空のとまり木に腰かけて
悪魔が釣りをしている

こんな泥の中から蓮の花が咲くなんて
マジ信じられんわ

と呟いて
黒く濡れた尻尾を伸ばして垂らす

そうして蓮の根を食べて ....
月明かりに仄かに紫陽花の花びらが浮かび上がる。
ゆめこはそっと鼻を近づけてくんくん犬みたいに嗅ぐ。
「あじさいは毒があるんだぜ」
私がそう言うと花をひとつ捥いで、いたずらに口 ....
ひさしぶりにバスに乗ってどこかに行こうかと
バス停のベンチに座ってぼんやり空を眺めていたら
ゴロゴロ雷が鳴りだしてどんより重たそうな雲が湧いてきた

ぽつぽつと額にあめがあたりはじめる  ....
毎晩なかなか寝つけないオレは
こっそり夜中に起きて
傍らで寝息をたてている
オマエの白い背中に口づける
そうしてチャックをあけたなら
幾重にも重なったページをめくるように
そっ ....
オレの胸の奥底に深海魚が眠っている
時折目を覚まし尾ひれを影のように揺らす
鬼灯を口に含んだように頬をふくらませて

きゅっきゅっ 
と小さく鳴く

月を見る猫の目のような
 ....
月夜に犬を連れて散歩に出た。
境川という神奈川と東京都の県境に
流れる川の畔を歩く。
橋のたもとまで来ると何やら小さな生き物が
何匹も橋の隅をぞろぞろ動いている。
アメリカザリガニだ。
 ....
さしみこんにゃく
さしみこんにゃく
さしみこんにゃく



と3回唱えると

アラ不思議


すこし笑ってしまう
足の向くまま川辺を歩く
チィリリリーと鳴きながら
いそしぎがひっそりと降り立った

すこしだけ日が射すような
くもりぞらが
おまえには似合うね

生え換わる赤子のような羽毛 ....
ねぇ

呼びかける

なんでもいいから
誰でも
花でも
木でも
鳥でも
空でも
雲でも
遠くても



ねぇ



呼びかける

声が ....
『貴方の背に咲く空を見る
 目が痛いほどそれは青くて
 目を瞑ったら雨が降る
 塩辛くなどあるわけないでしょ
 雨粒はとても甘いの
 貴方に分けてあげたいの』

おまえは甘い ....
白い時間のうつわ
網膜のひだまり
ベンチでうつらうつらしている間に
思い出が回遊してくる

おはよう
さよなら

おはよう
さよなら

巻き戻される行き先  ....
今日は水族園の定休日
清掃はぼくの仕事だ
すっかり水の抜けた巨大水槽の中
頭上に燃える太陽
遠くジェット機が白い尾をひいて空を行く
濡れたコンクリの地面に空から落ちた星のように
 ....
アスファルトの熱
耳をつけてキミの温度を聴く

不安で仕方なくって
キミの確かさが欲しくって
塗り固めてしまった弱い僕たちだけど

ねぇ
あすふぁると
あすふぁる ....
葉脈のない手で
壊れそうな
きみを複製して
アロエ

愛がひざまずいて
ここに痣ができたの

ぎざぎざの記憶の痕
なぞるふたつの指
触れる粘液の
とろりと滴る
 ....
「ここになにかがありまする」
そう言って彼女は化石発掘用のトンカチで
私の胸をとんとんと叩く
いつもの陽だまりの午後
「なにもありませぬ」
「いやいや、なにかあるであろう」


 ....
凍ったような蒼い空の下
あの子は霜降る土地で落ち葉拾いをしている
空と大地の狭間に風が舞い
所在を失った言葉たちが
透き通った身体で浮遊する
指の先で感情と涙の分量を測り
葉脈に記し ....
小さな啄木鳥が
枝のむこうに
隠れて鳴いている
霜に白く
苔に覆われた墓石の上に
戯れる小栗鼠

韜晦する記憶のメレンゲ
青い雫

仄かに紅く冷たく
かじかんだ ....
いつもこの電車を
乗り過ごして
海に来てしまう
もう誰もいない
スコップで掬って
持ち帰れるような
銀色の風景

はだしになって
ひとしきり砂を蹴り
波を相手に追いかけっこをして
 ....
あなたのひとみから
こぼれ落ちた悲しみが
約束された事象の
織り込まれた糸を伝い
ぼくを貫く

