ひさしぶりに古本屋にいき
古本をみてまわった
買う金がないのでおやじと話をした
ひさしぶりに人と話す
しかも本のことがわかる人と話すのは
何年ぶりだろう
数年前の岩波文庫の充実ぶりを褒め
....
{引用=あるものがそのものの底をいっかい弾き、とびあがりじぶんや何者かのもとへ訪ねてくることをかんがえていましたが、それはちがったかんがえでした。だってあらゆるのものが、いったんそのものの底を弾いた歌 ....
{引用=失語です
たんぽぽ珈琲みたいな時間です
シロツメクサと{ルビ勾玉=まがたま}です
万雷の拍手とおく
幕開けしないオペラのひとくさりなのですから
枝振りのかたい{ルビ椚=くぬぎ}は ....
鬼は内しばし歓談{ルビ節分会=せつぶんえ}
福は外外とは誰ぞの家かもと
月兎{ルビ杵=きね}に仰け反る良夜かな
{ルビ聚=あつ}めたる月光きざす魚市場
春一番吹いて耳朶やはらか ....
空という海になれない碧の果て空どこまでも海に骨ぬき
一握の土に賑わうたましいをそっと戻して春風うらら
まあいいさどうでもいいさべつにもうとうていこんなひらがなばかりじゃ
霜とりの篦に ....
十
十の詩を書いたそして消した
これが十一番めだだけど
十のよりずっとわるいかも
もうここにはなんにもなくってあるのは
指に凭れる少しの重力と諦めだ
あんまりじぶんとばかり遊びすぎて何度自 ....
『エデン〈小噺〉』~認識主義的宇宙の蛇~
じつは宇宙の広さは認識により変化してきた、これはちょっとした秘密。
太初。アダムとイブ、この二人が歩き回れる範囲が宇宙の全てだった。 ....
「風理」
退屈そうに
地球儀をまわしていた
かみさまが
ふとした拍子に
ついたためいき
あたし
地図は読めないんだけど
風図は読めるの
ぼく
地理は苦手だけど
風理は ....
雨のおとがした
雨がようやくふっている
この服を脱ぎたい
そうしたら
気のいい単語と
すこしの助詞や助動詞たちを連れ
ピクニックにいくんだ
パラソルの下で
サンドイッチを食べる
貝殻を覗いて
蟹を見つけたり
珊瑚や不思 ....
よいものがよいというのはすてきなスギ木立だね
そうそうフィトンチッドというのでしょう
なつかしくそれは善意のまるで濁点だから
それがそうあることは
いよいよ意味の肌気を脱ぎ始めるというもの
....
空から釘が降って来ます
かなしい月夜の破片のように
眼のない森に歯形を付けて
ひとり眠りにつくとしよう
自分の書いたものが
自分が死んだ後もぜんぶ無意味なら
もう書かないでおこう
そして私は死ぬだろう
私はやんでいる
私は休みたい
私はもうたぶん書かない
私は死んで
生まれ変わりたい
....
貧しいすきとおるようなものが欲しくてさがしまわり、けっきょく無くって、すごすごと帰ってきてみた。そしたら、ぼくのふるさとの図書館(とても腹ぺこなちっちゃな図書館) に、みつけた。
その、薄くてか ....
ああつらいと叫ぶ。そうすると、どうした!と駆けつける。一回や二回なら駆けつける。それがずうっとつづくとする。その場合、駆けつけないこともある。叫んだ人間はその事で相手をなじるかも知れない。そしてなじら ....
たとえば
詩人は
行間に暮らすマルクス・アウレリウスだ
鷲の目で彼は
位置補正に躍起となるが
彼の魂は複雑過ぎて
民衆には手におえない
罵言と祝詞の人
それが彼
理性は上辺に過ぎない ....
月のない晩に涙の人拾う
透明の仔猫拾って新聞紙
あくびして痛む顎もつ焼き魚
満月を放って収まる腹の虫
引き潮のレコード盤と海なし県
今日というお地蔵さ ....
打ち震え他山の石となりてあり{ルビ銀漢=ぎんかん}闇に渦巻くさなかに
撃ち砕く{ルビ蒼空=そら}の独房ふるさとの{ルビ浅葱色=あさぎいろ}なる{ルビ苫屋=とまや}にありて
この詩をば貶むま ....
皆が出来る事が自分だけできない
頭が悪いから役所の書類も理解できない
もうどうしていいか分からない
君はそう言って一時間泣き通した
ぼくはその間じっと耐えていたけど
これだけは言った
幸せ ....
鳥はなんでとぶか
この謎をしるものはいない
人がなんでとべないか
これも誰もしらない
仮説を枕にみる夢は
打ち続く杭となり
惑星の地平線を覆い尽くす
繋ぎ止める物語が無ければ
....
信濃毎日新聞という故郷の新聞に、むかし、俳句を投稿していた時期がありました。何度も投稿したものの全部没で、一度も俳句欄に載ることはありませんでした。一度でも自分の書いた俳句が新聞に載っていたら、ど ....
「無限への疾走」
俺は疾る どこまでもゆくつもりで どこへでも出没するつもりで
褶曲する大陸の謎めいたダンス! 沈み込んでは浮き上がる海嶺の飽くなき屈伸 粘菌たちの超越 シ ....
{引用=「プロローグ」
これからここに記すそれぞれに違ったかたち(そして切れ切れの)でのエピソードは、俺が或る月のない晩、夜気に頬を冷まそうと戸外に出た折に、まったく偶発的に何処か ....
すごく素敵なリアクションの持ち主
フライドチキンは譲りたいからいつも三本買った
どこにも行けない場所なんて無い
それを確かめる為だけに深夜の国道をぶっ飛ばしたね
んでプレヴェールが少し ....
うつとは端的にいうと
左手を一晩中冷たい床に投げ出していても何ともないことです
何ともなくはないのですが
それでもそれはやはり何ともないことです
そこがおかしなところです
そこがかなしいとこ ....
{引用=目に見えぬ
そてつの花粉
やるせなく
潮の先触れ
丘下り
ああ風は
吹いたり止んだりの
まるで
ゆえなきビブラート
掬ったみそらで
すすぐ顔
静まりかえって
も ....
「石か水たまりか」
放物線を描いて水たまりに落ちる小石が起こす波紋が言葉だとしたら、その言葉は石の言葉か、それとも水たまりの言葉か。
「謎」
数年前知らない街で車を運転していて道 ....
「とりさんあのね」
とりさんあのね
ひみつだよ
あたし ひこうききらい
とりさんが すき
「ママだいすき」
ママだいすき
だか ....
すりぬけて飛び込んで来る
子どもたち
なあぼくは
少しふらふら
地平の奥の方
とどろく懐かしい雷のにおい
吹いてもかぜに
転がれない石もある
何かを見失っていたのではな ....
さて、SF好きと公言しているわりにはそう多読でない事を告白せねばらない。だが、こと「あとがき」にかんしては手元にあるSF小説のほぼ全てに目を通していると断言できる。それから、裏表紙のあらすじもだ。別 ....
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