あらゆる景色が海へと落ちてゆく
夜の震えがいつまでも消えず
線路を青くかがやかせている
ひとつの雲が原を過ぎ
光は濡れたくぼみに落ちて
飛び交うように激しく速く
滴の空 ....
氷の轍を駆ける鳥
ふいに枯葉のなかから飛び立つもの
朝の終わりを告げてゆく


遠く幻のように
冬の林がつづいている
常に空の色より暗く
風のなかに立っている
 ....
真夜中の雲が青白く立つ
月へ向かう手
空に融ける円柱
なにもない場所に
あらゆる場所に
立っている


木と地をつなぐ蝶
群れ集う黄色
ひとつの巨大な背の ....
鏡のなかにうつる空の
少しだけ昏い蒼のほうへ
けだもの 実り 尾を引くむらさき
流れるように傾いていく
音のない列車のなかで
外から来る音を聴いている
光が近づく
 ....
  



明るすぎる夜に笑われ
飛び立つことのできない鳥
低く地平に交わる{ルビ雷=いかづち}
遠くも近くも消し去りながら
鳥の横顔を照らしている
かがやく雲はさらにか ....
冬の光が一本の木を撲ち
水のなかの空はむらさきになる
北の方からやってくる雨
無数に分かれ ひろがり
続きつづける水たまりの言葉になっていく



金の雲 金 ....
誰もいない街の上を
独りの鳥が飛んでいた
色褪せた黄金の街だった
かつて金色の泥流に埋もれて滅んだ
古代の街のようだった
乾いた巨大な植物のなかから
鳥は光の色 ....
色もかたちも失うほどにかがやき
原への道を埋めてゆく花
光にひらく午後
花に閉ざされる午後


檻のなかの木が
檻を呑みこみ
空を覆う
たったひとりの森になり ....
自分が火であることを知らない火が
午後を 夜を さまよっている
持ち上げることのできないものを持ち上げようとして
燃える腕を宙空で
ただぶるぶると震わせている

 ....
月を囲む夜の雲の輪
輪の内の空は外より暗く
月は星を消せないでいる
夜の終わりにも輪は動かず
近づいてくる巨きな星のように
空の頂に在りつづける



見えない ....
鏡の底に雪が降る
夜の終わりが
夜のはじまりへと落ちてゆく
地に映る光が
空へ空へとのぼってゆく
鏡の底に
ゆっくりと降りてくる逆さの鳥
沈んでゆくもう一人の自身 ....
朝の海には光しかなく
頂をすぎる風
うすい雲を呼吸するものには
既にそれは海ではなく
折りめ正しい紙の翼の
つけ根に震える飛べない心


枯れ葉の熱に渦まく白金
土が ....
空と空をつなぎながら
連なる交差に溶け残り
雪は火傷を伝えてゆく
遊びを終えた子らの声
原をわたる風のひと粒
熱と痛みが照らす脇道


埋もれかけた細い木のそば
真新しい ....
紅い氷に
蒼い光はそそがれて
溶けては凍り
溶けては凍り
土へと向かう重なりの
まばゆい柱になってゆく


雪が召ばれ
風が召ばれる
木々は皆いっせいに
かしいではも ....
雨と雪の数えうた
青と金の飾りの手
かたびら かぐら
しずくのふるえ


色と色の板たちが
音の無い地に鳴り響き
しずくの上に羽を描いて
空を少しずつ明るくしてゆく

 ....
黒い林
黒い道
雨のくちびる
雨のうなじ
ひかり 流れ
ひかり 流れて


黒い衣
黒い鳥
探し疲れたむらさきの花
足首に咲くむらさきの花


水の上を
雪を ....
放射の水から逃れられずに
どこにもいけない固形の光
円を描いてただぐるぐると
水源の真下を回りつづける


蒼い蒼い路地裏を
過去が近づいてきては去り
小さな歩幅の足跡たち ....
ちからはちからへ垂直に落ち
からだはからだへ傾いてゆく
気まぐれな風の格子
雪道に揺れる草の影
重なるようで
重ならぬもの
煌々と冷たく
空を持ち去る


