個人の肌感覚を、別の個人が追体験する
現代詩が、内省パーソナルな感覚享受という新境地を獲得してから
だいぶ経つ

共に生きていた社会性から飛びだした詩は
コミュニティどのように維持するのか
 ....
いくつもの
物語の
すべてが語られて
ひとりの人として集められて
終わるころには
陽の光から逃げるような
細く長い影が
やっぱりひとつ
薄く 揺れるだろう

生まれてからは
笑い ....
じぶんの重みに
押しつぶされた日の光が
大地に一度 身を落として
あたりを囲う 同じものたちの
小さくも楽しげな 溢れかえり
そこにある岩肌の
わずかな塩味に
あいさつのように
その明 ....


身振り手振りで伝えたい
深い虚構の 底のあたりが現実で
水面は空想





現実と空想の間に渦巻く 蚊取り線香 π生地仕様
人 は測量に熱中
人 以外は行楽に夢中
 ....
父を思う
なぜだか
ひとりでトランペットを吹いている

音楽が好きな父は
アコーディオンを少しやっていたと聞いた
肺活量は人より多かったらしいから
ほんとうにトランペットも吹いていたかも ....
今日も

ボックスに入り
ボックスの電源を入れ
ボックスを叩くと広がる
ワーク・スクエア

ぬくもりのある
白いスクエアをいくつも広げて眺める
その片隅に
小さな赤い
サークルは ....
おととい来やがれ は荒くれで
わかってて使うから始末に負えない
おとといお越しやす なら
品よく耳触りもよろしい
だから はんなりと生きたいのだが
自分が許しちゃもらえない
上等じゃねえか ....
最初に
だれかが
理由もなく
「世界一高い場所にある駐車場」なんて拡散したので
あまたの観光客が面白半分に訪れる
駐車場(無料だよ)

南の片隅に根付く
天にも伸びる巨木が
きた証拠 ....
わたしとすれ違った
年配のご婦人
車いすの
身繕いをした年配の
もうひとりのご婦人を押している
たしかめるようにゆっくりと歩きながら
昼のひかりで満たされた
安全な通りの
木漏れ日のあ ....
番号


まとわりつく、鉛色の
番号たちを集めて燃す儀式
ながい鎖が一筋、見あげて残る
個の人に成れ

番号に生まれたわけではない
番号になりたいわけでもないだろう?
番号は美しく ....
壁を求めて、森は
燃える
壁のない森
なんて
美しい森
わたしの暴風を
かなしい
金槌の硬さに例えて
燃やす
焔が先端を追いやる
あ、らわれる平原
泣くほどの
水がめは
どこ ....
かばさんが本契約上の義務に違反して秘密情報を開示または使用した場合には、お花畑の幼虫さん(蝶々さんに変態する子どもたちをいうがこれに特定されない、以下同じ)に対して金銭的に算定困難で回復不能な、成虫不 .... 日付けようのない、濡れた手紙でも
生きていれば、きちんとした
差し出し方を思い出せるという意味の
薄さ

わたしの指の腹で縁どられた
限りない不透明(のりしろ)
できあいの
夏の日の明 ....
暴力はどこだ
暴力をよこせ
殺人は暴力か
憲法は暴力か

ナチスドイツ
福島原子力発電所の
メルトダウンは暴力か
涙で暮らす幾数年は
聞いたそばから耳が腐れる
そうじゃない
ここ ....
春の陽にいて

あなたのことを思います

わたしの気持ちを受け入れて

いただけるなら

うれしいです

どうぞ



春の陽のなか

あなたの気持ちを受け入れました
 ....




外が言う聖域なき改革に
少し笑ってから
だれにも教えるつもりのない
ひとつのメールアドレスを
登録して機能させる
(そこはサイバーエリア)
(そこは賃貸住宅) ....
くずれた均衡
その静かな吸引力に
はく奪されるわたしたちの人格
キュビズムから滅びの兆しを嗅ぎとる、影の
わたしたちが歩く
男女の別なく
客も、客引きも
リードの犬と同じく
たっぷりし ....
命を忘れて生きていたら
空に向かって詩を書きなさいという
いつか
あなたと見上げた空がやってきました

みな異なる
あれほどたくさんの雲をノートにして
やっと伸ばした指先が
余計に小さ ....
格安ひとり旅ツアー社の好評企画「ことばのふるさと巡り(温泉郷/続編)」に参加した、ことばたちは銘々に温泉に浸かり、美食を囲み、人間どもに酷使される謂れなき辛さに酒を酌み交わし夜ごとに語り合っては親交を .... 闇をのみこむものは
闇自身でも
ましてや光でもない

