気が違くなりそうに
青い空の下に
かみさまは
三匹いた

そのうちの一匹が
高いビルから
飛びおりて
死んだ
残りの二匹は
その死を
食べて
大きくなった

 ....
壊れかけのてれびが
忌々しげに点滅している

壊れかけの昨日を語り
壊れかけの明日を報じる

映りが悪いねと
一緒にみていたBちゃんが

実に神々しい角度で
でたらめを醸し出してい ....
近頃、歯向かわない言葉を使うことに慣れすぎて
本当は痛いことさえ道連れに
たとえ真綿の奥にこめられた刃に気づいたとしても
平然と
笑顔で
明日もキミの隣に座ることができる

近頃、トモダ ....
能登半島いなかまち
まちの中心ながれるみそぎ川
昼間も夜間もあたりはガラガラで
ときどき橋ゆく背中が
シュールに映る

郊外店にぎやかなれど
夜になればまちなか赤提灯
海女が干物を炉端 ....
巨大建築物の
ユウワク
屹立してわたしを
待つ

なぜ
登るのか
それは
そこにビルが
あるから
ジョニーの本名は青木イサオだが
もちろんゴルファーではなかった
革ジャンは合皮だが
アメ横で買ったわけでもなかった
初めての給料で輸入雑貨屋へいき
ブリキの看板を買ってきた
SUMMER  ....
さあ 風よ どうぞ 吹いて来て下さいな
あの懐かしき日の夕べの面差しのまま
少し寂れた けれども優しい雰囲気と
そして たおやかでしとやかな その仕草で
わたしの両肩に止まって見て下さいな
 ....
布の風が樹々を伝い
夜の空を見つめている
蜘蛛のかたちをした声が
枝をめぐり すれちがい
会話ではない会話を残し
夜の空を昇りゆく


雲に映る歪んだ輪から
光と言葉の鳥 ....
ゼロからの徒歩
                           {引用=「ちょっと休憩」}
かき混ぜるスプン
スープはさめた
温めなおしはいかが

ミンと名づけた靴
スイと名づけた ....
○△月□×日 くもり
きょうぼくはうちゅうをたびしました
というか、うちゅうをつくりました!
ぼくはかみさまかもしれないです


(冬の寒い日に僕は宇宙を作った
そして旅をした

ハ ....
おれは火のついたタバコを深く吸い、くちびるをつきだすようにして
煙を
赤ん坊の顔にふきかける

赤ん坊はむずがるが もはや
泣き声を上げる元気はないらしい

なあ、おまえさあ、 ....
そこから音が消えてしまうと
彼は言葉で演奏を始めた
語るべき言葉を失う日のことを
ただ、朗々と奏で続ける

少しずつ無理な景色が増えていくと
喪失の夕暮れに出会ってしまう
燃える朝が安く ....
縛り付けたいと子供のような駄々をこねているだけ
母に似ていること
それは嬉しくもありどうしようもなく苦しいこと
何か怖いものから母は必死に逃げてきた
理由の無い恐怖が母に安らぎを与えることなく ....
 

    カッコウ


  人里に来たカッコウは

  しきりに

  何かを告げようとしているが

  村はあいにく農繁期

  耳をかしてはいられない

  そこ ....
あたしは言葉遊びを愛している

創りものの仮面を鎧っていても

48の文字を舌の上で転がして

ギュッと絞ったあたしらしさを

指先から滴らせて紙面に散らす

オブラートにそっ ....
風をつかもうとして
草をちぎってしまった
てのひらが

鳥を呼ぼうとして
こんちくしょうと叫ぶ
声が

心のかたちを確かめたくて
君のからだを抱きしめた
腕が

今夜もずれてい ....
やさしさを
ことばにするきみ
何層にも積み重なる波打つ海面を高々と
すべてを飲み込んでしまう津波のように
かなしみは世界を覆う
少なくとも
見て感じとることのできるこの空間を
感情は毛穴 ....
回転系に置ける摩擦係数の
やがて磨り減らされた軸の中心の角度によって
そのブレを増大させ
自身の遠心力により
消耗して行く事となる

廻る

換気扇がガタガタと音を立てている
油の匂 ....
世界中のどこもかしこも蒸し暑い夏の日を背景にした舞台劇場になり
油彩画のように凸凹している駄菓子屋の背景の前に群がっている子供達
誰が主役なのかという事でモメテイル口論の際中だにゃ〜こりゃ〜
ど ....


ビルの屋上。

振り返るとそこには長靴が落ちている。
黒くてピカピカとひかる長靴。

でも片方だけ。

片方だけの長靴って、長靴と言えるんだろうかとふと考えた。

電話が鳴 ....
夏休みにしか帰らない
実家の銭湯には
青い富士山の変わりに
緑のペンキが色あせ
ボロボロに古びた
一匹の龍の壁画が
どん と
風呂場一面を支配している



田舎のせいか
夏場 ....
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。

無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
遠く鳥の飛ぶ音
離さない
僕の耳は手のように
つかむ動きをやめないのだ

地球中の血を力にして
叫ぶ
喉からは出る手のように
何かを欲してやまないのだ

続く
つづらおりの道
 ....
詩を語るたび、世界は沈黙す。 お前にそっくりな
ひよこ豆をゆでる

おまえにそっくりな
ちいちゃな鉤鼻と
これまたおまえにそっくりな
ちいちゃなおしりがついている

圧力釜なら早いが
ああ、
それはぜんぶお ....
しろい花
きいろい花
むらさきの花

白い作為
黄色い極限
紫の無意識

対象知らず
しるしなき
供花は咲きほだされて

立つ雲
しずかなる
狂歌は所在なく奏でられ
とおくで、ウシガエルが鳴いている
ヨシの生える河原に散乱する水音
街灯の明かりがまぶしすぎる
つきよ

空におぼろげに満月
雨を受けるカタチで両手のひらを空に向ける
風のない、こんな晩に ....
空気は夏色に染まり
空の青さにも透明が混じると

今年も
『カミナリ玉』
がハシリの時期になった


深緑に走る
黒い稲妻が

球体になって
八百屋に並ぶ

値段は詐欺 ....
ある晩
月の灯りをあびて
一匹のカエルが
言論の自由を主張した
そしてほんとうのことを言った

それはほんとうに
ほんとうのことだったのに
ほんとうに
ほんとうのことだったので

 ....
風の世は何処へと流れ行くのか
時には清々しく
時には複雑に
休む事無く流れ続ける

流るるは欲望
平和への欲望
得る事で満たされる
金への欲望

風の世は何処へと流れ行くのか
時 ....
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