テセウス (生体反応の設計)
乾 加津也

闇をのみこむものは
闇自身でも
ましてや光でもない

宇宙船テセウスは、いまも応答がなく
どこかの系に存在し、また別の彼方に向かっています

船内を這う、動脈(はいかん)
微かな明滅が、呼吸(いき)のようです
虚ろを捉えるほどの力はなく
もはや消え入るほどに
微小にもなれません

ゆく河の流れは絶えずして
代替系統(ことば)の親指の腹で
アダムの喉仏を押しつぶす
それは
音でしょうか

テス、順列の鉄面皮
テス、産毛(ビロード)の洋を漂い
テス、何物かであろうとする、謂れとも
テス、関連させます


炎なら下へ
どうぞ
わたしが生まれる、ずっと前がやってくる
熟れた乗組員
わたしのこと切れは
またその向こう


自由詩 テセウス (生体反応の設計) Copyright 乾 加津也 2016-02-05 21:21:33
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