宇宙船テセウスは、いまも応答がなく
どこかの系に存在し、また別の彼方に向かっています

船内を這う、動脈(はいかん)
微かな明滅が ....
器官の短詩(四作)





畑に落ちた目は農薬まみれ
瞬きをひとつして
流す涙

バブル経済でも畑には朝露(ほうせき)
ひかりと温もり、太陽が
労働の背中を見つめていた
 ....
かなりあ
    作詞 西條八十 作曲 成田為三
    「唄を忘れたカナリア」から


訪わない
かなりあは
もう唄わない
あとは捨てられるまでを
生きる

眠る瞳で
唄って ....
スペースインベーダー


歪みながらよろよろ移動する未確認飛行物体の層と、その上を流れる一隻の母艦
ミサイル的中の距離と時間を図りながら、左右に稼働する砲台を操作して、撃て
侵略者は少しずつ ....
美術展巡りが趣味だから招待状は珍しくないが、無の絵画展とはからかわれたものだ、初めて訪れた会場は歴史的格式もある重厚なホールだった

高い壁面は淡く白く、波打つことを拒絶しながら横にどこまでも続い ....
パンが食べたい


結婚して子供をもうけたが
三十過ぎに発覚した病が原因で離婚
その後は親もとで闘病生活の女性を担当している
駅前のマクドナルドで聞いた
きみの近況

脳下垂体の異常 ....
顔(ガン)                流星
                      流血
  直情が滑る              硫酸
   乾いた血球を             流星 ....
リアリティはじっとしてはいられない女の子ね、持ち前の想像力で逃避も克服、溶ける魚(註1)の顔をして超現実、デバイスの仮想現実、拡張現実ソースたっぷりで入り乱れるの、あえて言葉で表すとして

人は個 ....
拙くてもぼくは「君との失踪」を書いて、それが
じぶんを覗いた初めての瞬間

いつとはなしに、その詩が消えてからは
じぶんの覗き方も変わってしまった
(水のように流れて、もはや字面には戻れなか ....
着床にも降りる雪の塩梅があるだろうか、ぼくから共有を剥いだ残りがぼくだとして、小さく息を潜めていたよフェミニン、ぼくは遺伝子と膝を交えて話したい、欠陥を謝りたい、のべつ幕なしか押し黙るのか日本語では表 .... 年を追うごとに減る投稿はあたりまえで、書きつつもこれまで書き溜めた作品を出し続けたから、もうほとんど出せる過去作は残っていない。
前に読んだ石田衣良さんの記事の中に「自分のもっている作品(ストック) ....
乾 加津也(166)
タイトル カテゴリ Point 日付
詩と詩人そして言葉散文(批評 ...3*24/3/16 11:56
郷愁 二自由詩12*23/10/3 17:19
郷愁自由詩10*23/4/8 20:29
かりそめ八景(または、ことばの引用)自由詩7*23/1/6 15:51
トランペット自由詩7*22/6/22 20:49
仕事自由詩8*19/12/10 18:05
考える み (想起させるものに忠実に)自由詩4*19/2/8 14:46
駐車場自由詩3*18/6/5 17:16
冬に向かう自由詩4*17/12/11 17:54
番号は予感に眠れ自由詩6*16/8/9 18:00
自由詩5*16/7/29 0:24
かばさんNDA自由詩2*16/7/15 18:19
日付けようのない自由詩6*16/7/8 0:03
暴力をよこせ自由詩4*16/4/2 2:15
どうぞ と どうも自由詩2*16/3/31 1:18
@mail (生体反応の設計)自由詩10+*16/3/3 18:55
夕暮れ自由詩13*16/2/19 18:54
自由詩8*16/2/13 23:34
ことばの格安温泉ツアー自由詩2*16/2/8 18:51
テセウス (生体反応の設計)自由詩2*16/2/5 21:21
器官自由詩6*16/1/23 11:02
かなりあ(他 三篇)自由詩3*16/1/16 19:13
ゲームの時代(エレクトリカル・ゲーム三作)自由詩4*16/1/5 23:59
無の絵画展自由詩6*15/7/17 19:33
食べる 二編自由詩22*15/5/14 0:32
A DEATH MASK自由詩5*15/5/4 23:01
眼人間自由詩6*15/1/24 11:49
失くした詩への覚書自由詩9*15/1/9 21:43
ぼくのユニバースへ、ようこそ自由詩6*14/12/21 0:31
詩の種散文(批評 ...6*14/12/13 23:40

Home 次へ
1 2 3 4 5 6 
0.1sec.