壊れたものを修理にだしたけれど
どこの店に行っても直すことができなかった
別れ際のあの不意な涙は
今も僕の掌に落ちて染み付いている
必ずハッピーエンドになるとは限らない
....
気球が一つ空に浮かんで
青と緑と茶色のまだら
金魚鉢に浮かぶ藻と餌の粒みたいに
風に流れていた
赤い雨が降ってきた
金魚が空から降るような空模様だった
気球は塗り上げられ、今にも破裂 ....
努力をすればかなうと思わなかったけれど
あなたには私がついてるって
言ったあなたがあまりにも
疎ましかったから努力しました
がんばることで もう
あなたについていてもらわなくていいように ....
ペンネームとか筆名とか、自分の詩に自信があるならばそれで良いし、名前で詩の価値が変わるわけでもない、と思うのだけれど実際は自信もないし、詩の印象が変わる気がして、やっぱり筆名を使うことにした。匿名性 ....
闇とともに冷え込む山林の
葉はかじかんで赤く染まる
熱を絞りだすように色づいて
焼け焦げたように枯れていく
臍の緒のように乾いた赤ん坊の手の平が
茎の上を這う苔の上に散らばっている
....
もっと話を聞かせてくれませんか
そうしたら、
あたしは、言葉のあいまに置かれた
なだらかな読点【、】に背をもたせ、
気まぐれに口をつぐむあなたの 数知れぬ句点【。】の
小さなその ....
積み上げたものを崩すのは容易く
失ってしまえば戻らないものばかり
作り物みたいな寝相が少し 怖くて
呼吸を口で確かめた あなたは今、確かに生きてる
月明かりだけがこの世界の光 ....
あの文字に似ているから
今夜こそ捕まえようと思うんだ
月という船の不安定さをどこまで僕ら
楽しんでいられる?
なじみの香辛料が
食欲をくすぐる街角
窓の光が映る道
孤独という冒険 ....
愛しいと夜にこだまする
部屋のなかで
ふたりだけ肉を狂わせる
孤独のふりを
凍りのふりを
いじめられたい場所に気づいて
興じてひらいた聖書には
避妊の抜け殻が ....
北風が肌をかすめて冷たさを置いていく
そんな季節になりました
お元気ですか
わたしは少し厚手のコートをはおるようになりました
相変わらずのブラウス姿にカーディガンを重ね
冷える手先にはカ ....
最近朝早く目が覚めてしまう?なぜ??
僕が朝早く目が覚めるのは
顔を洗い歯を磨き、朝飯をたらふく食べるためです。
僕が朝早く目が覚めるのは
黒猫のトイレの砂を換え、黒猫に食事 ....
待ち人でありたいと廊下に立ち
ほとぼりが冷めるまでの言葉遊び
未だに解けない誤解があるなら
不本意な配慮も無駄にはならない
街灯が照らし出すと同時に
忘れていたものを思い出す
何気 ....
風が笛を吹いて
こっちにやってくるよ
子どもたちを
さらいにやってくるよ
どこに連れていくつもりさ
風が太鼓を鳴らして
こっちに向かってくるよ
こどもたちの帽子を
さらいにやってく ....
あなたが夢みる世界は
なにで染まっているの?
世界にはいろんな花が咲いている
そう
いろんな花が咲いている
あなたが願う世界には
なにが始まっているの?
世界はいろいろな悲しみがつま ....
雨に濡れたいと思ったのに、
今日はよく晴れているんだ
あまりにも寒いから
部屋の窓を閉めた
カーテンも引いた
電気も消して
傘をさした。
さかさに貼り付けたきみの腕が
そろそろ ....
最近では人の姿もめっきり少なくなった
街角の公園
細い木立の合間
ブランコが木枯らしに揺れる
寝そべり始めた太陽が
砂の上にいくつも影を落とす
錆付いた ....
{引用=
ぼくのものじゃない長い髪が浴槽の排水口へ流れた
その後を追うように
ぼくのものじゃない子供が流れていった
だから蛇口を勢いよく捻り
ざあざあといっぱいに水を浴びせ
そうす ....
{引用=
そんな言葉には
騙されないよという彼がいて
だから私は
ああ
こんな言葉では
信じてもらえないのだなと笑って
求められているのは
私の本質だろうか
生き方だろう ....
そろそろ秋も終わる
木々は葉を染め
散り際の命の謳歌
吐く息はかすかに白く
もう眠りの季節の入口
弱音なんて吐かない
赤い瞳は強がりで
遠くの山々に涙を堪える
随分冷たくなった風に ....
*
*
電車をおりたら、正しい冬の予感がした
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂いが冬の匂いで
あたしはとっても幸せだ
今年の冬はシチューのC ....
{引用=
悲しむことなどいつでもできるのです
とどかない想いは、手にあまるほどなのに
あきらめない
今という日をすごす 今日
透明な引き潮は、
小さな入 ....
あかぎれた手の甲は膝のうえに重ねたままで
ふぅっと深くため息をついてみる
シャッターを下ろした売店脇の柱に掲げられた時計は11時55分過ぎを指していて
どうやら今夜もフェリーは出航しない ....
何度も呼んで
何度も聞いて
それでいいよ
なんて非合法な、関係なんだ
分からないふりをしているわたしに、あなたがもしも気付いたのなら
鍵を開けて
逃がしてしまえばいい
新しい道をつくってそこから二人 ....
胸が苦しくなりました
雨がふったから/あなたをみかけたから
なんだか切なくなりました
一人だと思ったから/負けたと感じたから
愛しいと思いました
いじらしかったから/がんばってたから ....
大腸と小腸の図を見ると
蛙の卵を思い出す
むにゅむにゅむにゅりと蠢くような
細くて長い透明うんこの中に
いくつものタピオカ
多分ねじればソーセージ
ゆでればカリッと言うのかね
蛙は何歳 ....
父さんが
なれなかった父さんに
なろうと思う
父さんは
自動車が好きで
僕は
自転車が好き
自転車に乗る
父さんを
僕は見たことがないし
自動車を運転する
僕を父さ ....
地平線の彼方に大きな夕日が沈む
地平線の見える大地など、僕の住んでいる街には無いのに。
無いのだが、地平線を僕達は確かに感じとることができる
感じ取ることができるので
僕は地平線に向かって ....
{引用=
言葉の降らない日々でも
きみに痛々しい愛(のようなもの)だけを送りつける
ぼくの先端から零れていく赤い信号が
次々と毛布にシミをつくるんだけど
乾いた風に投げ出してしま ....
笑顔で隠して
本音は言えなくて
でも
いつの間にかにじみ出る
私の心がじわじわと
首を締め付けて息が出来なくて
一人でもがいて倒れても
手はくうを切って気がつく
私は一 ....
たとえこころは暗くても
いのちはあかるい
たとえ世の中は暗くても
たましいはあかるい
たとえわかりあえなくても
たとえ憎しみあっていても
血塗れの戦場や
やるせない食卓で
....
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