色褪せたような気がした
こんな果実を読んでしまったあとに
何を書けばいいのだろうか
と
打ちのめされた気分になりながら
深く心が震えている
放たれた結晶に共鳴するように
あり ....
「おかあさん、そとがさわがしいね。
「冬と春がおすもうをとっているのよ。
「ふーん、どっちがつよいの?
「そうね。
まだ寒いから、冬のおすもうさんかな。
でも、さいごは冬のおすもうさんは ....
今日の次に
明日がくると
疑いもなく生きているのだろうか
明日とは
不確実な未来であるが
明日が来ない未来を
想像する人は
どれほどいるのだろうか
今日という一日を
....
うつむけたちいさなかたまりのように
おまえの
擦る音だけのからだが
ももいろのじゅうたんの上で
午後の満ちていく窓を
見ている
あしたのことを傾げて聞く指に
わたしの頬をなぜる指に
....
とおくのそらをみていると
きょうはよくはれてるもんだから
なんだかかがやいてまぶしい
ふかいみずのおくをみていると
きょうはよくひかりがあたるもんだから
なんだかすきとおってきえそう
こんなふうけ ....
私は孤独な夢占い人だから
出会いをむかえる度に カードをめくってきた
カードをめくりながら
いつも 次のカードを夢見ている
いつも 次のカードを夢見ている
私は孤独な夢占い人だから
....
すべてうまく消せたなら
だれも迷わなかったろうに
わたしのおさない手では
触れることすらできなかった
書いたのはだれだったっけ
望んだのはなんだったっけ
忘れたふりを
できるよう ....
書けない言葉の奥の
足りない夕日の中に
今も聞こえている風景がある
諦めたその視線に映る手のひらと
日々表情を変えていく ベランダの空
懐かしむかわりに そっと靴を履く
今の僕らな ....
そう
生きていかなくちゃならない
悲しくても
苦しくても
本当に現実は
厄介な事だらけで
問題は山済み
片付けなくてはならないことは
増えてゆくばかりだし
誰のものかは分からないけど ....
灯(ともしび)を 日々省みて
静寂に ため息しては
閉ざす瞼よ
時計だけを気にしながら
回るステージの上で
炎天下
ゴム鉄砲だけが
音もなく弾ける
しばらく
しばらく
知らぬ間に
明日は忍び寄る
どうやら今日は
昨日で
明日は ....
夕暮れの歩道橋で見ている風景
行き交う人波が思い思いに辿る家路
西と東と北と南を結ぶ交差
自分の影と誰か達の影が
重なってはゆっくりと離れていく
言葉を交わす事さえ無い
デジタル時計は ....
でんしゃだった
ぼう、ぼう、と
隊列つくって
歩く目があわれと
気づいてしまった、
僕は
時よ止まれ、と
つぶやいて映すガラスのうすぐらい
鏡像が
伸ばした手/
/こちら ....
くちづけを おいしく味わう 恋の頂き
風は止み
空が濁って
近づくように
離れるように
歌う声
君の声
踊りだす
1,2,ステップ
同時に僕は
息を呑む
{ルビ夕凪=ゆうなぎ}に
響く声
....
深過ぎて暗すぎる長いトンネルの中から
白いほど淡い黄色のぼやけた広がりを
遠くに感じる
井戸の底に落ちてしまった幼子が
恐怖と孤独で夜通し泣き果て
疲れて迎えた
まだ暗い夜明けのように ....
あなたがいなくなったシーソーに
わたしはまだ乗っている
もともと互いの質量が
違いすぎた為に
あなたへとばかり傾いて
あまり楽しい
シーソーではなかった
今ご ....
(題を決めるのはあなた自身)
空に舞う幾千の星
掬った雨蛙は星を見ている
まるでそこに行きたがっているような、
つぶらな眼をして
でも蛙たちは気がついていない
蛙こそが星な ....
だまってみあげて
ぼくのこと
あざわらうんだろう
わかってるんだ
どこかでわらわれているって
しってるよ
かみさま
そらがわれる
しゅんかんに
あいませんか
いちばんたかい
....
そらがなりやまないね
びがびかびかびか
きみがきたのかな
まどをあけたくなった
あめがつよくなったね
ばんばんばんばん
たたきつけるように
ノックするみたいに
まどをあけて
....
大人になった私へ
今日私はこんな空の下、
子供と言われる最後の年をむかえました。
今はまだ実感がわかず、焦りばかりを感じています。
あなたは大人になれそうですか?
それとも大人になっていますか?
....
半熟卵の茹で時間
花ふきんの縫い方
幽霊は鉄塔を登るということ
君に教えられたいくつかのこと
学校でも新聞でも初めて体内を往来した光も
教えてくれなかっ ....
{引用=
? 彼
味噌っかすの子でありました
家での安らぎの場所は押入れの暗闇
たいていそこで うつらうつらと
青空と雲
黄昏の風と 夕焼け
を眺めている ....
山茶花の
花を一つ
断ち切りて
匂う香は
眠りの中へ
闇の中で厳かに
点滅を繰り返す
淡い金色の光
甘美な夢は仄か
極寒の海に漂う
藍色の氷山の群れ
現実は冷徹
孤立している魂
不安が彩どる ....
よく覚えていないが
知り合いの知り合いが盲いたそうだ
その機には親族が集い
里芋や菊の花を毟ったものを
軽々しくさっくりと揚げた
盲いた知り合いは油モノは苦手だったが
その日だけは ....
友達になろうと言う前に
もう友達になってる
デートしようと言う前に
もうデートしてる
つきあおうと言う前に
もうつきあってる
セックスしようと言う前に
もうセックスしてる
....
それは夢ではなく
暗闇の中ひとりベッドの上で涙してる自分を
俯瞰から眺めてるデジャブ
突然ひらりとベッドの上から
蝶のように鏡台の前に舞い降りてみて
かみそりを手首にぴたりと当ててみるフ ....
哀しみが霧のように
降りしきる夜
君はただ呆然と
立ち尽くす
僕の目の前で
その瞳を閉じたまま
君は金色の羽根をひろげる
荘厳な儀式のように
僕はひれ伏して
そして君の手に
くちづ ....
雨が降ると誰かが
迎えに来てくれるような
気持ちになります
傘を持っていないふりをして
しばらく軒下に立ってたら
偶然あなたはあらわれました
雨、ありがとう。
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