野のはな風に
ゆれている
空は空ではぎましょう
消しゴムみたいな風に
ゆれている
うすでの雲となりましょう
森の痛む肋膜は
記憶とともにアンモナイトだ
春をこじらせ
また
すみれ草を踏む
台所で支度をしていたら
アルファベットたちが
まな板の端っこを
ふらふらと歩いてきた
みんな
疲れきっているように見える
あ
誰かが落っこちた
また
落ちた
あ
あ
次から次へ ....
することがないので
なにかをした
なにかをしたら
なにか変わるとおもったけど
なにも
変わらなかった
だから
することがないのを
そのままにした
そのままにしたら
なにか起きる ....
{引用=じっと殻に背を丸め
春を待つ{ルビ蛹=さなぎ}のように森は
いまだ
あわい{ルビ揺曳=ようえい}の入江
冬木立のはざま
小橋のそでに
ゆたかな寝がえりをうつ
にがい{ルビ蕗= ....
「大地」
大地がぼくを落とさないでおくのは
それはやはり
大地がやさしいからだ
そうかんがえないと
「今」にいられない
「ゆきがふる」
あの子
ゆきにさわりたいから
....
本を閉じれば
そこからはじまる物語があるのを知っておいでか
カリグラフィの妖精たちが インクの森を抜け 随想のせせらぎを渡る物語を
ハキリアリの行列のような{ルビ亜拉毘亜=アラ ....
「象の墓場」
大地が肉あるものを{ルビ篩=ふるい}にかけてしまわないのは、それはやはり大地の優しさからではない。惑星の{ルビ核部=コア}に必ず一個はある象の墓場のお蔭なのである。琥珀に浮かぶを殊 ....
役立たずの大根の種、それを見極める方法を知っておられるだろうか。
それは、水に浸してみることだ。
しばらくするとプカプカと浮いてくるやつがある。それが、たぶん高確率で芽の出ない種だ。中身がスカスカ ....
波間に
かき置きして
いつもの行動範囲から
少しはみだしたところを
回遊して来たら
ぼくんちでは
ぼくの
葬式を出していた
しょうがないから
ぼくは
ぼくんちのまわりを
グル ....
まるで上のが落ちて来そう、
星も一緒にです。
それを{ルビ享=う}けるのは、
{ルビ蟋蟀=こおろぎ}のしょっかくに触れる惑星大のくさ。
いちめんの{ルビ叢=くさむら}は、
イカ釣り漁船の ....
なけて
なけて
しかたなくて
ほころびそのものみたくなり
くしゃっとし
いつとなく
ただのひともり
白な花
どうにもならない気もして
どうにかはなるのに
春のどか
書くか書かないか
それだけだ
我々に出来ることは待つこと以外にあるだろうか。
我々に出来ることは歩くこと以外にあるだろうか。
我々に出来ることは生きること以外にあるだろうか。
※
読む事の中に立ち込める不安の霧に透 ....
知能テストをした
浜辺を歩く二人の女の子の片方には足跡が無い
馬はどこを見てもまとも
犬の散歩をしているご婦人の影が太陽に背いている
蛙と牛に共通するのは?
「ウシガエル」
冬眠と ....
かつて健康だった時、責任も余り無かった時、自分の中のどろどろした感情を殆ど感じずに済んでいられた時、ぼくはよくピクニックへ出掛けたものだ。天気が良く、気持ちのいい風が踵を掠めるような土曜の朝などはとく ....
{引用=位相}
90°進むと生まれいずる者の虹
90°遅れると死に去る者のハリケーン
{引用=ガイア理論}
アンコールワットのほとりで佇む老爺
{引用=土間の麒麟}
....
手のひらの丘を
橇に乗ったヒグマが滑って行く
なんとなく
ユング派にかかりたいと思う
未来の博物館では
ヒトの剥製が祀られるだろう
良い詩をたくさん知っている
ぼくは不眠症だ ....
それでも人生だった。
それでも、人生なのだった。
熱帯園のある都市の蔭に隠れるように
その涼し気な夜気に仄かに立ち
パンダの赤ちゃんを返せ、
と
つぶやいてみる。
あなたが皐月に通えてたら、わたしたちきっと友だちでいられた。あのAの置き手紙、なに今更?気付いたふりして、今そうやって笑ってみせて。
これは夢、そう夢の会食で、わたしたちは久しぶりに偶然居合わせ ....
春だ
かなり些細なことで
怒りを抑えられない自分が
凄く心配で
時々箍が外れる
春だ
少しでも複雑な計算が
きわめて苦手
黙っているから
誰も知らないけれど
春だ
月に一 ....
水族館へいきたかった。動物園へいきたかった。映画館へいきたかった。プラネタリウムへいきたかった。遊園地へいきたかった。じつはぼく自身、それ程好きじゃなかったのだけど、一緒に行った人が「わぁー」って喜ん ....
ほうぼうでじっとしてきた気もする。
そうでなかったのと同じぐらいに。
ここが惑星だとおもえば軽減する筈の、ディスレクシアがある。
けれども全土なのだし、惑星は観念、全土という語感の支 ....
谷川さんが引用した八木重吉を引用するようなこと
それは
それとは
床六尺にちらした
不具の幼体
と
いちるの穹だ
いきいそいで来たきもして
ここはちかげつ、いやもう九かげつか
もうはるなのね
はるでしょぅ
いつもいつもおわる気のするのは
なぜだろぉ
桜ひらひらまう迄は
ながらえつつも
はだえの{ル ....
詩のありがたいのは、何でも、色々と思いのままに書ける所です。
一枚の白紙さえあれば、好きなことを好きな具合に書けますし、誰に遠慮することも無いのです。
すごく、その事が、単純に宝物のように感じ ....
{引用=春は
ねぼけた白さぎの壁
意識のとり零し
たおやめの
すっくと仄闇立つすがた
{ルビ一夜=ひとよ}に二、三
酵母の乱れ
夜霧へおとなう
{ルビ紋付=もんつき}の{ルビ靈=れい} ....
遅れて来た陽射しが
指輪を押しのけ生える指毛を浮彫りにする
その時
かれのこよなく愛するミディアムトマトは
その緑な蔕のお地蔵さんである
キッチンと呼称される島嶼には
ウミユリの夢や仄 ....
「雨」
夜の雨の音がする
夜の雨の音の匂いがする
いや
夜の雨の音の匂いの音がする
ちがう
夜の音がする
うん
そういうことだ
「朝」
朝
朝のくらさがある
ま ....
本当にやさしいのが
本当に哀しいのでないなんて
やっぱり
思われないのだから
{ルビ花韮=はなにら}のお花は
あんなにも小さな
宝石の
{ルビ儘=まま}なんで ....
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