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私には見えた

あなたが笑うたび
唇の端から
ちろちろ見え隠れする
赤い瞳の小さなヘビ

あなたがしゃべると
目の奥をよこぎっていく
緑色した胴体のヘビ

あなたがふりかえる時
 ....
もうずっと遠い昔に
絶望から一歩を踏み出して
歩いてきた僕だから
これ以上裏切られることもないし
やけのやんぱちにもならない

光りあふれ
花咲く道の途切れる先に
真っ暗な口を開け
 ....
夢の中のように
重い スローモーション
息も絶え絶えの
全力疾走
お父さん
飛び立ちたいですか
長すぎる
父の滑走路
僻み根性のかけらも持っていない人の
笑顔はほんとに美しい
心まで透き通ってみえるよう
周りの人まで
幸せにしてしまう

あなたは日差しの中に咲く
どんな花にもよく似合う
あなたが少しも ....
強過ぎる日ざしが
真上から
直接脳に突き刺さる
そよ風が
熱風に変わり
日傘を裏返しにしようと
襲ってくる

バッグからハンカチを取り出して
涙をぬぐう
何度立ち止まって
ハンカ ....
空は薄暗いのに
色とりどりの看板や
揺れる木々の葉を
濡れた舗道は律儀に映し出す

冷たく滲んだ風景画を
靴やタイヤが
踏んでいく

ブラインドの隙間から
見ている私の
雨の記憶 ....
雨が降りやみ
風も吹きやんだ

笑顔のままで
濡れそぼる重たい旗を
強風に煽られながら支え続けた
孤独な旗手の闘いも終わった

鈍色の空が少しずつ明るくなると
どこかで小鳥の ....
白木蓮の花びらが
届かなかった手紙のように
散り落ちている

強い風の吹く
五月の日暮れ

咲いたばかりの桜が
ちりぢりに
遠くへ吹き飛ばされていく

行かないで・・

白木 ....
この国では
国民が憲法を守るのではなく
憲法が国民を守っているのです

憲法は国民を縛るのではなく
為政者を縛り
国民の
自由と人権と主権を
守っているのです
不戦の誓いも
そのた ....
パンジーの隣に
スィートアリッサムを植えようとして
移植ごてを手に
しゃがんでいた

視界をよぎる小さなプリズム

見上げれば
空はどこまでも青く

あたたかくなりましたね
本当 ....
地上に引き出された私の網膜に
無数の矢が
容赦なく突き刺さる

モグラになって初めて知った
過剰な光は
漆黒の闇よりもさらに凶暴で
瞳を凝らす事を禁じ
見る事を私に許さない

視神 ....
糸のように細い茎
葉は小さなハート型

切って
水に挿しておくと
傷つきやすい神経のような
白い根がはえ
土に植えると
再生する

そうやって
いくらでも増えるクローン植物
 ....
走って行って渡った
点滅を始めていた
青信号
お昼休みに
買ってきた弁当が
手の中で跳ねている
サラダがいくらか多いのにした
空は晴れ渡っているのに
風は冷たい
私の胸の中にも
 ....
庭に花園を作って楽しむのは
未来を
思うこと
球根は裏切ることなく
毎年花を咲かせるし
宿根草は年毎に株を大きくする
一年草は種を落とし
思わぬところから芽を出している

白いつるバ ....
雪解けを待ち切れず
雪の中に芽を出してしまう

だから雪を早くよけてやろうとして
芽をちょん切ってしまったこともある
苦い記憶
切られた芽は花にならない
でも次の年には
必ず芽吹く
 ....
三月のかた雪の上を歩いて
湖を行くと
半分水につかったまま
凍りついた樹の枝に
ふくろうがいた
ふくろうは目を閉じていたが
やがてゆっくり見開くと
私をみつめた

ひらべったい猫に似 ....
寝てる間に僕は
バージョンアップされているらしい
知らないうちに新情報がインストールされている
過去と未来の脈絡もなく
誰かと入れ替わったことにも気づかず
昼夜を問わず
意識にのぼる暇もな ....
短い夢の中で
大声で泣いた
会いたかった
探した
追いかけた
夢の中では
心が息を吹き返す