何も書かれて ....
雨や 雪や
青のこども
葉のうら ひたい
金のふるえ


さしのべられた
指のかたち
空の穂になる
うたごえになる


やわらかな
ざわめきの四角
とじこめた色 ....
糸のほつれた万華鏡が
壊れかけながら空へ昇り
鳥に追われる鳥を隠した


ふるえつづけるふたつのものが
失いながら抱きあいながら
空を光にもどしてゆく


青と金は ....
水に打たれて
鳥になる雪
おしとやかなだけで
いいのですか


花の吸いがら
雪硝子の背
どこかの国の
旗のよな空


黒い丸から
生まれた春とて
羽を知らぬは ....
中指から先に 
地に付け 飛び立ち
光を
奪うように吸う


ひとつの緑
とどろく緑
水滴の世界に
隣り合う水滴


手に余るものはこぼれ
いつのまにか芽吹き ....
服を二着
くるくる ほどき
糸に戻す
その指先



糸以外の
指以外の
何物にも ならぬ
その回転



その
細く
白い
無言




 ....
伝わらぬ想いは水に成り果ててかたち失くした器かなでる




しあわせの過ぎる時刻もわからずに待てど狂えど来ぬものは来ぬ




冬空の鉄は緑に手は鈍に雪か ....
こうべをたれて
両手をあわせ
じっと目をふせ
みかんを持つ子



あなたにとって今までで
いちばんおいしい
おいしいひとつの
みかんでありますように




 ....
水に姿と色を浮かべ
二枚の白い布をひたして
染まるもの染まらぬもの
ただそのままを見つめている


渇いた指で手のひらに
水がほしいと幾度も書くとき
空をまわりつづける葉は ....
手のひらのなか揺れる手のひら
波のかけらを抄いあげると
しずくは双つ微笑んで
仲たがいを終えた羽
海の光に照らされて


風は強く
雪をけしてつもらせてはくれない
ひとつ ....
目を閉じ
緑はほとばしる
陽の音が 陽の熱が
やわらかな迷路に落ちてゆく


川に沿って光は曲がり
風は遅れてあとを追う
土のかけらは水のなか
異なる火となり揺れている
 ....
海へと向かう夜を見ていた
蒼い蒼い
光を見ていた


光をぬぐう水の手が
冷たい曇に触れていき
たくさんの小さな影をつくった


影は夜通し降りつづけ
肌の上で
 ....
揺れつづける鈴の音
回りつづける水車の音
遠い遠いいとなみの音
届かぬように届きつづける
小さな小さないとなみの音


油彩の歩道に描かれる鐘
灯りが消えて現われる腕
つ ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
照夜  終夜[group]自由詩3*06/1/17 19:42
照夜 Ⅳ[group]自由詩4*06/1/17 11:32
照夜 Ⅲ[group]自由詩1*06/1/16 23:30
照夜 Ⅱ[group]自由詩1*06/1/16 17:58
照夜 Ⅰ[group]自由詩4*06/1/16 11:16
姿の源 Ⅵ自由詩106/1/15 22:59
姿の源 Ⅴ自由詩206/1/15 17:53
姿の源 Ⅳ自由詩206/1/15 10:11
姿の源 Ⅲ自由詩406/1/14 22:57
姿の源 Ⅱ自由詩206/1/14 17:32
姿の源 Ⅰ自由詩206/1/14 9:56
降り来る言葉 XXI[group]自由詩506/1/13 21:50
冬とてのひら自由詩8*06/1/9 23:06
報われぬもの自由詩606/1/5 16:03
冬舞自由詩206/1/3 12:58
鳥と水自由詩206/1/1 22:41
鈴と光自由詩105/12/31 10:36
ちからのかけら自由詩405/12/29 18:17
ノート(青のこども)[group]自由詩805/12/25 21:07
鳥と鏡自由詩705/12/23 21:52
ノート(ひかり たわむれ)[group]未詩・独白505/12/22 20:24
とらわれ自由詩605/12/19 17:58
ノート(42Y.12・19)未詩・独白305/12/19 17:47
しあわせと冬短歌705/12/16 19:54
ノート(いのり)未詩・独白205/12/16 17:35
午後と彩水自由詩405/12/15 13:19
羽と手自由詩405/12/12 17:06
午後の水自由詩605/12/9 17:04
ノート(42Y.12・5)[group]未詩・独白505/12/6 17:47
はざまのうた(青と冬の子)自由詩105/12/4 18:32

Home 戻る 最新へ 次へ
37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 
0.13sec.