あのさぁ
ひどく個人的なんだけど
僕が最近思っている事がある
君の糸を僕にくれ
強く結んで離さないから
君は毎日笑ってろ
愛情を裏返すと
憎しみに変わるという
それはよく聞く常套句
けれども。
憎しみを表返すと
愛情に変わるとは
何故かとんと聞いた事がない
今日は静かな夜ですね
冷蔵庫がぶぅーんぶぅーん
小さく小さく口ずさむ
一人っきりでいるのです
今日は静かな夜なんです
冷たい鉄がそとを走って
狂った様に競っている
ここは一つの楽園で ....
嗚呼朱く赤く紅く
秋に明け暮れ飽くことなし
移ろうものこそ美しい
去りゆくからこそ愛おしい
不変の美は仮庵から
渡り鳥のように飛び去るのだ
文字の檻に閉じ込めるなら
ソレハヒトツ ....
私は、今とても腹が立っています。
とてもとても、腹が立っています。
どうしてだか、あなたにはわかりますか?
あなたはとても優しいし、心が広いし、我儘な私を全身で受け止めてくれる、 ....
雨にとけて流され残ったのは、ちぃっちゃい欠片
ウチがウチであるための、ちぃっちゃいちぃっちゃいウチ
たぶん、もう傘はいらん と思う
両の手の平に抱かれる宇宙
手からはそれを引きつけ、また離す力が充てられるから
楕円形をした宇宙は落ちることなく、ふわふわと手の間をおよぐ
頭(こうべ)から髪が抜け落ちるように
....
長い旅路だった
絶望の灯火を燃やさねば
死すら受け入れがたい道を
ただ歩いて
私は太陽に触れる
命の限界を超えて愛するは
その代償も大きく
喜びと苦痛は何処で結ばれ輪になるの ....
街灯もない夜の海でいまさら月が明るい事に気づいた
霞む夜バイクに乗ってただ泳ぐ息継ぎ代わり歌を歌って
一人きりなんてほんとに当たり前凍える指はそのままでいい
クズで ....
言葉は釣針
この胸の泉から
秘めた思いを、釣り上げる
言葉は銃弾
憎しみを込めて撃ち
いつか、その報いを受ける
言葉はスパンコール
貧しい心を飾りたて
目抜き ....
すべてがそよともせずにそこにある
流れるものからとりだされる静止画
こんな時間もいいとおもう
背景はつねにうつろいとどまることはない
いっしょにながれるのもいいさ
でも自分のなが ....
一
夜の水平線が
両の腕をさしのべ
その手で満月を挟み
嘆く空から引き離し
海の底に沈めた
光が闇に溶けて
波の下に燃えつき
殺風景な夜空に
取り ....
散る為に咲くその姿
折り摘まれしばし綻ぶ
咲く為に地にしがみつき
季節の風をうけとめて
けなげとは
このことにあると言わんばかりに
誰につたえることなく
自らの ....
絶望の谷に
叩きつけられたことの
ある人は
簡単に
浮いたり沈んだり
今日のメニューで
右に寄ったり
左に寄ったりはしない
眼を見てごらんよ
目が合っていても
捉え ....
いつもすでに記憶だった夏の日に
俺は裸体を晒した少年少女達と
沖合を鳥が群がる海を見たかったが
だれひとり気付かぬうちに
海原を舐めて広がる火の言葉に焼かれた
熱気だけが渦巻く無音の嵐に ....
雨にとけてしまいそうなウチ
それでも傘に入れてくれるん?
いっしょに流されてくれるん?
「御用邸の月」という
那須のお土産を食べている
おととい貰った
「萩の月」そっくりな
数多あるパクリもんだ
案の定カスタードが全然劣る
何で真似さえできないのだろう
ウコッケイでも使って ....
ダダ漏れのDark Matter 鉛色の重力
街を歩いてもアスファルトに走る無数の亀裂
から滲み出てくる闇を見つめるだけだ
ああ この皮膚がすべて剥がされても
感じているか ....
愛する人を見つけては
期待が裏切られたと
不貞腐れます
また愛する人を見つけては
また期待が裏切られたと
また不貞腐れます
でも大丈夫
いつか ....
秋の夜の先端が月に届き
丸い円の中心から滴り落ちる雨粒が枝葉を揺する
遠く近く震わせる鈴虫の唱和に
一際大きく腹をこする一匹の独唱
寒気にさらされ弱りゆく命を一心に鳴らし
鈴虫は何を ....
私は語りましょう
年老いた異国の詩人が誘う
かつての黄金時代の
壮大な物語を
私は語りましょう
彼の地で出会った
美しい少女が流した
喜びの涙の色を
私は語りま ....
時間にもっと刻みの効いた名前をつけて
70年代後半から80年代の 何に首を傾げていたか 縦に振っていたか
想いに遡る
涼しい風が かつての秋の風と同じなのか 知りたい
躊躇いや忌憚のない ....
蝶は夏の光を泳ぐ
ふわり ふわり
目には楽しげで
花を愛し
仲間と戯れて
ときに人にも寄り
いのちの季節を謳歌する
さて黒い揚羽がまるで
....
そら
くう
から
空
変換キィで
世界は変わる
くうですか
くうですね
ひとしくみんなくうになってゆきました
昨晩はよくふりましたなあ ざんざばらん
おかげでからっ ....
下町の団地の小さな台所で
母が作ってくれたホットケーキには
必ず人参のすりおろしが入っていた
海を隔てた異国の地で
日曜日の朝私が作るパンケーキも
やはりほんのり柑子(こうじ)色
....
しろく しかくい たてものの中から かわいた無数の命の声がするのを
しずめるかのような噴水
しろさ きわだつ 広島平和記念資料館を想いながら
床についてみた夢は
しろい塩で できた ....
足をつけ
渡ってみたら
浅いせせらぎだった
キラキラ
光を浮かべてた
攀じ登ってみたら
低い壁だった
何一つ遮ることなどできないような
飛び越えてみたら
小さな亀裂に ....
切れ切れのあらすじ
離れ離れのせりふ
緑と青と白とその隙間にある
無数の明るい色と寒い色
大脳皮質の砂浜で拾い集めたら
海馬のカレイドスコープに仕込んで
いとおしむように回す
....
写真の裏を見ると75年8月とある
セピア色の時間が流れている
若き日の自分と対面する
少しは成長してきたのだろうか
自分に問いかける
かなり厳しい時代もあったが ....
葉月の昼下がりのどうしようもなくもてあました窓の
したで、たったいま、わたしにできることをすべて思
い浮かべてみても、ただ、雨の日の猫のように四つ足
を投げだして眠ることしかできなかった。
....
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