例えば
一日の疲労にゆらゆら身をまかせ
バス停まで歩く道
夕焼けでもない
うす曇り ....
春が降り注ぐ
固くこわばった雪山に
冬の汚れをこびりつかせ

シャーベットに足を取られ
車が跳ね上げる泥水に
コートを汚され

春が降り注ぐ
微笑がこみあげる

春が降り注ぐ
 ....
鳥の姿の失せた空には
鳥のかたちの欠落がある

影が消え
言葉は失われても
羽ばたいてゆく記憶が
風車をまわす

失われた鳥の形の
風が舞う


私は
声を出せるだろうか
 ....
沼のほとりにあなたは立って
覗き込む
濁る水底
揺らぐ藻の影
素早くよぎる魚の気配に
煌めく泡が
まっすぐに
昇ってくるのを待ちながら

言葉の淵にあなたは立って
覗き込む
尾び ....
都合の悪いことや
不快なことは
予め伏字にするという
配慮が
いつからかこの国では
行きとどいているので
よほど気をつけていなければ
事実は見えない
まして
事実を都合よく見誤ろうと ....
道化者
僕はただの小心者
小心だから
嘘をつく
ばれるに決まっている嘘を

はじめはうまくいっていた
あまりにも
うまくいきすぎて
引き返す道を失った

ばれるのが
怖くて
 ....
初めての学芸会は
サルカニ合戦の
蟹の役だった
いとこのよっちゃんは
猿だった

元の話は
硬い青柿をなげつけられて
つぶれた蟹の卵から
子蟹が出てきて
助太刀を得てみごとに
親 ....
父は今日
返事をしなかった
話しかけても

目だけはじっと
私をみていた

まゆみだよ
わかる?

といっても
黙っていた

聞こえる?
と聞くと
うなずいた

声は ....
それからも
春は繰り返す

ゆがむ 水の記憶の上に

橋 畦道 雑木林
学校 郵便局 診療所
ヤチブキ
エンレイソウ
カタクリ
エゾエンゴサク

プリズムのフレームに
予め切 ....
夕暮れの少し前の空が
薄桃色に発光している
家々の壁も
屋根の雪も

空にはまだ白い月
解き放たれた風船のように
心細げに浮かんでいる

さっきはビルの上にいたのに
おとなりの
 ....
おにさんこちらてのなるほうへ
追いかけても
誰も捕まえられなかった
嫌になって
薄目をあけると
どうやら
周りに誰もいない
口惜しくて
やみくもに走ったら
迷子になった


何 ....
こんなふうに
穏やかに
労りながら
暮らしていけると思ったやさきに

何の前触れもなく溶岩のように
吹き上がる
怒りを
とどめようもなくぶつけてしまった

慎重に
優しく積み上げ ....
うろおぼえの風景の中を
戻って行く
繋いでいく

抜け出したい
と思った時
光が見えた

根毛を伸ばし
水を吸い上げる
双葉を拡げ
光を浴びる

暖かかった
柔らかかった
 ....
tamamiさんのLucyさんおすすめリスト(63)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
Medusa- Lucy自由詩12*15-2-25
絶望のあとに- Lucy自由詩19*14-12-15
滑走路- Lucy自由詩14*14-7-16
- Lucy自由詩16*14-7-13
熱風の街- Lucy自由詩21*14-6-27
長雨- Lucy自由詩17*14-6-13
祭りのあと_(よさこいソーラン祭りに寄せて)- Lucy自由詩17*14-6-9
白木蓮- Lucy自由詩16*14-5-5
平和憲法- Lucy自由詩9+*14-5-3
シャボン玉- Lucy自由詩13*14-4-29
点眼- Lucy自由詩20*14-4-16
ワイヤープランツ- Lucy自由詩13*14-4-15
シグナル- Lucy自由詩15*14-4-11
花園- Lucy自由詩17*14-4-9
クロッカス- Lucy自由詩11*14-4-9
ふくろう- Lucy自由詩20*14-4-2
更新- Lucy自由詩11*14-3-24
短い夢- Lucy自由詩11*14-3-24
春が降り注ぐ- Lucy自由詩17+*14-3-17
鳥の影- Lucy自由詩26*14-3-7
沼のほとり- Lucy自由詩19*14-2-28
配慮- Lucy自由詩24+*14-2-25
ピノッキオ- Lucy自由詩11*14-2-25
勧善懲悪- Lucy自由詩13*14-2-22
父は今日- Lucy自由詩22+*14-2-20
水の村___Ⅰ- Lucy自由詩13*14-2-12
帰り道- Lucy自由詩11*14-2-12
めかくしおに- Lucy自由詩22*14-2-11
溶岩- Lucy自由詩14*14-2-10
モンタージュ- Lucy自由詩10*14-2-9

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