海底のような
揺らぎのなかで
ふたりの合わさった痛みは
祝杯をあげるように
胸の水盤 ....
君のまつげが
ふいに
揺れて

まるで手のひらに
雨粒をうけるように
かなしみを
見上げている

そうして
たった今降りだしたかのような顔をして
胸の中に一気になだれ込んで

 ....
この広い野原いっぱいきむちちげ
さみしいよるにはさむげたん

嗚呼 熱が出ると
こころが優しくなるね
不思議だね

空気を抱き寄せてはあはあはあはあ
うどんがアタマの中でぐるぐる
ス ....
あなたのなかをふるあめが
あなたのまつげをゆらして
あなたのなかをふるゆきが
くちびるをふるわせるとき
ぼくはあなたのてにふれて

ちいさくなみうつおと
ちいさくはじけるおと

あま ....
胸に潜む
沈黙の種子よ

忘れえぬ時の傷みを孕み
切り立った断崖に木霊する
エクリチュールの犇き
伝えられなかった想い
その亡骸

堆積した土塊でできた
テラコッタ ....
荒涼とした原野に
流転の種は解き放たれ
十五夜の月が
黄金色の蜜を
大地に垂らし
豊潤の実りを
見つめている

舞う種は地に根付き
芽は硬い殻を破り
一息呼吸する ....
ここではまるで反転したかのように
辺りは真っ暗で影だけが白い
「言葉」という絵の具を
ぼくたちの真白い影に落として遊ぶ

「あい」は心臓になり
「くう」は胃になり
「ほしい」は ....
大きなクリの木を
蹴り上げて
うずくまり

道端のまだ青い
イガイガを触って
小首をかしげて
泣いた

上手に想い出を折り畳めなくて
冷たく湿った土の上に
焦げついた記憶 ....
揺れるものが
すきだ

ぶらんこ
はっぱ
おっぱい
おしり
ぷりん
せんたくもの
くもの糸
みずたまりの青空
海のそこからみたひかり

なみだとほほえみ ....
あいが死ぬ

また

そこで

あそこで

小さな息はいて

誰にも見えないから

簡単に

あいが

しぬ


息を吸って
大声で泣いて
 ....
ココハドコダ

雨が降っている
気持ちいいぞ
もっと降ればいいと
空を見上げて

太陽はあまりにまぶしくて
手をかざすと色が失せ
黒い輪郭に透けた悲しみが揺れる
だから ....
清涼なる川面に素足を浸し
そろりそろりと踏みゆき
冷やかな感触を足裏に楽しむ
風の音や遠く聞こゆる鳥の囀りは
せせらぎに紛れ
やがて胎内に居るかのような
懐かしい静寂の音に包ま ....
shu(55)
タイトル カテゴリ Point 日付
悪魔と釣り自由詩409/8/27 1:36
紫陽花散文(批評 ...309/7/10 17:44
Right as rain -夢の数ほどあめが降る-自由詩209/7/9 15:52
⊇ω`⊂ω自由詩309/7/8 0:27
深海魚自由詩509/6/24 1:13
月夜の散歩自由詩809/6/17 16:03
蒲団の中で考えたこと自由詩509/6/16 20:36
いそしぎ自由詩809/6/12 20:25
ねぇ自由詩309/6/12 1:54
rain自由詩209/6/10 22:37
路線バス自由詩809/3/11 1:48
清掃日和自由詩708/12/25 23:37
アスファルト自由詩308/12/8 16:50
アロエ自由詩408/10/25 3:01
さくら自由詩908/4/16 23:34
たんぽぽ自由詩508/3/3 23:17
ふゆのレモン自由詩1207/12/15 18:47
冬の海自由詩407/11/28 3:11
落日自由詩607/11/5 11:25
雨の風景 Ⅰ自由詩707/10/22 20:09
風邪自由詩207/10/17 1:48
抱擁自由詩907/10/13 1:01
沈黙の種子自由詩507/9/29 22:24
生きる自由詩207/9/29 0:10
お絵かき自由詩307/9/27 21:27
夏の白日自由詩3+07/9/27 0:04
ゆれる自由詩1307/8/10 2:56
さよなら自由詩1007/7/24 2:09
濁流自由詩507/7/23 18:11
水観自由詩607/7/21 18:33

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