おまえはひとりのふりをするがいい
常に書かざるを得ないものなら
おまえの余裕の臭いがわかる
おまえはそうして滅びるがいい
ひとりのひとりを知るものは
岩を岩を岩を岩を
....
あまりにも説明しすぎの四行を褒めそやす人嘲笑う人
無理解を嘆く人こそ哀れ也ただそのままにそう在るものには
四行を望むものには四行が聖域のよに立ち ....
海のにおいの雨
さかしまと笑み
風を赦す
告げるものなく
歴史を失う
黒く 短い道
雪に埋もれた野の向こう
雨がひとつ膝をつく
さかいめ ちぎり絵
....
原より白く
街が燃える
影も熱も人も空も
見えない波に流れ出す
曇の胸が
樹や家に添う
高鳴りが
さらにさらに遠くを照らす
ちからの反対へ滴は落ちる
....
冬の晴れ冬の曇りを追う度にまなざし昇る水銀の粒
すぎる火を花のかたちに切り裂いて尽きることなき風旗と成す
はばたきのようにまばたく目がひとつ ....
ひとしずく
器 くちもと
遠くを
ぬぐう
ひとくちを
映す
静かな渦が
冬の曇を見る
膝の上の
鈍色の背
どこかで
どこかが
うたっ ....
剥がれてもなお身を削る付け焼き刃
死人らの声聞き飽きて冬燃やす
首くくる光の如き窓のうた
忘れては腐りなお呑む火酒かな
....
木の葉の奥の
窓の灯
到かない地を告げる
ひとり と
つぶやくもののなかの
ひとり
響き
光の洞
青 散り積もる
水を這い
背を ....
窓 雪音
指 しずく
たどるままに
ころがる闇
水と光と
骨の轍が丘をめぐる
わずかな冬のはらわたを
苦く苦く抱きとめている
半ば沈んだ
舟の ....
早朝に目から冬空吸い込めば高くそびえる水銀の道
誰も居ぬ場所を迷えば誰か居る今にもいのち消える目をして
星が噛み窓が割れても空ふたつ棄て置かれし ....
凪と鉛
曇が地へ落とす火
色より広いまぶしさの
まなざしのふちを洗う雨
水を踏み
坂をのぼり
鈍を振る
頭は 音になる
空に浮かぶ火が薄まり
他の火を ....
こすりつけなすりつけても骨ひとつ炎のなかに己れ染めゆく
路地裏の真昼飛ぶ夢みるときに知らず知らずに携える骨
灰よりも大きく滴の外に出ず元のかたち ....
からだを巡る車輪の音を
まばたくことで消しながら
足跡のない足音の
応えのつづきを聴きながら
道に浮かぶ狭い暗がり
雪から雪が生まれては去る
ひとつの鉱を ....
静かな日
雨の海
庭の瞳
はざまとはばたき
銀と鉛
指ひとつ
滴のなかの
鉄 ひとつ
息の道に立ちどまり
手首を返し 風を離す
緑の陰の水が動き ....
灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目
はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置 ....
光にまぎれ
冬にまぎれる
ひとつひとつ
空に満ちる
花のかたちの水
ひらこうとする指さき
指さきは 指さき
雪になり陽になり
見えなくなり散らばる
....
つぼみを壊した
誰にも言えぬままだった
庭のすみで彼らは責める
降る雪のなか咲きほこる
....
布団に入ると
からだが伸び
足が出てしまう
いつも凍え
いつも
地を飛んでいる
忘れたくないものを
燃やし 撒き散らしながら
忘れたいものを
....
隙間のうたが家をなぞる
屋根を除き暗く浮かぶ
金と緑 水と水
互いを招く 打ち寄せる
棄てられた庭
蔓が壁に描く大木
雨の音 波の音
色の音 鎮む音
遠 ....
何処へゆく何処を向いても冬の日に無数の星のなかのかげろう
読み仮名は誰のためでもあらずしてただ自らの崩れし証
細く在るからだすべてに陽を浴びる幽かな ....
きんいろを通り
きんいろになる
ずっと ずっと
鳴っている
遠くのような
近くから来る
生は治る
生は響く
雨が雨をすぎるとき
滴に残る
影 ....
なだらかな
未分化の稜線
言葉少なな
ひとつの泡
曇間の明かり
水が水を分ける音
一枚の葉
星の裏まで
同じ大きさ
旧い川に
ふいに沸く銀
....
静けさと静けさ
くりかえす甘噛み
打ち寄せるたび
持ち去られる秘
からだを通る水は痛く
まばたきの奥に声は拙い
手のひらの火
一瞬の重なり
滴が鉱に ....
白へ白へ旅をする
木目の道の途切れるところ
裸足の足指
つまびくことの
終わりとはじまり
小さな柱がいくつかつづき
見えない川を示している
枯れた花が陽を拾う
....
鳥滴光声
距離もなく
ただ在る
手水原香
数もなく
ただ鳴る
壁もなく窓もなく
ただまばゆく
既 ....
三つの空のある窓に
光の穴があいている
動きつづける点の奥から
はざまの唱が聞こえくる
朝の翳り
夜の白銀
窓しか照らさぬ窓から来るもの
倒れ砕けた木のむこう
....
生きものと光を
行き来する生きもの
真昼に飲む水 音になる水
静かな明かりの目をした子に
わたす音はふたつある
明日の朝 霧が晴れたら
望むところへ進めるように
....
百年の花が咲く
音だけの虹
昇る夕べ
鳴る穂を抱く
水の穂
指の穂
おまえを
おまえに与えられずに
叫びつづけた 水に映した
明るい貝殻
問 ....
ひとつのつづき
ひとつの雨
祈る者なく
響きは在る
青や灰の音
縦に巡る空
滴ひとつ
離れるうた
熱の歪みがさらに歪み
様々な濃さの黒のきれはし
羽 ....
足の爪 長いよ
切ろうよ
切ろうよ
おかし
草の原 はざま
追いかける
追いかける
おかし
波しぶき 砕け
ひらいても
ひらいても
おかし
....
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