私はとても疲れている
世界を歩くことなどないままに
夜としての流れを見ているように
光であることを感じている
この光の向こうで 夜として存在し
風となって吹いていることだろう
私は食い ....
白のクレヨンで
かいたような白い雲
ぐうるるぐうるる
がんばれがんばれ
って見えるよ
がんばれ
あなたにむけて
がんばれ雲の旗をふる
上へ上へ
空の上マークはどこにある
....
入浴
私たちはもう赤ちゃんのように清い
妻が寄り添って
頭を洗ってくれる
昔母がそうしてくれた
母のような手が
私達は二人で今夜も入浴した
私の願望は何一つ
描きはしないだろう
何もかも知りつくしていた 絵画作品を
暗闇の奥に 凝視する
絵とは 風のようなものなのだろう
そして 私は言葉を飲み込んでいる
生きていくため ....
花ははじけて水に巻かれて
命消えたように
みえて
根っこの存在をあなた忘れていませんか
涙こぼれて水にまざって
夢消えたように
みえて
心の存在をあなた踏みつけてませんか
小さ ....
曇った硝子窓。
向こう。
記憶。
ブランケットで身を包みながら、探し物。星屑、蜂蜜。水煮の缶詰。
そして、おやすみなさい。の、声。ため息、一つ。
あたたかい事から思いだしてし ....
あなたのくちびるから海がこぼれる
塩からい水が胸を濡らすから
わたしは溺れないように息をする
そっと息をする
空の高みが恋しいと指先をのばし
両手を広げてみるけれど
あなたの海が追 ....
子供の頃
遊び疲れた僕をおんぶして
家に帰る母親の
大きくて広い背中
悪いことをした僕に
容赦なく
平手打ちを食らわせた母親の
大きくて強い手のひら
大人になって
一 ....
{引用=
最近
ずっと
考えていた
部屋の隅に
うずくまって
考えていた
考えることの
テーマは
その日ごとに
違う
まるで
飽きないように
作られた
....
{引用=
しがらみ、ほだすから漕ぐ、漕ぐ、届かないもの、失ったもの、に馳せる隙
間、追い出し、持たず、右足、左足、込めるたびにこぼれていく、ビル群、ア
パート、果樹園が、ひしゃげていく、流線を ....
独り身の
暗い我が家に
この夜は
稀な待ち人
蛍一匹
蝶
小さい頃
簡単に見つけられていた
色のない蝶々が
最近見つけられなくなってきた
視界の端で
鋭利に騒ぐ蝶々を
捕まえてはネットの中に
押し込めることを
よく していた ....
春になると
桜の木の下で舞い上がる花びらを見ながら
ぼくに笑いかけるきみ
小川のせせらぎを聴きながら
無邪気に冷たい水をすくいあげるきみ
教壇の目の前に座って
熱心に授業を受けるき ....
かみなり
ひんまがり 醜く よじれてペンダコのように頑なな私が
理想としているのが 渡り鳥の抑揚のように柔らかい けんこうこつだよ
ほしいよ
大理石の有翼女神像すら
空に ....
さく
種から育てたツマベニが咲いた
雨の季節が過ぎた庭先
種から育てたうちの娘が
爪を赤く染めて
わたしにさわらないで
と言った
弾ける前の赤い唇
くつ
爪先と踵が硬 ....
爪の
ニオイをかぐ
わたしがまだ
わたしであることを
ひそかに確かめる
+ +
舌で
前歯の裏側を
トトトと叩く
さも大 ....
{引用=
真っ白い砂の中に混じる小石をじゃりと鳴らしながら、薄闇に光る下弦の月明かりが照らす平地を、真っ直ぐに歩いていく。そのうちに見えてくる、ゆるやかな勾配の坂道を登ったところにあるバス停で、 ....
「渦を巻いてみせろよ」
しじまというよりしじみの合間に退屈が席巻する
それはまるで石鹸のように泡立って
老廃物に似た哀しみを界面活性化させても
太平洋に渦潮が巻くわけじゃな ....
深夜の台所で
小皿にのった梅が
まあるく佇み
影を、伸ばしている
些細なことで取り乱す
僕とは違い
微動だに、せず
のっぺらぼうの顔で
ただ、そこに。
....
みんなで
海、行こう
今すぐ行こう
水中メガネなんて
海で買えばいいよ
母さんの
あの向日葵のボレロな
裾をめくって
叱られる前に
駆けぬけようぜ
追いかけて
波を追いか ....
}羊水(春)
コイン・ロッカーのコインが着地する
その音を聞いて
呼気をつきはなす
わきまえてなまえを呼んでも
まだないのだから
うぶごえをあげる
こっちへ来なさい、
と あな ....
教室の窓から
白い校舎の断片がつくりものみたいにひかる
木漏れ日
彼女のくびすじにしたたる汗
蒸し暑い体育館に
むわん
と広がるみんなのにおい
時々降る雨
私はいつでもいらいらして ....
ときどき
口からでてくる
炎のような
透明なかたまり
おかあさん、
おかあさん、
どんな言葉も
その次にしか
うまれてこない気がするよ
病めるときも
健やかなる ....
母の日に
小さな手で紙粘土とビーズのネックレスを作ったのだけれど
釣り糸のようなプラスチックの糸で作ったから
「それじゃあ、首が切れてしまうよ」
と父に怒られたのだ
今ならもう傷付かない ....
アリスはそこへ乱暴に投げだされ
黒い瞳に大粒の涙をためた
やがて朽ちてゆく散らされた意味の
灼熱に乾いたサハラカラーの砂漠の丘に
一面、蒼く鮮やかに咲く魔の花の
雑音交じりの夢へといざなう、 ....
100705
明日のことは
明日に
昨日のことは
昨日で
今日のことは今日に
当たり前のことを言われてその気になった叔父さん
テレビが映らないのは ....
走る
誰もいない場所へ
逃げている
罪悪感から
そんな時
あなたを伐るだろう
あの樹のように
あなたを伐るだろう
あの樹みたいに
こっそりもいだ
そうまでしていきたいのかな ....
夕方の水が巡って夜前につぼみのたががひとひら外れた
ひとつふたつ互いに互いの花びらが外れてそしてそりかえって咲く
カサブランカ自分で咲いたね信じてはいたけどつぼみに手が出そうだった
....
{引用=憂鬱な目覚まし時計、日常へ旅立つ自転車のペダル、決曜日
ぽっかり空いた胸ポケットに立葵を活ける、華曜日
眠れる森に訪れたファーブルたちの欠伸、睡曜日
静かなく ....
その手に触れたら
現実がずれた
街に潜らないと独りになれない
名前と顔のないものが適当数、ほら
いま地に足が着いている
そろそろ去っていきそうな虚像
昨日のひと ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25