rain
shu

『貴方の背に咲く空を見る
 目が痛いほどそれは青くて
 目を瞑ったら雨が降る
 塩辛くなどあるわけないでしょ
 雨粒はとても甘いの
 貴方に分けてあげたいの』

おまえは甘いというけれど
おれにはとてもにがすぎる
苦すぎる?荷が過ぎる?
いやいや甘くも辛くもないんだ
その睫毛にたまった雨粒に
名前をつけるのはやめようや

『愛してる』とか
『悲しい』とか
『嬉しい』とか
『孤独だ』とか

そんな理由が必要で?
いろんな証明が必要で?

そんなもの夜のうちに
ベランダに干しときゃ
蒸発しちまうよ

おれはそう言って
おまえの唇にゆびをねじこんで
黙らせる
黙らせる

荒々しい息が交じり合って
悲しみなんて沁み込まないように
ケモノの息に紛れ込む
何も見えなくなるくらい




いっぱいの雨音







自由詩 rain Copyright shu 2009-06-10 22:37:30
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