必死で追い求め
息切れの中で掴む裾は
するりと遠くへ舞っていく
手に入れたいと焦がれる程
虚しさは募るばかりで
いつの間にか自分を見失う

目的を忘れた心
眩む目には手の届かない背中
 ....
木々は水を滴らせ
草はより一層繁っていく
水草に似た緑の葉に
合歓の花は金魚のように泳ぐ

微妙にカーブを描く幹
意図しない芽吹き
計算外の美しさ
貴方と繋いだ手はどこまでも柔らかで
 ....
布ずらし 空気を求め 喘ぐ息 エラ呼吸の 魚と目が合う 取れた目と 解れた糸と 部屋の隅 必死で隠す 汗ばむ肌を

甲高い 囀ずり響き 飛んでいく 鳥の羽ばたき 漂う心

歌っても 空が吸い込み 届かない 私の声は 一人歩きで
二人の微妙な距離を 花火が照らす 影でなら手を繋げたのに

君との会話も 浴衣の色も忘れたのに 横顔は覚えていて
バスの中 じゃんけんしている二人組を横目に 降車ボタンを押す 合わす手に 多くの時間 刻まれて 思い出すあなたは 若いまま

セミの声とオリンの音に包まれ 私の声は届いてますか?
ここは高層マンションの上の階で
地面より空の方が近い
お気に入りの窓辺で何時も
ビルと空と飛行機を眺めていた
風がカーテンを揺らす度
私の心の羽が少しずつ伸び
ビルをすり抜けて
街を飛び ....
交差点で君の香りがした
誰も視線が合わない
すれ違い
髪になびく風だけが交わる

そういえば今日は昼まで雨で
湿気でうねる髪に
ため息をついていた
路面の水溜まりにカラフルな影が踊れば ....
凹凸が薄れゆく曲線を嘆く
鏡には歪みなど無くて

小さいカメラは魔法の鏡
真実は街中の窓に映る
通り雨 夕焼け空に 口ずさむ
水溜まりには 異国の景色

星屑が 私の髪に 溶けていく
夢の中だけ 空を羽ばたく

朝と夜の間を渡り行く
一艘の船を風が運んで

金色の 朝日が夜を ....
紫の スミレの花に 染まってく 砂利の庭に 春の喜び 積み木を積み直す君
何度も繰り返す細い指先
終わりの無い道は
一周回って元にたどり着く
風のざわめきはいつも一定で
葉を散らす木々は何も言わず
鳥たちは最後の実りを
精一杯啄んでいる
 ....
雪の降るなかで
私は埋もれて
冷たい感触が
暖かい心を思い出させる

可愛い歌声は夜空を巡って
次の朝に届く時
蝋燭はもう片付けられて
静かな寝息に変わる
貴方の微笑みが
優しさに ....
日を追って 梅は綻び 風に揺れ 淡い香りは 春を知らせる


日溜まりの 暖かさの中 口ずさむ たどたどしい歌は 風に舞い
酷く咳き込む夜は
細切れの夢を泳ぐ
咳の為に目が覚めて
また眠ってはまた咳き込む

「マスクを付けなくちゃいけないよ。」

夢なのか夫の声なのか
ふわふわと聴覚は曇り
暑くて堪らない ....
朝もやに 凍り付く指 溶けていく 灰色の水 空を飲み込み


あのクモに 貴方の言葉 投げつけた 私の糸で 受け止められず



少しずつ私の領域を脅かす貴方はまるで外来種
夕日が雲を赤く染める時
切り絵のような木々が
空に黒く浮かぶ

烏は寝床へ帰って行く
昼間は息を潜めていた虫たちが
あちこちで鳴き出す

冷たい風が部屋を吹き抜けた
金木犀の香りは無 ....
ちょっとだけ心が乱された夜は
冷たくなった風を胸一杯に吸い込む
澄んだ空には星がはっきりと浮かび
くびれに三つ星を並べたオリオン座が目の前に映る

