぐいすの冴えずる 朝は
姫君を いっそう 美しくひきたてる
桜の花びらが 水辺に奏を描く
ひとひら ひとひら
太陽が ....
ある日突然
街から空が飛んでいってしまった
青い空は街の向こうへと
逃げていってしまった
残されたこの場所は
街から出される煙で
空をつくっていった
灰色の空はきれいな灰色だが
それは ....
午前2時を過ぎた
今日はクリスマス・イヴではないのに
クリスマス・イヴの雰囲気がする
僕はパソコンの前でキーボードを打っている
少し横に向くとムードに飲み込まれそうになる
僕のい ....
夜明け前の高速道路を猛スピードで走ってみる
これで罪を免れられたら良いのに
人は皆罪人なのです
普段からよく訪れる場所に
いつもと違う時間帯に訪れてみる
見慣れた風景の中に
新しい世界 ....
ぶわっと大きな風が吹き
桜のはなびら宙に舞う
私の中を
ぐるぐる回って
静かに地面に落ちていく
私は走る
皆に抜かされないように
ひたすら走る
走る
淡いピンク色のグラウンド
....
世の中なんてみんな
白痴ばかりじゃあないか
コンビニエンスストアで
大音量の着信音が響いた
居酒屋の出口で倒れている君
それでも酒を提供する男
彼が殴られたことや殴ったことを
た ....
君に対する僕の心は
ほとんど愛で
蝋燭たてとか
傘たてとか
ドアノブとか
靴べらとか
そういうものに
僕はなりたい
....
あなたはわたしの眠っている横で
わざとらしくページをめくる音
つよく立てて
降り始めた雨を受け入れる
くらいまぶたの中で
弾ける赤い頭痛
あなたの読んでいる一行が
鮮明に浮かび上がる 夢 ....
朝刊から目を離さずに
気の無い空返事
それは。あなたの得意技
わたしが何を考えていようとも
お構いなし
空気のような存在
親しすぎる関係の果てに待ち受けるのは
そんな空虚さだ ....
やさしい風をつかまえたのか
狂った君にはできるでしょうよ
昨日の悪さを覚えているか
あの子の名前を忘れていたろう
そこに幾千の星が待っているのか
おいおい、じいさん長くはないぜ
....
鈍く 深く
光り出す、碧に
そっと手を伸ばして
触れる
小鳥たちが歌う
「ねぇ、今日は」
もちろん
これは想像の範囲内
なのだけれど
まだ
あの白は
寝ぼけている ....
例えば僕は、総合陸上競技場で部活があった帰りに、途中まで一緒だったタカ坊がなかなか来ないので、さっくんと一緒に自転車を押しながら何度も何度も後ろからタカ坊が来ないかタカ坊が来ないかと振り向いているんだ ....
亀を背負って
懐かしい人の苗字を呼びながら
塩を舐め続ける
水が飲みたい
+
かまきりの新しい
亡骸を
司書は黙って
見ている
+
カンガルーが直立したまま
波音 ....
かえるところがあるのならば、それでいい)
お葬式
カラスが黒く はばたいて
おひとりですか、と
月へ笑う
いいえ
あたしは迷子です、と
黒く燃える
火へ手紙を焼べた
....
待っています。
待っているのです。
あれを。
私は誰だって?
ふふーん
どうか、苦笑しないでくださいよ。
わかりました、ではヒントをあげましょう。
私は、
バス停に ....
1980年12月9日生まれの彼女は
もう一日早く生まれてればジョン・レノンの命日と同じ日だったのにって言う
スカートの裾を春風にはためかせながら
本当はべつに人は死んだら生まれ変わるとか
そん ....
やさしさもみんな抜け落ちて
そいつはセーヌの流れに消えた
キリストマリアを引っかいて
破れた爪で十字を切った
....
泥を かわして
かわして また 泥
すきだとか きらいだとか
そんな難しいことは あとからになさい
もっと ずっと あとからになさい
余裕がでるまで 待ちなさい
陽をあびて ....
夜はこんなにも静かだ
僕の知っている人達はみんないない
もっと言えばこの天球の世界に人間はいない気がする
宇宙は球体なのだ
僕は外に出ていつもの草むらで倒れ込んで星を眺める
プラ ....
盲目の老紳士が言う
君の声はママの声に似ている
私はそんな彼のために
毎日いろんな本を読み聞かせる
昔話
遠い国で起こった戦争のお話
時には絵画を細かく言葉で表現する
....
いいトシこいて
朝の5時にヘロインなんか聴いてるわけだ
効いてるわけじゃないよ聴いてんのだ
おらおらおらおら口があんなら怒鳴れ
耳があんなら尖らせろよ
カエルどもが土から出てくるまえに
長 ....
どんよりとした午後
気だるくジャズを聴きながら
ふと コーヒー・ミル引く手を休めると
ポツポツと出窓を鳴らして合図する
気まぐれな訪問者がやってくる
いつのまにか
部屋にながれるジャム ....
ここには居場所がないけれど、
実はどこへ行っても居場所はなくて、
探して見つけられるようなものならいいけれど、
そんなんじゃなくって、
田舎の土の匂いがしない砂利道で、
掘っても掘っても ....
ある日の夜 家の前で僕は丸々と太った黒猫と出会った
黒猫と僕は目が合ってふっと立ち止まった
僕はそのまま無視をして立ち去ろうと思った
けど黒猫は僕から視線を外さず 鋭い眼光で僕を睨んでき ....
誰もが背負っている
十字架の音で
踊る、僕ら
君は
スカートを翻し
スライム状の
舞台の上で
足を、掬われながら
踊る
踊る
踊る
....
女の子にだってね ロマンはあるのよ
とっても恥ずかしいから 口にしないだけで
絶対に教えてなんかあげないわ
探せるものなら 探してみなさいな
見事 みつけられたら ご褒美あげる
貴方はい ....
蝉の囀り恋しく
夜風が寂しく冷えてきた
扇風機が要らなくなって、コンビニの空気も外と比例して暖か味を益した
人々はいまだ半そでを着ているけれど、袖をまくる人は見なくなった。
夏 ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という
人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ
と
解釈は準備してお ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31