かげろう
冬に漲る
かげろう


蜘蛛を喰い
春を産む
川を
のぞきこむ鴉

あなたはいない



ああわたしには
鴉がいない
昇り降りる明るい雨の
降り降りる間に 降り昇る間に
人のかたちにまたたく鏡へ
灰と花は訪れる


壁に窓はなく
窓の絵があり
鈴の溝の午後
空はすぎる


 ....
あたたかな骸
ころも脱ぎ去る
ひかり ひかり


拾うしぐさ
つぼみのように
水にふたつ


目と頬のはざまの歴史
ひとつの舌で掘り起こし
あなたは指の国境を消 ....
白の崖 白の椅子
海へ突き出る



耐えられなくなり
あなたの手を取り
月と曇を無理矢理見せる


蒼のなかににじむ灰
丘を昇る星の群れ
言葉は有限 空の手 ....
火の境い光の境い冬ひとつ


穂の奥の鉛の森ぞ燃えさかる


岐に至る言葉のすべて水を招ぶ   


にきにきと片手の光においけり


冬の背に失いしもの踊 ....
はね橋が分かれ
呼吸が分かれる
緑は
重くなる


雨 行方 雨
行方 雨
窓のかたちの光が吹いて
窓のかたちの空に重なる


着いたはずのしずくは離れ
 ....
冬の咽もとに指を寄せ
ふるえのかたちを描いてゆく
あなたは
あなたを描いてゆく


太い流れが細くなるとき
熱は流れに染みとおる
夜が夜を圧そうとするとき
熱は夜の辺をめ ....
曇が月月から曇がおや月が曇であるのか月であるのか




風やんで雪のみなもと目に沈め光のなかの光たからか




行方なくただ前のみが在る冬の泳ぐそのさき ....
冬の赤子
厚い布の手
虹を梳かす手


模様がしたたり
小さな炎が
小さな炎の頭をなでる
後悔が 見つめる


左手の蛇
子らの頬
水も銀も
うたになる ....
呪いが呪いに接しては咲く
蒼を渇きに支配する
指の火口を巡る文字
岩に硝子の星を描く


咳音 空洞 ふたつの旗
熱水 痛み
しずくがしずくでいられる時間に
空は数度 ....
這いつづけ
水にたどりついた樹が
土のはばたきを抑えている
それでも幾つかは
飛び去ってしまう


石も川も敬いも
大きさを失いさまよいはじめ
幸せもなく 不幸せもな ....
許される蛹に樹は満ちて
もう何年も蝶を見ていない
枝を流れる蛾の骸
葉には卵も幼虫もない


ただ在るだけの糊しろの日々
いつも声と指ばかり見て
そのほかのあなたを ....
水と同じ手をかざし
流れを曲げる生霊が居り
声と光を抄いとり
からのはらわたをのぞきこむ


手のひら 手の甲
水車の回転
既に無いもの 失いものの影
ひとつ余分 ....
右から左へ弧を描き
水は何も言わずに消える
虹が残る間だけ
沈みかけた道が見える


炎の点が音に揺らぐ
仰ぎ見るたび止まる雪
歩く影にしがみつく雪
土の上の ....
あなたが
行きましょう
と言うときの
頬の上の雪


突然の約束を
忘れても 忘れなくても
あなたは七日
離れてしまう


はじめから許しは無く
自分だけのあ ....
壊れたひとつの器の代わりに
金と緑の流れのなかを
ひとつの仮面が鳴りつづけている


はざまの窓をしたたる空
鳥がゆうるりと
首を踏切へ向ける


夕の稲荷
 ....
耳を焼け
耳を焼け
体内を聴け
正しくはない
美しくない


体内はもういい
正しさも
美しさも
もうどうでもいい
おまえでさえあればいい


また ....
クロワッサン クロワサン
まなじりから噴き出す血で
壁に矢印を書いた午後
みんな走る
みんな追う
みんながみんなを追ってゆく
矢印は乾く
黒く笑う