今日もまた同じ日だった
ただ過ぎる日々に ....
透明の 傘に落ち行く 雨粒に 音符を描く 夕立の中


雨上がり 水面の空 バラバラに ぱしゃぱしゃ踊る 青い雨靴
蝉時雨の中に 「ただいま」を探す 「おかえりなさい」が言いたくて


夕空に ひぐらしの声 吸い込まれて 夜になれば 花火に変わる
朝の日に 木陰の足は 長く伸び まだ青い空 冷たい空気


寝不足に 朝の日差しが 眩しくて 君の言葉が 空に消えてく


コーヒーで 体の中が 目覚めてく 頭だけは 昨日に残して
今日の私は海のにおいがした
遠い記憶の中で
幼い私は人魚になる夢を見る
薄い水色の空は薄荷の味
シャボン玉が弾けた午後
濡れた手足で駆けながら
鱗ができるの待っている

今日が終わりに ....
窓から覗く月は
今日も黄色い三日月
先端が釣り針のように鋭く尖り
獲物を待っているかのよう

窓に腰掛けた私に
まだ冷たい夜風は衣服をすり抜け
かろうじて温もりを残した心に
簡単に侵入 ....
さようなら言葉達
私のちっぽけなボキャブラリーは
ずいぶん前に尽き果てた
書き連ねる文字は
すべて似たり寄ったりで
表現する風景も
どれも同じになってしまうから
ここで別れを告げましょう ....
今日は月が邪魔しないから
夜更かしをしよう
暗闇に紛れてしまえば
溶ける感覚に目を閉じて
私はもう何者でもなくなる

誰かと何時でも繋がれる
人工的な明かりは
電源を断ってしまえば
 ....
小さな手 小さな体 小さな足
大きな手 大きな体 大きな足
笑顔は同じ 違う匂い
寝顔は同じ 違う声

私はいつの間にか大きくなって
君もいつか大きくなる
私はいつか小さくなって
君は ....
真っ直ぐな目で未来を見つめているから昨日の君はもういない



足元の影が日増しに濃ゆくなる蜃気楼の夏よこんにちは



つばめが巣立ちを迎えた日空に伸びる軌道を僕は追いかけて

 ....
雲一つない夜空なのに
空は月明かりで覆われている
川辺の茂みには無数の蛍の光
まるで星が避難してきたみたい

涼しい夜風が吹き渡る
真っ直ぐな道は
虫や蛙の鳴き声で満たされて
私の足音 ....
風鈴の 音色が似合う 窓辺から 吹き込む風は 夏のお便り


気つけば小さい体に 汗疹でき 君と迎える はじめての夏


寝苦しい 夜に響くは 虫の声 今年の夏も 暑くなりそう
ミツバチ(166)
タイトル カテゴリ Point 日付
動けない背中自由詩120/9/3 9:32
梅雨自由詩1*20/7/24 18:01
エラ呼吸短歌020/6/30 20:10
一人歩き短歌020/6/26 11:14
二人の距離短歌0+19/8/13 20:34
降車ボタン短歌0*19/8/12 20:18
思い出す短歌019/8/12 20:16
留守番自由詩318/9/26 22:18
君の香り自由詩418/9/22 14:50
短歌118/9/11 11:26
夢と終わり短歌218/9/9 22:01
スミレ短歌216/3/16 12:15
積み木自由詩316/2/24 17:24
雪の降るなかで自由詩215/12/11 17:46
短歌0*15/2/19 12:10
自由詩314/11/29 16:51
外来種短歌314/11/25 9:20
さようならがまだ寂しく耳に残るから自由詩5*14/10/29 9:28
ちょっとだけ心が乱された夜は自由詩214/10/26 22:48
夕立の後短歌014/8/16 18:26
短歌314/8/3 22:15
寝不足短歌014/5/14 17:40
今日の私は海のにおいがした自由詩314/5/1 23:12
三日月自由詩5*14/4/5 23:53
さようなら言葉達自由詩313/10/11 13:29
今日は月が邪魔しないから、夜更かしをしよう自由詩5*13/7/19 0:21
役割自由詩3*13/7/13 1:39
夏よこんにちは短歌113/6/26 17:43
夜の散歩自由詩8*13/6/23 3:34
夏の便り短歌2*13/6/19 14:02

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