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おっこちた
うちゅうのてがみ
昨日の夜は
ずいぶんと
きれいな
星空
それよりも
もっと
ずっと前
おかあさん
うちゅうろけっとで
ぼくは行った
おっこちた
うち ....
使い古した深夜帯から
紫色の空気が、香る
気付かれないようそっと
あたしは息をする
古くなった声は
黄色く傷んで
吐き捨てられていく
あの日の家はどこなの
あの日の声はどこ ....
ホームセンターで
子象を買って帰る
前から欲しかったので
お金をコツコツと貯めていたのだ
家族の喜ぶ顔が見られるとも思ったが
案の定こんなもの買ってきて
と妻に叱られる
「詩とは違うんだ ....
いつもと変わらない椅子席で眺める
連なる街路樹
葉の不規則な動線
石畳の歩道
日の当たりは白く
珈琲の香りで縁どられた窓枠の中に
挑むような口
軽やかな髪で
無造作に過ぎる横顔
....
?.
神経質そうに痩せた手を合わせて祈っている
ひざまずいて
教会の中 ステンドグラスを割ってこぼれる夕日に溶けそうな
白金の髪
俺はその斜め後ろに座って
じっと ....
あたしは射精が好き。
射精は、どこか現実味を帯びていなく、
傍観できる、
あの白い液体は、
現実と妄想の産物。
人間として、感覚的に現実味が帯びる時は、
ティッシュの山、味だったりす ....
息をひそめてじっと待つ
秘密の on line
待たされる時の流れが
狂おしく
逢える瞬間のときめきが
もどかしく
震える手で そっと あなたの心に
触れてみ ....
立ち止まらずに振り返って
転んでしまったような朝
あなたに見せたかった景色は 今どこに在るかな?
キスマークも青たんも
同じ内出血だ
血は出なくても
胸が 痛む
....
安吾がありったけのはっか煙草を持って私の部屋の押入れに住み着いた
部屋がヤニ臭いのは元からだからまぁいいとして
夜中に私のビールをくすねるのはやめてほしい
安吾、安吾
なん ....
彼女が好きなそのカフェにはいつも
雨が降っていた
店内はびしょびしょで
暑くて
植物が生い茂り
肉厚な緑の葉の上で
色とりどりのカエルが跳ねた
極彩色の鳥達が
テーブルの下で睦 ....
おとといの
夕暮れかけた空
君は
夏の底に
沈殿していったきり
西の夕焼けが
音をたてて色あせていく
手のひらの温度を確かめたくて
軽く握ってみても
汗ばんだ夏の終わり
いつだって ....
みどりいろのタネから
ぼくはうまれた
うまれたときから
ぼくにはポケットがあって
そこにはぜんぶが
つまっていたけれど
たいようにこがされたり
あめにしみこまれたり
ほしに ....
エスカレータで夢を見る
ふわふわの風船、逃げられて
いまにも泣きだしそうなおんなの子
ジャンプして捕まえた糸に端の輪をつくり
ひとさし指を通してごらん
これで赤色どこへも行かなくて
....
晴れた日の夕暮れ
その詩人は必ず川原に現れた
夕陽を眺めては
気持ちを溶かし込みながら
一つの詩を生んでいった
ある時は静かに悲しく
ある時は力強い魂を
言葉を使いながら描いていった
....
昨日は職場のおばさんの
くどい{ルビ小言=こごと}に嫌気がさして
かけがえのない他の人さえ
土俵の外へうっちゃり
しかめっ面でひとり相撲をしていた
昨晩見た夢のなかで
旧友 ....
営業はしているけれど
従業員のいない旅館の大広間で
卵かけご飯を食べていた
お箸と茶わんがかちゃかちゃ鳴っていた
とおい処にちかみちがあって
ちかみちはみちなりを少し折り曲げている
み ....
今よりもっと
空が高くて
今よりもっと
砂の中に潜む星を
見つけるのが上手だった頃
四歳の幼さで
舌足らずな
Ich liebe dich.
ドイツ原産の弟と話す為に
ひとつ ....
いつも 君の欠点を探してみるんだけど
まったく見つからない
あぁ これが 恋なんだろうなぁ
ぼくの前にぼくが歩いている
ぼくの前のぼくはぼくに気がつかない
ひたすら前を向いて歩いている
声をかけようかと迷ったけれど
なぜか怖くなって
そのまま後ろを歩いた
ぼくの前のぼくは転がって ....
3月10日に歌った「巣立ちの歌」
たくさんの泣き声の中、わたしは泣かずに最後まで歌った
以来、あの歌がきこえると、涙ぐむわたしがいる
すきな人を見た、最後の日 ....
北の国を目指し飛び続ける本州鹿の群れ
先頭近くを飛ぶ小林と岡田が先程からしきりに話をしている
小林が言う
今飛んでいる方向は
西に0.000000000000000203度ずれ ....
山の中の坂道に出来た町のなかで一人だった
夜
五年も前
五年も経ってない夜
秋
マスターがアブラムシと言い張る茶羽ゴキブリだらけの木造りの飲み屋
別名だとはわかるけ ....
{引用=
かれこれ十五年くらい、俺は土を掘るだけの仕事をしている。
はっきり言ってしまえば、何も楽しいことはないし、あるのは日々蓄積する肉体の疲労感だけだ。憂さ晴らしのためにある給 ....
朝の窓へ起き上がればいつも
眠りと夢の、仄明るいマーブルが
窓形の光に飲み込まれて、消える
その途端、光の中を雨のように下降する黒髪と
閉じたまま濡れてゆく傘の内側のように黙った胸 ....
魚は
夜に鳴く
なくした
ラッパを思って
+
砂糖瓶を
よく洗って石段に
並べていくと橋を渡る
来客があった
+
探し物の
予定のない日
菜の花畑で一人
ラジ ....
白髪を掻いて
新聞を読んでいる
あなたは
岩だ
猫を
下手くそに撫でる
次郎丸は
僕が名づけた
うちで生まれた猫たち 三匹
母親にとって
あんなに大切だった ....
こぼれる陽の光に
ぼくらは、似てみたかった
つたい落ちる月の光に
ぼくらは、似てみたかった
つないだ手が、ぎこちないのは
歩いてきたからなんだよ。
あの頃より無器用な ....
・
好きと嫌いが
ギアの上で揺れていました
わたしはちょっと迷いましたが
結局どちらとも決められないまま
右手で好きも嫌いも
すっかり覆い隠して
細心の注意を払い
....
花を
花を摘みます
何度経ても
懐かしいと思う
春先
まだ小雪がちらつく
今
柔らかい
萌黄をすり潰した指先を
ほんの少しだけ
口に入れ
ほろ苦い
顔を
思い出しまし ....
扇形は三角形の仲間に入れてもらえなかった
たった一つの辺が曲がっているだけ
ただそれだけの理由だった
辺が曲がっているのは全てが堅くて
融通の利かないものになるよりも
どこか一つがやわらかい ....
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