竹の林の中
尺八の音が聞こえる。
三味の音も聞こえる。
鹿威しの音がカタン。
全てを忘れて
心を無にする。
時間だけが経ち
何も変わらない
寂しい想いが残り
世の中の虚しさが ....
もしも車を降りて歩いた道になつかしさがあるなら
初めての土地だというのに二度と行かないというのに
どこまでもありふれた水田の続く田舎道を
よそ者が歩くのは珍しく少し勇気がいったけれど
私は覚え ....
うす墨色をした
雨月物語
その雨のない風の気配は
前髪のような柳葉のむこうから
あるいてくる
二人連れのおんなが
ゆうれいだと
ぼくが気づいたのはどうしたこと ....
詩を書く 夜空を
イメージの中で 黒い
私は宇宙で 見上げると バスに乗って
テントで 描くことしかできなかった
青色として私は
知らない 景色を
暗くなり 流されていくだけ
私 ....
おもちゃに耳打ちする
バ
Tシャツ脱いで食べた
ウ
政治家に塩コショウしたいっ
ム
枕がどら焼きだった
ク
幽 ....
きみのし
考えたこともなかったし
その日の空はうそみたいな顔をしていたから
言葉は何も浮かんでこなかった
この物語では
信じられないことが
信じられないほど起こるし
それ ....
窓の外を指は
選んでいる 私の夜の中で 疲れている
私は ひとり 無くした 暗い天井で
星空の 言葉を
手を繋ぐ人もなく 私の中で
どこに 私は きらめいている 皿の上に
買いに向 ....
あの店がつぶれてしまう
あの店がなくなってしまう
あの子といっしょに行ったのに
楽しい会話があったのに
つぶれてしまう
空き地になってしまう
絵本のなかの夏に遊び
ソーダ水の ....
火柱みたいな杉だ
(触れれば降る火の粉)
たとえば、わたしは、とても広い大地に立っている。
大自然が 与えた ゆたかな大地。
わたしは、太陽を正面に見据えている。
わたしの 後ろには影ができている。
太陽がまぶしいぶん、影 ....
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老いた造船家の仕事部屋は紙と鉛筆と分割器が置いてあるだけだ。
そして窓の夕暮れの光。充分な設備だ。
なぜなら造船家は夕方 ....
立秋は暑い
暑いけれど
風がほどけ
空をおいて
雲が重なる
夕方の影は
....
ぼくは ぼくは ぼくは ぼくは ぼくは きみ
はじめましてもさようならももう意味がない
はしっこもまんなかも距離もかたちもあいまい
ふたりは観測者 やりようによっては創造者
どこへ ....
きょう楽しくて
たくさん笑ってしまったから
きょう死ななければならないな
と
おもった
したしい浴槽に
清潔なおゆ
わたしのからだは黒ずんで
おおきな澱
しっている
海はも ....
疲れて眠る
疲れている心を
心の夜に
転がしていく
私の散歩している
声は
夕方をなくして
歩く
流れていく旗に
声を
振りながら
ひとりなくしている
真っ白な紙をたくさん束ねた
大きな自由帳をもらった
どんな色を使ってもいいけれど
必ず自分で決めなさいと言われた
罫線もマス目も何もない
分厚い自由帳をもらった
どこへ持っていって ....
{引用=
お化け煙突の話をしようとすると
いつも決まって
口がこわばる
上手く話せるかどうかが
わからなくなって
話す気力が失せてしまう
その日は女のほうから
「ほら、あそこにいつ ....
{引用=昨日よりもまた
いっそう暗い森の中にひとり
わたしの孤独がそうさせるので
見えない人にむかってはなしかける
どうせ見えないのだからと
目を閉じたまま
思いつくままの言葉を語る
い ....
かんかんかんかん
かんかんかんかん
赤い光の警報機
降りる遮断機の
その先は
急行電車が
飛んで行く。
かんかん手を振る
二歳の子
電車を見ながら笑っている
夕日はとっくに夢の ....
シたしいシんヤのヤミ
ミトどける
トけていくトき
ムしばまれ
ムすばれるモノ
モノクるおしくクだけゆく
ホろびるやみ
ホころびるひカリ
カリものであるすべて
ココロころこ ....
緑のべ
胸の静かな鳥、飛んでる 嘴鳴子 (呼びやる、手がさざなみだ)
ぜんぶがぜんぶ静止画のようにただの一片を切り取った
狭いから 気をつける 体を食べる線に 付き合う
....
せめて はいさぎよい
悔いにのみこまれてもその上に震えたつ
涙もかれた花のいろをしている
せめて はもとめない
とうめいになったからだで小さなものたちを拾う
どんなにこぼれても心のあ ....
朝から
ひぐらしの声が聞こえてきて
やっぱり
帰りたい って
思った
そんな日でも
快速電車は
あの頃のアパートを
速度を上げながら
通り過ぎる
耳を澄ませば
....
一億年くらい眠ろうか
きっと全てが変わっているさ
でも
きっと
ひとりぼっち
それが望んだ世界なのだろう?
鉄条網に縛られた
このくだらない日常を
全部吹き飛ばしたいのだろ ....
目が覚めないまま
右手でなにかを壊して
痛いのはわかるから
少しだけ泣いて
張り詰めていた
糸がゆるんで
気楽になって笑う
{引用=(殺される?)}
背中についた不安は消せない ....
ダレダレ茶を飲みたくなるときがある
ダレダレ茶を飲むと あの子ダレダレー?って独り言をしてしまう(嘘)
ダレダレ茶を飲むと 歯茎が2億倍赤くなる(嘘)
ダレダレ茶を飲 ....
よせてはかえす
美々と蝉が歌い木陰に飛んだ
ホースいっぱい指で押さえ水を飛ばした
まっつぁおな空は雲飛ばし
僕は、いらっとする
ナミじゃあるまいし
いいかげんにしろってね
かたときも ....
もしも僕が樹海で朽ち果てたら
どこからか樹の種が飛んできて
僕を栄養にして育つだろう
空を目指して樹は伸びゆき
仲間の樹々と笑いあうだろう
やがて樹海の一部となり
大地と太 ....
なき虫であっても
なく虫ではなく
よわ虫であっても
つよがる虫なのである
にがり虫に似た
にがい顔で
本の虫は点とり虫というが
てんとう虫はほんらいお ....
おんなは夜ひとり泣いたりする生き物だ
目をこすって赤く腫らしたりする生き物だ
落ち込んだりじぶんを責めたり
おんなは忙しくて切実なる生き物だ
おんなはみんな渡り鳥だ
あたまのなかの磁石に ....
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