梁よりも真っ直ぐなその高みから恋をしろ
プテラノドン

岸辺だ。鳥のとまった街灯は。飛び立つしかないのだ。
自転車に乗る作業着姿の若者たちのように、世界を無視して

ぼくは車内から意識する。
隙あらば道路に飛び出してくるあいつらのように、かつては
友人に自転車ごと体当りしていた挨拶のやり方を、
罵詈雑言の一日の始まりを。そんな風に過去を現実に敵えていく朝、
視界に入る光景。黒光りするレトリーバーとともに走る
迷彩服を着たアメリカ兵。彼は、子供らの通学班に向けて
手綱を放しおどけてみせるし、彼自身が牙のない猟犬となって
子供らを追い回すこともある。異国で暮すその姿勢は
どんな生活で覚えたものか。
髪が一人歩きしているような息子のアフロヘア!
鳥の巣を頭に乗せて歩く彼はさながら
ウィルスミスよりウィルスミス!
そして、今朝、
父親の立ち会いのもとぼくらの何かが変わった。

全く別々な人生を歩むはずの少年と少女がお辞儀をしあい、
握手していた。
作業着姿の連中は晴れ渡る歓声を上げ、
ぼくは遠くまでクラクションを鳴らした。
各々の世界が一瞬顔を見合った。

ーこれってマジかよ?

待ちかまえていなかった。愛なんて忘れてたんだろうな。
受けとるにはそうするしかないみたいに変てこにー笑ってた。



自由詩 梁よりも真っ直ぐなその高みから恋をしろ Copyright プテラノドン 2009-06-09 20:33:55
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