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朝起きるとボスだった
眉間に深い皺が刻まれていたが
特に不満があるわけではなかった
煙草をつまんで深々と吸い込む
ブラインドはない
のでカーテンから覗く
何ということのない休日の朝が広 ....
ムンムンだ もう
狭い山道に俺はいま 立っている
工房からの帰り
ひとりひとり
ぶつかりそうに
すれ違いながら
笑って
ほほえんで
あいさつする
俺も同じよう ....
毎日、夕方になると世界が溶け出す。誰もがみなとっく
に気づいていることなのに、誰もそのことを口に出さな
い。(それは、おそろしいことだからだ。)たとえば、
あらゆる文体が溶け出して、誰が何を言っ ....
彼女は言った、もし
親知らずを抜いてしまっても
今までと変わらず愛してくれる?
僕は答える、もちろん
それに必要とあれば
代わりにとびっきり頑丈な義歯を
プレゼントするよ、もし
その時に ....
世界の後ろ側から顔をヒョッコリだして
君を驚かせたいのだ
いつでも殺せるぞという意味をもって
世界の後ろ側からヒョッコリ顔を出したいのだ
夜な夜な研いだナイフを一本もって
私はお ....
まるで八百屋から飛び出してきたような見事な赤い帽子をかぶり、
可能な限りじじいに近いボーダライン
ぎりぎりのおっさんは黒の長靴を回転させ、
操るのは、カゴの潰れた自転車 ....
したんです
最近日々が
不真面目で
申し訳ない
のぐそ
したんです
僕の住む街から
工房のある隣の港町まで
海沿いを
くねくね
うねうね
モンテ・ウリアという ....
蘭の香りを信じるところでは
煙の臭いが心を支配している
それは以前からそうなのだけれど
日出国に使いがきたのは去年だったか一万年前だったか
こんなことはあってはならない
この状況 ....
うちはあんたのことがめっちゃ好きやねん
ほんま誰にも渡したくないねん
いっつも調子のええことばっか言う人やけど
なんやしらんとにかくめっちゃ好きやねん
東京弁の女がええと言うから ....
冬は、しろく息が砕け
朝を浴びて目の前をただよっている
今どこかで
開かれた窓に
外が流れこみ
人に触れた渦が加速して吸われ
熱をうばい、いのちを呼びさます
冬は、空がひびきあい
....
咳をしたらたまたま側にいた
隣の課のえむさんが
フルーツのど飴をくれた
えむさんがフルーツのど飴を好きだなんて
初めて知った
えむさんは僕より十歳くらい下の女の子だけど
背は僕より十セ ....
玄関のドアーを開けると
宇宙が立っていた
寒そうにしていたので
中に入れてあげることにした
宇宙は喜んで
宙返りをしながら
家の中を転がって入った
飲み物を用意している間
宇宙はバナナ ....
冷凍された朝っぱらっから起き抜けの伏臥上体反らし
早朝ラジオ体操の伴奏は馬頭琴 日を捲ればカーテンも替わる
新聞配達の急ブレーキでささくれた季節が蛇になって脱皮する
洗顔 歯磨き ヘアセット ....
キミの大きな出べそと握手をして
今日から 鬱に入ろう
それはそれは 颯爽で
新鮮な野菜たちの頭を
食べさしの歯形だらけに
してやるのだ
豆腐で顔を洗え
おから王子 ....
妖精に満ちた部屋に
姫は住んでいる
王子を待っている
永遠に続く
冬の魔法が解かれるのを
ときどききらめくのは
姫の笑い声で満たされた
妖精たちの柔らかなお腹だ
....
八角形の小箱は
ブルーウォーターで満ちていて
覗き込めば
ぶちの鞠が回転している
それは
滑らかな哺乳類の群れだ
あるいは
みるく色の
貝類の
ひとかたまりに
溶けて
....
みんなは朝がやってくるのは当たり前だと思ってるのかもしれないけど
オレはけっこう大変なんだ
眠い目こすりながら 危険な仮想空間への冒険に出る
これがオレの仕事
そこで出遭う生き ....
つないだ手を
そっ、と離して
春までの距離を
歩数で測っていた君は
三十一歩でくるり、と振り返って
僕に何かを伝えてきた
如月駅を走り出した始発列車が
僕を追い越して
君を ....
いいやもう
いいやもうって
思います
僕の言葉は
風に呑まれる
だってさあ
だってさあって
いうけれど
風が吹いたら
それでさよなら
いいやもう
いい ....
僕が働く村は 小さな漁村で
大工仲間のゴルカ君と ベンチに座ってお昼ごはんを食べる
ゴルカ君の奥さんのロシェさんはお料理の先生で
ゴルカ君の持ってくるお弁当はいつもキラキラしている
ゴ ....
なんとなく笹身が食べたくなった
馴染みの肉屋を覗いてみる
「おじさん笹身ある?」
「おぉっ!活きのいいのが入ってるよ」
二つ位は食べれそうだ
「じゃあ二本ちょうだい」
g108円の秤が ....
灯りを消した部屋で
そのはじっこのベッドの上で
ぼくは夜の底へ沈殿してゆく
そしたらいつか夜の一部になれるかしら
夜は全てを隠すから
ぼくは夜の底 ....
めでたしめでたし
パチパチ
ワァーワァー
鳴り止まぬ拍手と歓声
その演劇はきっと素晴らしい物だったに違いないと思わせるには
十分の評判だから内容にまでケチをつ ....
どうも!
かくれんぼで鬼になったのはいいが。
百数えている間にみんなに家に帰られた事のある。
そんな日の夕焼けが目に沁みて仕方なかった僕がここにいます。
どうも!
当たりつきのアイス ....
むかしむかしのはなしです。
むかしむかしのむしのはなしです。
むかしむかしのむつかしいむしつかいのはなしです。
むかしむかしのむしつかいのむつかしいついしのはなしです。
いまは ....
薔薇が燃える。――溶ける花びらは血のようであり、
触れてみると、事実、それは血なのである。
派手で濃い目のメイクを要求する。金で買った女だから、
手は触れない。服も脱がさない。君はひたすら喋 ....
なぁ 父さん
あんたはやっぱ俺の親父なんだよな
考えてみれば小さい頃からさ
二人きりで話すことなんか
ほとんどなくてさ
だから俺にとってあんたは
よく分かんない存在だった
前にいちど姉貴 ....
永遠の証が欲しいと 君は呟いた
今僕等が愛し合っていること
それだけじゃ君は満足しないのかな
不安定で脆い、君
終わりがくることが こわいんだろうね
....
ああごめんなさい
あたくしといたしましたことが
ひどくうろこむしてしまい
大変お見苦しゅうございましょう
うなじのあたりから
せなかまでがもう
ひどくうろこむしてしまい
はがしても、 ....
ほら
雪の下が動いてる
小さな命が伸びてくる
一つ一つはわずかだけど
同時に少しずつ
湧いてくる
ほら
風が小枝を揺らしてる
小さな枝を揺らしてる
その先の方はつぼみが膨らんでる ....
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