番号は予感に眠れ
乾 加津也

番号


まとわりつく、鉛色の
番号たちを集めて燃す儀式
ながい鎖が一筋、見あげて残る
個の人に成れ

番号に生まれたわけではない
番号になりたいわけでもないだろう?
番号は美しく、みんなで整然、足掛かり
便利ね

生きよう
いや
生きることについてか
ことさらに不便なことが
細胞(ぼく)は楽しく
おかしい





眠れ


だれもが眠る
いずれ私も眠りについて定義しなければならないのだろう
ただ、眠りのまえに
それができるか
眠りにおける、一日の疲労とは何か
昏睡とは何か
意識とは何か
暗の中で時が過ぎ
意識が薄れるとは何か

意識が戻る、または目覚めるとは何か
寝惚けることは幸せなことか
上体を起こし、ベッドから降り
裏が明るいカーテンを一気に引き開くこと
それは何か





予感


予感がある
(種の記憶もないのに)
朝の光を吸っていた

そのあかるい衣擦れから
わたしは臍の緒をゆっくりと延ばす

失くした夜に
招かれる夜がある

すべて(事象)をなだめるにふさわしい
緑の神殿にいた
朝が、わたしの予感


自由詩 番号は予感に眠れ Copyright 乾 加津也 2016-08-09 18:00:00
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