雨にとけて流され残ったのは、ちぃっちゃい欠片
ウチがウチであるための、ちぃっちゃいちぃっちゃいウチ
たぶん、もう傘はいらん と思う
街灯もない夜の海でいまさら月が明るい事に気づいた
霞む夜バイクに乗ってただ泳ぐ息継ぎ代わり歌を歌って
一人きりなんてほんとに当たり前凍える指はそのままでいい
クズで ....
言葉は釣針
この胸の泉から
秘めた思いを、釣り上げる
言葉は銃弾
憎しみを込めて撃ち
いつか、その報いを受ける
言葉はスパンコール
貧しい心を飾りたて
目抜き ....
すべてがそよともせずにそこにある
流れるものからとりだされる静止画
こんな時間もいいとおもう
背景はつねにうつろいとどまることはない
いっしょにながれるのもいいさ
でも自分のなが ....
一
夜の水平線が
両の腕をさしのべ
その手で満月を挟み
嘆く空から引き離し
海の底に沈めた
光が闇に溶けて
波の下に燃えつき
殺風景な夜空に
取り ....
散る為に咲くその姿
折り摘まれしばし綻ぶ
咲く為に地にしがみつき
季節の風をうけとめて
けなげとは
このことにあると言わんばかりに
誰につたえることなく
自らの ....
絶望の谷に
叩きつけられたことの
ある人は
簡単に
浮いたり沈んだり
今日のメニューで
右に寄ったり
左に寄ったりはしない
眼を見てごらんよ
目が合っていても
捉え ....
いつもすでに記憶だった夏の日に
俺は裸体を晒した少年少女達と
沖合を鳥が群がる海を見たかったが
だれひとり気付かぬうちに
海原を舐めて広がる火の言葉に焼かれた
熱気だけが渦巻く無音の嵐に ....
雨にとけてしまいそうなウチ
それでも傘に入れてくれるん?
いっしょに流されてくれるん?
「御用邸の月」という
那須のお土産を食べている
おととい貰った
「萩の月」そっくりな
数多あるパクリもんだ
案の定カスタードが全然劣る
何で真似さえできないのだろう
ウコッケイでも使って ....
ダダ漏れのDark Matter 鉛色の重力
街を歩いてもアスファルトに走る無数の亀裂
から滲み出てくる闇を見つめるだけだ
ああ この皮膚がすべて剥がされても
感じているか ....
愛する人を見つけては
期待が裏切られたと
不貞腐れます
また愛する人を見つけては
また期待が裏切られたと
また不貞腐れます
でも大丈夫
いつか ....
私は語りましょう
年老いた異国の詩人が誘う
かつての黄金時代の
壮大な物語を
私は語りましょう
彼の地で出会った
美しい少女が流した
喜びの涙の色を
私は語りま ....
時間にもっと刻みの効いた名前をつけて
70年代後半から80年代の 何に首を傾げていたか 縦に振っていたか
想いに遡る
涼しい風が かつての秋の風と同じなのか 知りたい
躊躇いや忌憚のない ....
蝶は夏の光を泳ぐ
ふわり ふわり
目には楽しげで
花を愛し
仲間と戯れて
ときに人にも寄り
いのちの季節を謳歌する
さて黒い揚羽がまるで
....
そら
くう
から
空
変換キィで
世界は変わる
くうですか
くうですね
ひとしくみんなくうになってゆきました
昨晩はよくふりましたなあ ざんざばらん
おかげでからっ ....
下町の団地の小さな台所で
母が作ってくれたホットケーキには
必ず人参のすりおろしが入っていた
海を隔てた異国の地で
日曜日の朝私が作るパンケーキも
やはりほんのり柑子(こうじ)色
....
しろく しかくい たてものの中から かわいた無数の命の声がするのを
しずめるかのような噴水
しろさ きわだつ 広島平和記念資料館を想いながら
床についてみた夢は
しろい塩で できた ....
足をつけ
渡ってみたら
浅いせせらぎだった
キラキラ
光を浮かべてた
攀じ登ってみたら
低い壁だった
何一つ遮ることなどできないような
飛び越えてみたら
小さな亀裂に ....
切れ切れのあらすじ
離れ離れのせりふ
緑と青と白とその隙間にある
無数の明るい色と寒い色
大脳皮質の砂浜で拾い集めたら
海馬のカレイドスコープに仕込んで
いとおしむように回す
....
写真の裏を見ると75年8月とある
セピア色の時間が流れている
若き日の自分と対面する
少しは成長してきたのだろうか
自分に問いかける
かなり厳しい時代もあったが ....
葉月の昼下がりのどうしようもなくもてあました窓の
したで、たったいま、わたしにできることをすべて思
い浮かべてみても、ただ、雨の日の猫のように四つ足
を投げだして眠ることしかできなかった。
....
ゆっくりと目覚めた休日の朝
起きるとテーブルにはもう目玉焼きができていた
おはようを交わしたまではよかったのだ
目玉焼きの ....
仄かに月は翳りようよう薄明が始まろう
短縮された歴史はこの一点に凝縮する
ストレンジデイ 僕は 獣になっていた
フロイトに精神分析されている夢をみる
そう僕の中の彼女を苦しめてはいけない
僕 ....
未聞の覚えを悟情の親指と人差し指 編んで図る
負ける訳にはいかない されど 落とさずに拾って手渡す
無心が斥力を浴び 彼方を駆け巡る とりわけ宙に趣く
そんな浅はかな脳はいらない 無心 ....
その時、私には見えたのだ。
彼の繊細なすべての指たちから薄く透き通った白い糸が出ているのを。
彼は己のリズムに体をくねらせて、黒い母体の敏感な部分に触れているのだ。
そしてその彼の指は決して ....
疲れて眠いのだけれど
眠りに入る前に
伝えたい
選んでプレイヤーにセットしたニューエイジ
いつもの紀成の明かり精神と溶ける滑らかな心
瞼が床につく ....
撹拌されて
まじりあう
フラスコの中の
時間が
わらわらと踊っている
次第に
重さを帯びた幸せは
底で沈殿する
浮かびあがる
透明な
うわずみ
暑い暑いと胸元はだけ
えりあし抜いて横座り
片手で団扇あおぎつつ
茗荷の香る素麺すする
今さら色気もなかろうに
....
ヒールの音が淑女を物語る 敷き詰められた乙女の華
曲線を趣くままに舞い上がる 愛を香るメッセージの木漏れ日
ヒールからエナメルが艶を躍らせ シフォンのベージュのバラの裾は
両腕を広げたリボン ....
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