 ....
海辺に目覚め
布団は血まみれ
真夜中の床屋
不良に目をつけられ
街じゅう逃げまわり
夜明けに手打ち式
波の音しずか
しずか









 ....
たくさんのこぶ
たくさんのこぶ
ブラインドの空の切断面
白わたる光
目に触れる光
滴をまさぐる指の腹
かたちをかたちに呑む光








 ....
曇の奥を塗る機械
膝より低く咲く冷気
土の下に見つけた花
あなただけが見つめた花


後ろ姿の母の電話が
谷の底に沈んでいる
言葉は未だ
鳴りつづけている


 ....
重そうな空たおしたら蠅まみれ


光るなら先に教えろ糞稲妻


政治屋の住む通りだけ雪は無し


消えるのは己れが先か火が先か


おまえらがおまえらかどう ....
板のような
霧のなかの
岩をめぐる
冬のまぼろし


応えは応えつづけている
応えられぬものはないかのように
ひとつひとつこぼれゆく
ひとつひとつ消えてゆく

 ....
白に付いた
銀を削ぐ
白になど
付いてほしくなかった


かちりと鳴り
風が止まり
吸うようにひとふさ
寝床に入りこむ


寒さにしびれ
何も感じないのを ....
火に呼ばれ
膝に呼ばれ
地にしゃがみこむ空から
したたり落ちる血に呼ばれ


前触れもなく終わり はじまる
何も持たない一日の音
傷は風に近くひろがり
傷は轟き傷はひ ....
どれほどの闇が
闇を憎みつづけているのだろう
どこまでも闇のまま
在りつづけることを信じて
錆びゆくは錆びた空の下みな錆びて白を見上げる白の海鳥




器から器へ踊る手焼けただれなお幸もとめ笑みをいつわる




泥のなか流るる傷をひろいあげ ....
闇と闇が話している
静けさが首すじを去ってゆく
遠い扉から
のびる明かり


岩の呼吸を冷ます波
夜へ遠のく夜を照らす熱
朝には消える
氷の鐘


雨のなかの灯 ....
真上の月
四つの杯
ひとり去る猫
ひとり去る猫


蝶が蝶を吸いに来る
重なりのむこうの波
波のむこうの冬


より硬いものに触れ光は撓む
くすり指のふ ....
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
ノート(46Y.3・25)<2>[group]自由詩109/3/25 21:46
ノート(46Y.3・25)<1>[group]自由詩109/3/25 21:45
常冬自由詩309/3/21 9:22
水応自由詩509/3/16 10:19
鉄夜自由詩209/3/11 8:52
晩冬夜俳句209/3/10 17:12
花離手自由詩309/3/8 14:56
夜額自由詩209/3/5 22:38
ひとり まつり短歌309/3/2 13:39
降り来る言葉 XL[group]自由詩109/3/1 1:32
羅睺夜自由詩409/2/22 0:14
夜辺自由詩309/2/17 20:41
夜盗夜自由詩509/2/12 17:14
夜応録 Ⅱ自由詩309/2/10 17:38
夜応録自由詩209/2/4 23:38
夜と道自由詩209/1/31 23:37
夜とかけら自由詩109/1/29 21:27
ノート(45Y.1・29)[group]自由詩209/1/29 21:25
ノート(45Y.1・25)[group]自由詩109/1/28 16:54
ノート(45Y.1・24)[group]自由詩109/1/28 16:53
ノート(45Y.1・22)[group]自由詩209/1/28 16:53
夜とまなざし自由詩209/1/26 17:45
冬歩川柳409/1/26 17:41
夜の山自由詩309/1/24 17:42
ノート(熱と朝)[group]自由詩209/1/19 20:19
熱と背自由詩209/1/19 19:17
ノート(闇)[group]自由詩209/1/15 23:23
鉄と骨短歌209/1/15 23:14
往路自由詩309/1/15 19:27
光と名前(号令)自由詩409/1/10 23:00

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