人の海の海面に詩の島が突き出ている。ところで、海はぜんぶで何立方メートル?こんな風に想像してみよう。深海魚が暮らす地下のアパート。テラスで昼寝をする赤鱏。ホオジロザメとダイオウイカは中央廻廊ですれ違う ....
通り掛かったら何となく図書館に寄ってしまった。昼過ぎから曇りだしていた。空は近場の山に近付くにつれどんどんオソロシイ藍色に黒ずむのがわかった。薄桃色のコスモスが幼稚園の庭で生温い風に泳いでいた。ち ....
{引用=この先もこれまでもみな猫の{ルビ洞毛=ひげ}※}
望むでも{ルビ希=ねが}うでもなく雲の蝉
尻取りをしたい宇宙の尻尾まで
雲ひとつぽっちゃり浮かんで{ルビ嗤=わら}わ ....
残暑にしては
あまりにも酷暑の
八月二十八日午前
________
見学会では男の目を見れなかった
女とばかり話して女の見せかけのやわさに縋った
PILOTの油性ボールペンを3回落 ....
ミシンを買ってやりたい
でも金がない
2、3万さえ出せないんだ
それが
ぼくだよ
昼、同じ女の人の前で
ペンを3回落とした
それも
ぼくだよ
いま欠伸してる
それも
ま
....
心 パッと パ ッと
ドアを開けたらひまわり畑がパッと
ひ
ろ ....
すごく悪いことをしている気がしてならない。一日中ずっと抽象的な考え事をしていた。もうだいぶ以前から気付いているが、自分は抽象的な考えに集中すると罪悪感を感じてしまう。具体的な何かや事務的な何かに集 ....
ぼくは自分のもつ暴力に
気付かないふりをする
ぼくの良心はか細いので
気付かないふりをしても
折れない
折れてしまう人のことは本当はしらない
残酷が
ぼくの初期条件だ
それを罪と呼ぶほ ....
世界はやさしい
世界はぼくが
{引用=ウィトゲンシュタイン}でなくとも
無関心でいてくれる
夜毎
カタバミの実を
弾けさせては
北極星を
指でつまみ
あますところなく犇めきさせては
....
赤ん坊は冷感シーツが敷かれた座布団で寝ていた ....
昨日の大雨で生き返った緑
庭の一輪車にはたっぷり雨水が溜まっている
そこには逆さまにブナの梢が映っている
青空は青く
雲はわずかに漂い
オオキンケイギクの花は黄色い
....
あーだこーだ言ったって月の最後に10何万かの
金が通帳に落ちてくると来ないでは違う
朝起きてする髭剃りの感触も
朝食で食べるたくあんの味も
どこかでなってる耕運機の音も
....
なんでトマトは天気がいいと甘いのだろう。先月までの長雨の時は実ばかりが立派で味はすっぱかった。晴天がしばらく続くと決まって甘くなる。でも、その代わりに皮が硬くなって食べすぎるとお腹をこわす。ハウス栽培 ....
白い地味な花
一斉に咲くときれい
強烈な匂いにむせ返る
そのわりに虫がつく
生薬として古来重宝されている、らしい
我が家の庭にあります
というか、よく出入りする物置の入口に群生していま ....
『ぼくが電話をかけている場所』というレイモンド・カーヴァーの小説を久しぶりに読んだ。ありきたりな言い方だけど、とても感動した。アルコール中毒療養所に集まった人たちの話で、そこにはこれといった善人も悪人 ....
オシッコをしたら
ピンク色の
かなしみが出た
病院へ持って行ったら
おめでとうございます
と言われた
名前はもうお決まりですか
しばらくは安静です
そう言って先生は笑った
看護師さ ....
少しでも
落ち着いて いこうと
山並みを
ながめていた
鉄塔 があった
足元の
金魚草が ゆれた
風が
吹いた
スナネコの赤ちゃんが 産まれた
テレビが言った
土曜 ....
{引用=あかあかやあかあかあかやあかあかや あかあかあか
やあかあかや月
....
ぶっ壊れたのが
ほうられて
くさりながらも
笑ってる
わるいこころが
湧きだして
よごれくすんで
何もかも
消えたくなって
でも
きえず
んなこといや
おこられる
い ....
風鈴の音が朝から鳴っていて、それがすごく五月蝿く感じられる。だいぶ焦っているようだ。
自分の人生を台無しにしてしまうことを今までたくさんしてきた。いい大人なのに嫁や母親に頼んで会社に ....
秋の夜が長いというからどれどれと測ってみれば測るトコない
夕焼けを百枚撮って朝焼けも百枚撮れば焼けの勇者よ
「つまんない」大人になって言ったって別にいいじゃん人間だもの
時計とはすな ....
{引用=☆盆暗は凡句らららと詠めばよし}
欠伸した猫からぴょんと秋の空
初秋の胡坐に灯る夜光虫
涙より鼻ちょうちんの秋の雲
....
夜明けとともに
星座から手紙が漂着する
卍が印された切手を剥がして
ガスコンロの火でそれを焼く
それから二度寝をしたら
ウラン鉱脈の至る所から水滴を集めてきた子供が雪原で蹲り耳を塞ぎながらア ....
星の刻
ぼくは砂漠のトカゲで
歩き疲れたラクダは銀河を見ていた
水溜まりにはジュラ紀の鬱蒼が
ネアンデルタール人の女の子とも恋をして
{引用=弄ぶ時流のうねり
倦むことなき鍾 ....
自分の歩んできた人生なんてゴミみたいなものの寄せ集めだなんて思っていても、記憶の海の底に懐中電灯をかざしてみればそうとも言い切れない事に気付かされることがある。
近所にT ....
{引用=善光寺の庭を散策した折に浮かんだ句}
救われず{ルビ兜虫=かぶとむし}獲る午前二時
「害虫を捕獲してます」さよかいな
つんのめる先に大蟻おっとっと
....
胃散のむ 考えすぎの 油蝉
滑稽な おとことなって 蝉のこえ
蝉時雨 ひたいは汗の 遊水池
たくさん詩を書いて
たくさん詩を消した
推敲などろくにせず
縋るように投稿した
作品と呼べるものなどなく
とても人様にお届けできるものではなかった
それでも悪くないねと誰かが言ってくれると ....
{引用=コオロギ
ぼくという
幼子がいなくなっても
コオロギたち
しばらくは まだ
地球に
いるのですか
音たち
しずかと思われても
時計 ....
足の裏がほてる
太股のやんわりしたあたり
それを ぴたりとくっつけてみる
気持ちがいい
熱が からだのなかで
つたわるように
青空を
うつってゆく
キッチンから ....
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