姪

七月まで腹の皮一枚隔てた彼岸におり
去年生まれた赤ん坊が
今年はそろそろ歩き始めて靴が要る
靴!
おお、八時間の惰眠と十六時間の覚醒とを
等価交換でちり紙交換に出してしまった
 ....
  日曜日、
  くさかんむりの広がる野原で
  ピクニックをする
  あなたは適当なところに
  持ってきたもんがまえを敷いて
  ここに座りましょうという
  おべんとうよ、と
 ....
林檎が地面に落ちるように
名前がきみに落ちてきたのか
それともきみが落ちたのか
兎にも角にも
もはや後戻りは出来ない(と、思う
柔らかな髪の一本一本に
小さな指の桜貝に
きみの名前が刻印 ....
ドアーが開いたときにあなたはそこに立っていたのですか.わたしは気がつきませんでした、ドアーはいつ開いたのですか.ドアーが開いたときにはまだあなたはそこに立っていなかったというのですか.ドアーは誰によっ .... 焼き終ると
かたちはもうなくなっていた
まだわずかにのこっているだろう
最後の肉を焼こうと
熾火が立ち上がっていて
それはいのちの終りの
かがやきのようにも見えた

  (そして、骨だ ....
大きな欅の木のしたで
乾いた蚯蚓が八の字を描いて死んでいる
無から生まれた宇宙の話しを聴きながら


きみはもう死んでしまったから
こんな話しはおもしろくないかもしれないけど
きみに残さ ....
ひとでなしという生き物がいる
海に棲んでいる
ヒトデによく似ているけどヒトデとは違う生き物
だからヒトデナシ

ひとでなしという樹がある
梨の仲間だが咲くとき花びらの大きさが少しずつ違う
 ....
かなしみに
一番ちかい子はだれですか、

神様が聞いたら
だれも手をあげなかった

神様は
ため息をついて
ごほうびをあげるよ
と、
うしろを向いた

そのとたん、
 ....
長身の竹の子で つくった竹馬

すなわち竹の子馬で



竹の子馬して遊んでいたら

しなってしなって

びよんびよん



酔いまして 吐きました


そして  ....
 
 
Spring has come.
バネがやってきました
おつかまりください、つり革や手すりに
急停車をすることがあります
電車は事故防止のためにです
このまま直進五十メートル右折 ....
おかあさんも
おとうさんも
おばあちゃんも
おじいちゃんも
あたしのこと そうよぶ

どこかのエージェントみたいで
けっこう気にいってるんだ 

そういえば
おかあさんも おばあち ....
あなたの家路に向かう最終電車は
今しがた発ってしまったのです

今の私にはもうあなたの元へ向かう術も
自分の家に帰る術も無い

一人でいる駅のホームは暗く寂しいところでした
空に浮かぶ月 ....
スチール缶の中で真っ黒に佇むコーヒーを覗くと
ウッドベースの重低音が聞こえてくる
コーヒーにジャズは似つかわしくないが
ときにそれが恋しく響くことがある
口笛につられてシジュウカラが舞い降りる ....
裏山で雪に潰され 折れた枝を集める

曲がった杉の木に足をかけて 
土と雪を這い上がり 山道に出ようとすると
蝉の抜け殻が
木の根元 小枝にまじってあった

雪溶け水の下る 
山道 ....
私は大事な髪も洗わないで

ずっと
ずっと
眠っていた

目が覚めて
体を起こしても
背筋は弧を描き続けて

何がそうさせるのか
考えている間に
また眠ってしまった


 ....
1.詩人

  一人の詩人は
  自らの詩をオルゴールに閉まった
  そして時々、宝石が
  散りばめられた蓋を開ける
  身分証明が必要なときや
  金に困ったとき


 ....
黙秘権、

外側に
行ってしまうのですか、







孤独死を待つ白兎の、
瞳は紅い。

いつも
公用語は行方不明だから
えぐらない手つきで
水をかけあって、 ....
人まちのサ店で







一日に世界中のフランチャイズで二十四億杯ぐらい飲まれてるような薄いコーヒーをストローで喉にしゃらしゃら流し込んで







来ねぇからヒマで






 ....
怜悧な感覚を研ぎ澄まして
詩人は眠れない夜明けに言葉を紡ぐ
天球と地球と一直線に繋がろうと
懸命に哀れにもがく
その姿は滑稽でもある
天恵はやがてもたらされるのだろうか
詩人はその答えを知 ....
不遠慮に繋がるシナプスが
六番目の感覚を取り戻そうとしている
天恵を得るために
そして悪意は背中を刺す
それはまるで
怜悧な刃物で身を裂かれるような
それはまるで
身体中の神経が外に剥き ....
  なんだかなあ
  が、
  白い布にしみて
  たやすく
  夜



  かなわんなあ
  って、
  放りなげたこと
  ひるがえって
  雨



  ....
私の胸の
奥に手をいれて風がなく

どこからの風か
不安の風か

震えながら抱きしめる
私のいのちが
かきけされない今は

この震える風が
どこからきていようと
一身にうける
 ....
悲しくて
悲しいときは
悲しいと
言うべきですか?
ひねりもなしに







 ....
仕事帰りに街を歩けば
赤い灯青い灯夕闇を照らす。

裏通り馴染みの
一杯飲み屋に
そこに
今日を捨てに行く。

そこでぼくは
ひたすら喋りながら
呑み続ける。そしたら
なんだか偉 ....
わたしたちはつながってるようでつながっていません
どこにでもつながっているようで
じつはつながってなんかいません
どこまでもつながっていない
1回まじわっただけじゃ
2回まじわった ....
 ヘビが嫌いよ ニョロニョロするから
 花が咲いたら祈ろかな
 梯子が燃えます 2分の一のあみだくじで
 サッカーの脚が蹴りマス パスと芝フと四角いボール
 ....
{引用=
海面からみあげるとこんもりとした森が公園である
ブランコと藤棚のフジ
それからベンチ
蛇行しながら遊歩道の鎌首をもたげる
ぼんやりした外灯がともる
雨ざらしの石段をの ....
高校生活のころ
湿気高い、と書く癖で
わたしの詩だと読みあてた人は
乾というキザなネームが合わなくておかしいと笑う

 貴方には才能があります
 がんばってください

一晩中ふるえてか ....
しろい紙のうえで、
こごえている、
星や、銀河はここからはみえず、
きのう脱捨てた靴下のように、
夜がくたびれている、
空が褒める
山は照れる
山の火照りが空全体に広がっていく

朱鷺色レンズが激しく反射し
私は目を細めながら
喉の乾きに気付く

言い伝えでは明日は雨だ
理来さんのおすすめリスト(739)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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