情報通の友人から
感情の食べ方を教わったので
早速今ある幸せをかき集め
ジックリコトコト煮込んでみたところ
これが何とも薄っぺらい味であった

アイスのフタを舐めているような
惨めったら ....
                         

5人の河童がやって来た
黄色くてツルリとした額に
胴長短足痩せた手足は青白く
きりりと晒しを締めこんで
夏祭りの夜にやって来た
 ....
窓に
張りついた夏、
グラスの中で氷が
音もなく溶けていく午後
少し薄まったアイスコーヒー
にミルクを少し加える
ゆっくりと拡散していく、
ゆっくりと沈殿していく、
夏。

あの頃 ....
うがいた
うはうがいをしていた
はははががきになるので
うがきにならない
とにははととががいるのに
はははがばかりがきになって
ときにはははははきものときものを
まちがってしまう
うは ....
コウノトリの飛来を告げたとたん
「あなたは要らない邪魔だ」と言われた
明日への架け橋は
明日の幸せは
求められてはいないらしい
求められているのは機械でいること
物言わず働くこと


 ....
五月の風をゼリーにして
とどける道の途中で
眠りこけてしまった
鳥になるたび 撃ちおとされる
ゆめばかり みていた
土に混ざる
かスカの ガらすや 枯れたものの匂い
一望 赤い斜面の

に細く震える
繊毛のような{ルビ海霧=ガス}


かかる
奇妙な海岸

息を出し入れしているものは みな ....
シャボン 影ない
行進
街に響くくつおと
楽隊
シャボン 
かぜがふき

風にまぎれ
見失われるひくいこえ

支柱なき旗ひるがえり
あたまのなかにサいレンきこえやしないまちまひ ....
   {引用=   地球は絶えずまわり続けて
   そのうえに
   わたしたちは絶えず揺れている}




或るおとこの背広が
夜風に揺れている
その内側では
同様にネクタイも ....
ブルーチップの青いリスは
目を離すと、すぐに増殖して
ガマ口をはみ出してしまうから
台紙にきちんと貼りつけなければいけなかった
母は台紙をもらってくれると約束をしたのに
永遠と立ち話をやめや ....
わっしっし うっしっし

三拍子のリズム、灰色の空、優雅に
ワルツのステップ踏んで
雷様のお通りだい

のっしっし うっしっし

梅雨空を掻き回し
大地に吠えろ
ゴロゴロゴロガ ....
青い目をした窓の向こうの
君かと思うので
遠い朝の海を見せたくなる
手を引いていきながら
引かれている僕の胸の穴からは
いつも空気が漏れていく
見ないでいてくれる君のために
朝の海へ、連 ....
?.

ああ
オルテンシアがほんと楽しそうだ

あんなの日本語だとね、てんこ盛りって言うんだよ。
ひひ、てんこ盛りだって、おかしいね。
まあ、要するに、昨日の俺たちのパスタだ。あれが ....
滑稽に 顔を 躍らせていたのは
骨の 女
女の 踊りは 死んだ 老父の
つまらない 散文に 酔っている
私という
つまり
骨と 皮の 女

滑稽だから 誰も 真剣になって
見つめてい ....
きっと この世の草木からは
あの蒼穹へ 黄金の糸がまっすぐに伸びているのです

  いのちはあわあわとしたじぶんのねいろをもって
  なつかしいあおぞらとつながっている
  (そう 世界は一 ....
まっすぐな道をすいこんだ

そのあとピカーってひかった





まってたら川みたいにとまった



おおごえで考えた「おばーちゃんはのう、自分のことわしって言うんで」

 ....
さざなみが月を潤ませて
消してゆく二人の名前
ゆうなぎは心の糸まで
もつらせて切ってゆくのか

灯台も暮れ馴ずめば影にまみれ
境をなくす浜辺と海

こわれた砂の城に波が
さよならを塗 ....
再加熱された論理の中に
探しているものはありませんでした。

こどもはいつのひか
すぐそこにあるしんじつをみないように
つとめるようになって
ぼやけたみらいにぼやけたしんじつを
さがすよ ....
念のために確認しておく
モーソー
それはある
内容はない
カップラーメンのから
空っぽのビールの缶
それはある
それらに手はない
足もない
カッターナイフはある
ナイフで鉛筆を削る ....
引き出しを開けると
折り重なった時が
落ちている
ぼくはそれらを拾い上げ
整理しなおそうとしたんだ

けれども うまくいかないで
サッカーを見たりなんかしてるうち
雨足に追いこされ
 ....
 その通りには、いつも強い西風が吹いていた。強い西風に押されて街路樹の銀杏は傾いていた。バス停で次のバスを待ちながら、僕の身体も通りの向こうがわにある街路樹と同じ角度で傾いていた。傾きながら僕も、強い ....   




 歩道橋の真ん中に
 枯れた花束があった
 しなびて横に傾いていた
 錆びついた階段を
 とにかくのぼって
 誰かが飛び降りた





 歩道橋の下の
 ....
 暮れなづむ山の湖を

 一羽の白鳥が滑つていく

 湖心へとーー



 周囲と断絶したわけでもないのに

 他の鳥たちに追はれたわけでもないのに

 白鳥は湖心へと静か ....
天空を 日が巡る
かげ ひそまる

大型バスを避けて 僕は路地裏へ
しみったれた茨 時を違えて咲き誇る
一輪の薔薇 その棘の在りか
観光客の舌先で淡くとけてゆく
色とりどりのアイスクリー ....
あなたの事を 想えば想う程
僕の此の両手では 抱え切れない
あなたの帰りを待つ 幸せな未来を望む事が怖い
考える事すら おこがましい そう言っている 理性を失った神様

だけど
幸せはきっ ....
あのときの金魚生きているよ
あなたと何回挑戦しても
ポイはすぐに破けてしまって
夜店のおじさんが呆れて分けてくれた
小さな二匹の金魚
お口をおちょぼにすぼめた金魚鉢は
ひらひら朝顔のように ....
(火薬の匂い)

はらわたの裏側で燻る怒りが
指先に伝わって痙攣する

(怒声)

細胞のひとつひとつが
銃弾の形に姿を変えてゆくのがわかる

(軍靴の響き)

身体中に内乱の ....
朝が死んだ と
夕飯時に連絡があった

その時の晩御飯はカレーだった

私は一晩じっくり寝かしたカレーが
好きだったので
とてもショックを受けてしまって
あぁそう
   ....
続編が読みたかった ということなのだろう。
程良く重い布団に 未明に
新装された三姉妹の表紙を
しあわせな気持ちで眺めかえす夢を見ていた。

「ラストウィークエンド」・・・
駅ビルの書店で ....
空白の空間に立つ彼の前には、
「{ルビ0=ゼロ}」の文字が浮かんでいた。 

「0」に足を踏み入れ{ルビ潜=くぐ}り抜けると、 
そこは社会に出て間もない頃の職場で 
七年前の彼が先輩達に囲 ....
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