聞いてください先生
山川先生は絶対高橋さんとできてるんです
だって私がクラスで一番ピアノ上手いのに山川先生は高橋さんをコンクールの伴奏者に選んだ
高橋さんは今では山川先生のおかげですごくピアノ上 ....
生まれたばかりの
息子の写真を
四歳になったばかりの
息子に見せて
これは誰
とたずねていた
すると
赤ちゃんとこたえる
でもこれがおまえだよ
とおしえると
にわか ....
家の押し入れにしまってあった誇り被ったギターを
みつけだしてそこから僕の人生は決まった
一人もくもくとそのあまり音がよくない安物ギターを
朝から晩まで引き続けていた
将来はビッ ....
「すきなんだよ…」
蝉の声と重なってよく聴こえないよ、
ねぇ そんな顔をしないで
ブラウスの裾掴まれても困る
だってわたしは あのひとのもの
つい最近だけど かたおもいだけど
それでも ....
届かないと思っていた扉の取っ手は
いつの間にか腰の位置になっていた
背が伸びて視野が広がる
遮っていたものに追いつき追い越し
世界の大きさに少しずつゆびが触れる
もうすっかり ....
わたしがひねくれたようにナツの腕を引いても、
なんの音沙汰もなしに日常が会話するので、
ほんの少しだけでも触れてほしくて、
わたしは罪深い唇をカッターで、すこしだけ切り落とします
それは、最近 ....
喪服を着たおばさん四人
交差点を渡り、口々に話す。
一人は楽しげに
久しぶりねぇ
などと通夜であることを忘れ
一人は怒ったような顔をして
どうしてなんでしょうねぇ
などと宣う
....
暦を一枚、捲った下に
「我事に於て後悔せず」
と云う、宮本武蔵の一行が
過去から語りかけていた。
侍の幻影、目の玉を動かさず
うらやかに 空 を観る
暦を一枚、捲 ....
白い部屋の
白い窓辺のあなたに
向日葵を届けたい
朔の闇夜の月を
輝かせるほど
明るい向日葵を贈りたい
七色の虹が
黄色であふれるほど
たくさんたくさん贈りたい
あなた ....
白痴にも似た怠惰と無神経さであの娘を傷付けた
頭が回らなかったんだ
君のあの日の日記の不機嫌さはおそらく私に向けたもの
悲しいから
くやしいから男の人に頼る
不機嫌になったら男の人に救っても ....
君の手のひらを
あたしの心臓の上に持っていった
そっと
ふれた
あつい
やわらかさ
夢の世界で君は
あたしの乳房に触れているかしら
....
「移」
知らぬ間に忍び込んだ次の季節を
昨日より微かに老いた眼差しでやり過ごす
移ろっていく速度のやるせない違いに
胸の奥をさざめかせながら運ばれていく
....
ハゲた頭を見下ろす。
ハゲた頭から、何故ハゲたのかとハゲた頭の人の人生を勝手に妄想した。
ひとしきり楽しんだあと自分も、いつか見下ろされる日が来るのかと思うと、自分の頭に触れられずにはいられなかっ ....
ゆっくり回って
メリーゴーランド
夕日に照らされて
色を変えたのね
頭の中を回る
メロディー
切なくて力強くて
世界がこの歌の通りになればと
願っている
もう少し
小声で話 ....
「ねーvirgin suicidesのどこが好きなの」
「virgin suicidesって名前」
「なまえぇ?へー。じゃあ誰が一番好き」
「次女」
こんな風にお互いが好きな外 ....
それは黒い鍵爪だった
重く垂れた空からスッと湿った宙を引っ掻いては
狡猾に隠れる
くり返される蹂躙
積乱雲はメデュ―サの含み笑いの唇をふちどり
うすく開いた
生々しいクレバスを曝け ....
あなたは
今頃
アパートの一階、
小さな庭のある部屋で
寝転んで
テレビでも見てるんだろう
わたしは
届かない窓に
小さく手を差し伸べて
それでも足りなくて
こころのなかで
あなたの名前を呼 ....
退 屈 だ
君は太陽のように退屈だね
悪いことしたい
深夜にこっそりすること
ほんとうはそれが人生で一番大事
暗闇 沈黙 かすかな息づかい
昼間の世界 ....
わたしが外から持ち帰った悲しみを
きざんで混ぜてふたりで分けて
あなたが少しだけ多めに食べてくれた昨日の夜
この平穏に嘘の匂いを加えて
壊しかけたのは
わたしたちの今日です
憶測に振り回さ ....
その人の詩
遠い外国語の
耳慣れぬ響きと
一通の手紙の文面
進化し続けることは
数多くのものを淘汰し
個体は自分自身の経験で
宇宙を語りなおすばかりだ
いつしか循環する日水辺に ....
唐突に君を食べて吸収してしまいたいと感じた夏の終わり
蝉がじぃーじぃーと田舎を想って鳴いていた午後の話
グラスに入った海月型固形の気泡たちは
海に還りながらバラッドを口ずさんでいた( 空耳?? ....
通った小学校で
よなか
久しぶりに仲間と
集まって
くっついて花火して
くだらない話を
おおきな声でして
きもちよくたくさん笑って
だいすきって
言い合いながら別れた
中学 ....
飼っていたのは、音のない荒野
はちがつの、日なたに置かれたたまごのように
だきすくめるたび
わたしのりんかくを剥がすもの
透明な模型のような日々
を、くみたてる
....
暑さを避けてもぐりこんだ路地裏に
かみさまがいた
夢を見て
夢で見て
それ以上に
何が
これが僕らのリアル
透き通った現実
どうにもいかないときがあって
パープル原野に辿り着いたってわけ
記憶はない
そういったほうがなにかと都合がいいし
なんたって享楽的
とはいっても昨夜
おれははじめて死を思った
出 ....
{引用=地上では
夏を散らす風
恋しくて水面をみあげた
なぜかしら
感じたことのないものを
わたしは知ってる
水面には
ひかりの乱舞
銀が背に降り積もり
手のひらの ....
山腹から漂い降りる朝靄に
竹林に朝靄が
風に漂う朝靄の中
溌剌とし
凜とした景色を観る
竹林に偲べば
風に漂う朝靄の中
遠く霞み
曖昧な昨日を見る
竹林に及べば
風に漂 ....
たすけて
私連れて行かれる
手足が動かないよ
服を脱がされて下着だけのみっともない姿で担架で運ばれてく
ドクター私おかしくなんかないよ
おかしいのはあなたとかお母さんとか先生とかクラスメイト ....
私の魂は私の体から抜けて深夜どこかへ行ってしまう
私の意識は朦朧としてくる
ねえどこに行ってるの
わかんないよ
どこで遊んでるの
私君のせいで記憶が断片的にしかない
私が何人もいるみたいな ....
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